では、さらにランディの文法を深く説明していきましょう。

今回は、まず疑問文について説明します。

≪新しい単語≫
u = 何

これは何ですか?
nis u?

英語の場合は、What が文頭に出ますが、ランディは簡単な言語なので、疑問詞が文頭に出たり、語順が入れ替わったりすることはありません。

nis i.
これは、わたしです。
nis a.
これは、あなたです。
nis u?
これは、何ですか?

このように、基本的な文形のまま、回答として知りたい部分を u に置き換えれば良いのです。また、英語の場合は、What, Where, Who 等、いろいろな疑問詞がありますが、ランディの疑問詞は u だけです。

is lon ni. イスロンニ。
わたしは、ここにいます。
as lon u? アスロンウ?
あなたは、どこにいますか?
os kun u? オスクンウ?
彼は、誰(何の人)ですか?
kun us lan? クンウスラン?
誰が話しますか?
as ul o? アスウルオ?
あなたは彼をどうしますか?
linnis giln u? リンニスギルンウ?
この動物は何を食べますか?

When, Why, How 等の表現については、別の機会に説明します。

では次に「はい」または「いいえ」で回答を求める疑問文について説明します。

≪新しい単語≫
me = 親
hen = 変な/狂った
po = 白い
go = 黒い
ku = 赤い
bu = 青い
ki = 黄色い

疑問文は、文末に lu? を付けます。
os me.
彼女は親です。
os mel?
彼女は親ですか?

付加疑問文は、文末に su? を付けます。
os hen.
彼女は変です。
os hens?
彼女は変ですよね?

質問に対して「はい」と答える場合は、「はい、○○です」の○○に相当する部分を繰り返します。「いいえ」と答える場合は、「いいえ、○○ではありません」の○○に相当する部分を繰り返した後に na を添えるか、または単に na とだけ答えます。

nis gol?
これは黒いですか?
gona. nis kubu.
いいえ、これは紫色です。
(紫色は、赤と青を混ぜた色なので、kubu または buku です。)
nis kis?
これは黄色いですよね?
ki.
はい。
na. nis kuki.
いいえ、これは橙色です。
(橙色は、赤と黄を混ぜた色なので、kuki または kiku です。)

色を表す単語は、白、黒、赤、青、黄の5種類です。その他の色は、これらの色を混ぜて(並べて)表します。濃い桃色は kupo、薄い桃色は poku、濃い水色は bupo、薄い水色は pobu、濃い灰色は gopo、薄い灰色は pogoです。

疑問文(および色の表現)に関する説明は以上です。

さて、ここで突然ですが…、ban ha hen、この意味が分かりますか?ban は「家」や「部屋」を意味します。ha は「水」や「液体」を意味します。hen は「変」とか「狂う」とか「酔う」を意味します。ban ha は、水の部屋なので「風呂」や「トイレ」を意味します。ha hen は、狂う水なので「お酒」を意味します。では「変なトイレ」は、ランディで何というでしょうか?hen な ban ha ですから、ban ha hen になります。では「お酒の部屋」は、何というでしょうか?ha hen の ban ですから、ban ha hen になります。どちらも、同じ ban ha hen になってしまいました。

(( ban ha )hen )→ 変なトイレ
( ban( ha hen ))→ お酒の部屋

この問題を解決してくれるのが、e という単語です。ランディでは、単語が(ABC)と並んだ場合に、これを((AB)C)と解釈します。(A(BC))と解釈したい場合には、e という単語を使って、(A e BC)と表現します。

ban ha hen → 変なトイレ
ban e ha hen → お酒の部屋

それでは…
[1] gin ban so
[2] gin e ban so
この意味が分かりますか?

[1](( gin ban )so )
gin は「食料・料理」を意味し、ban は「家」を意味しているので、gin ban で「家庭料理」を意味します。これを so =「賢い」が修飾しているので、「賢い家庭料理」です。

[2]( gin( ban so ))
ban は「家・建物」を意味し、so は「知識」を意味しているので、ban so で「学校」を意味します。これが gin =「食事」を修飾しているので、「学校給食」です。

では次に、仮定法について説明します。

≪新しい単語≫
la = ~ならば/~のとき
xun = 神聖な/神
gan = する/作る/働く
pin = 感じる/触る/気持ち
ta = 目/探す/調べる
tan = ~から/原因/理由
(英語の from に相当する単語です。)
pu = 今/時間

「AならばBです」という表現は、AとBを la でつなぎます。いくつか例文を見てみましょう。

mil gin la pil o fo a.
もし食料を持っているならば、それをあなたに与えます。
( o は「彼/彼女」の意味ですが、物に対しても使えるため「それ」という意味にもなります。)
xuns gu la is gan.
神が望むなら、私はやります。
piln ta la tas kan ku.
目を触ったら、目が赤くなりました。

