ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、私が以前勤めていた新潟駅近くの燻製料理屋から独立開業して現在に至るまで、燻製品又は燻製料理を作り続けています。
この3年の間、燻製品(試作品も含む)を少なく見積もっても3日に1回は何かしら作っています。
また当店のメニューの中でも燻製品が多いことは自他共に認めるところです。
燻製品を作り続けることでいろいろ考えさせられる事があります。
そこで「燻製とは何か、自分の考える燻製のあるべき姿等」いろりろ考えるに至りました。
まだまだ勉強中ではありますが、この辺で1度自分の中で整理する意味でも「燻製」についてを思うままに書いてみたいと思います。
かなり偏った考えですし、ここに載せる事が全てではありません。
私の燻製に対しての考えだと思ってください。
色々な意見も反論もあると思いますが、「燻製」というものに少しでも皆さんの興味を引けたら嬉しいです。
専門的な言葉も出てきますが、燻製のことを知っていただきたいと思いますので是非最後まで読んでいただきたいと思います。
長くなりそうなので、数回に分けます。(不定期ですが…)
「燻製の歴史」
元来、燻製は人間が火を使い出した頃からあった食品の保存法と考えられています。
その起源ははっきりしていませんが、世界で同時多発的にあみだされた食品の貯蔵法といっていいと思います。
欧米の「ベーコン」や「ソーセージ」、日本の「鰹節」や「いぶりがっこ」もこの燻製という保存法が用いられており、今日の日本の食卓にも特別なものと言うことも無く、広く、そして深く根付いています。
現在は冷蔵庫・冷凍庫・エアコンがどこの家庭にも普及して、家庭(業務用としても)の「食品の保存」は半世紀前とは全く違うといっていいと思います。
その為か、今日では燻製は「保存」という意味合いよりも「燻製という料理法」又は「燻製の香りををつける事で産まれる独特の風味を得る」ということの意味の方が強いと言えます。
「燻製の定義」
燻製と一言にいっても、その作り方は様々です。
私の中で燻製とは
【木(又はその破片)・葉などを燻し、その煙を食品につける、又は間接的に煙の風味を食品に移す。】
ということを前提としています。
簡単に言うと「燻せば何でも燻製品」ということになります。
「煙をつけるから燻製」と当たり前じゃないか!とお思いになる方も多いと思いますが、実はそうではありません。
実際の煙ではなく、「燻製風味」に仕上げたものが世の中にはたくさんあります。
現在スーパーなどに並んでいるベーコンやハムやソーセージ類はほとんどが「燻製風味のついた液」に漬けるだけで燻香(くんこう)にさらすことを省いたものがほとんどであり、実際煙にあてて燻製にしているものはかなり少数です。
私は燻製品を作ることを通して、食品が時間と手間をかけて作られることを知って頂きたいと思っています。
またそのような工程を踏まえてできる食品こそが脚光を浴びるべきだと思います。
燻製風味ではなく、煙の持つ深く独特な風合いを知っていただきたいのです。
そういった意味でも「煙の香り」を感じられるものを作っていたいのです。
「燻製の種類」
燻製には大きく分けて2種類の燻製法があります。
「冷燻(れいくん)」・「温燻(おんくん)」です。
この2つは基本的には煙をあてるという行為ですが、その煙にかざす時の温度によって名前が変わっています。
しかし、何度~何度までが『冷燻』で、何度~何度が『温燻』なのか、その線引きは曖昧で、燻製について書かれた本によってもマチマチです。
私の中ではスモークウッドを使うものが冷燻、スモークチップを使うものを温燻とナントナク線引きしています。
「冷燻」「温燻」の名前にはあまりこだわらなくていいと思います。
スモークウッドは木を細かく切断したあと、寄せて固めたものです。
最初に火をつけると燃え続けるという特性があり、(でっかい線香だと考えると分かりやすいと思います)熱源が不要の為、低温で長時間の燻製に向いています。
スモークチップは木をそのまま細かく切ったものです。
熱源が必要ですが、煙の量など熱源の温度によってある程度の調節が利くという特性があります。
高温で短時間の燻製に向いています。
燻製に使用する燻煙材はこれだけではありません、ハーブや茶葉を燻したり、木の枝をそのまま燻したり、その材料はかなり自由です。
「燻煙材の種類」
木材一つでも「サクラ ・クルミ ・ブナ ・リンゴ ・ナラ等」があり、木の持つ特性によって出来上がりは微妙に変化します。
有名なのが「サクラ」です。
燻製に使われる「サクラ」はよくみかけるソメイヨシノではなくヤマザクラです。
特徴としては「独特の香りがあり、煙の香りが強く、色づきが淡い」です。
これに対しナラ(どんぐりの木)の特徴は「香りのつきは淡く、色づきが強い。独特の渋みがある」です。
燻煙材の特徴を理解し、いろいろな木材で試してみることで燻製の世界は広くなります。
数種のチップをブレンドすることもできます。
しかし、燻煙材にも法則があります。
これは「燻製に使われる木材はほとんどが広葉樹」ということです。
針葉樹はマツに代表されるように、いわゆる「マツヤニ」を含んでいるため食品の燻製には向きません。
「基本的な燻製の作り方」
このブログでもいくつか燻製品の作り方を紹介しましたが、基本的には作り方は全て一緒です。
【下処理→塩蔵→塩抜き→成型→乾燥→燻製→熟成】
この工程に則っています。ものによっては省略する場合もありますが、この順番は変わりません。
たとえばベーコンはこの法則そのままですが、チーズ等はいきなり【燻製→熟成】ということになります。
これからはもっといろいろな燻製が世の中に出てくると思いますが、この法則を理解していれば失敗も防げると思います。
次回は「煙に含まれる成分」や「なぜ燻製すると長期保存が可能なのか?」、「燻製は出来たてがおいしくない」等を考えたいと思います。
(※ 予告なく変更する場合があります。ご了承ください)