また、la は仮定法に限らず、幅広く文を接続する働きがあります。

is kanagan.
私は働けません。
is kanagan tan ni.
この理由によって、私は働けません。
= tan ni la is kanagan.
( tan ni を文頭に置き、la でつなげても構いません。)

os giln fun.
彼は虫を食べる。
os giln fun tan u?
彼が虫を食べる理由は何?
(なぜ彼は虫を食べるのですか?)
= tan u la os giln fun?
( tan u を文頭に置き、la でつなげても構いません。)

is gu fo.
私は行かなければならない。
is gu fo lon pu.
私は今(に)行かなければならない。
(場所や時間を表す前置詞 lon が必要です。)
= pu la is gu fo.
( lon pu を文頭に置き、la でつなげても構いません。なお、文頭の lon は省略可能です。)

次に、接続詞 la を用いた「時制」の表現について説明します。

ランディの動詞には、時制がありません。その文が現在のことを言っているのか、過去のことなのか、未来のことなのかは、基本的に文脈から判断します。しかし、特別に時制を明確に示したい時には、次のように、前置詞 lon または接続詞 la を使うことで、これを示すことができます。

se = 後方/背後/裏側
puse = 過去
ti = 前方/正面/表側
puti = 未来

is gin lon pu. = pu la is gin.
私は現在に食べる(食べている)。
is gin lon puse. = puse la is gin.
私は過去に食べる(食べた)。
is gin lon puti. = puti la is gin.
私は未来に食べる(食べるだろう)。

では次に、固有名詞の扱い方について説明します。

ランディには、ヤ行とワ行の発音がないので、ヤ行はハ行(ヒャ行)を代用し、ワ行はファ行やバ行を代用します。また、ザ行(ヅァ行)はサ行を代用し、ジャ行(ヂャ行)はシャ行を代用します。また、ランディには「る」「ぬ」「す」の文字がないので、次の3個の文字を固有名詞用の専用文字として、特別に設けます。


固有名詞は、それが固有名詞であることが分かるように括弧で囲みますが、「主語と述語を分離する su 」や「動詞と目的語を分離する lu 」が直後に来る場合や、文末においては、括弧の終わりの記号を省略できます。

nis "tamoli.
これはタモリです。
(英字で表記する場合には、括弧の代わりに " " を使用します。)
"tamolis lan.
タモリが喋ります。

 

固有名詞を囲む括弧を忘れると、文の意味が変わってしまいます。
nis tamoli.
これは小さな死んだ目です。
tamolis lan.
小さな死んだ目が喋ります。

 

では次に、敬語について説明します。
 

ランディには敬語がありますが、これは「話し言葉」に限られています。「書き言葉」には敬語がありません。敬語がないというか、ランディは、常体と敬体を発音のみで区別し、文字では区別しません。もちろん発音をそのまま英字等を用いて表記すれば、常体と敬体を区別して記述することはできます。しかし、ランディの文字で表記する場合は、常体も敬体も同じになります。

敬体には、丁寧文、尊敬文、謙譲文の3種があります。

まず、丁寧文について説明します。開音節(たとえば di )で終わる文は、末尾に -ls を付けます( dils )。-n(たとえば din )で終わる文は、n を取って末尾に -lns を付けます( dilns )。-s, -l, -ns で終わる文は、s または l を反復します( -sus, -lul, -nsus )。-ln で終わる文は、n と l の入れ替えを元に戻し、l を反復します( -nlul )。


次に、尊敬文について説明します。常体(主語 su 動詞 lu 目的語)の分離符( su や lu )を反復します。n と l の入れ替えは、元に戻します。


次に、謙譲文について説明します。開音節(たとえば i )の後に分離符 su が続く場合は、分離符の前に l を入れて、分離符 su の母音 u を明瞭に発音します( ilsu )。開音節(たとえば du )の後に分離符 lu が続く場合は、分離符の前に s を入れて、分離符 lu の母音 u を明瞭に発音します( duslu )。-n(たとえば kun )の後に分離符 su が続く場合は、n と su を入れ替えます( kusun )。-n(たとえば gin )の後に分離符 lu が続く場合( giln )は、n と l の入れ替えを元に戻し、分離符 lu の母音 u を明瞭に発音します( ginlu )。


尊敬文や謙譲文に丁寧文を組み合わせることもできます。また、1つの文に分離符が何度も出てくる場合は、すべてを敬体に変化させる必要はありませんが、変化させる程度によって、尊敬や謙譲の程度を表現することができます。

さて、次はランディで重要な単語である xu と xi についての解説をしたいのですが、ここから先は「文法 Ⅲ」で解説したいと思います。

これで今日の勉強は終わりです。お疲れさまでした。

 


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