去る4月30日、「市民が主役の市政を実現する会」の第11回定期総会が開催されました。大変遅くなりましたが、総会資料(一覧表などは割愛)を転載して報告といたします。なお、役員人事、会計報告・監査報告、全体討論は省略させていただきます。

 


運動の勝利をめざして団結ガンバロー!

1 基調報告
●世界情勢
(1)未だ世界のキーワードは「コロナ・格差・抑圧・戦争」
前総会において「一般情勢」の冒頭でキーワードは「コロナ・格差・抑圧・戦争」と述べたが基本的には変わっていない。世界的なコロナ禍(3月現在:世界感染者約7億6千万人、死者約688万人)は落ち着きを取り戻しているものの、まだ混沌としており、世界経済はコロナ前までには回復していない。
 

そのような情勢のなかで、香港では民主化運動活動家や民主派メディアへの徹底的な弾圧で民主化運動は壊滅的な状況に追い込まれている。また、やはり日本に近いミャンマー情勢も軍によって国民民主連盟(NLD)などへの民主的政治が弾圧(3月28日、NLDはついに政党資格も奪われた)されており、背景には中国政府の存在がある。

 

そして、「ロシア離れを進めようとしているウクライナ指導はネオナチ」と規定して「ファシズムからウクライナ国民を解放する」としてプーチン率いるロシアによるウクライナへの軍事侵略は2年目を迎えたが、情勢はさらに深刻化している。ロシア、ウクライナはともに小麦、トウモロコシなどの主要生産国だ。小麦に関しては、両国で世界全体の輸出の約3割を占める。ガソリン、電気、ガス、小麦などの値上がりは日本も含めた世界経済に重くのしかかっている。日本の株式相場は売り先行の展開となり、円安とリンクした猛烈な物価高は国民生活をさらに厳しくしている。生活困窮者はさらに困窮している。
 

このほかにもアフガニスタン紛争、クルド対トルコ紛争。内戦ではシリア、イラク、リビア、イエメン。そして中国によるウイグル民族への迫害、北朝鮮の「金王朝」独裁政治等々、緊迫した情勢は続いている。

(2)世界は二重の危機~戦争をしない国際協調が重要
IMF(国際通貨基金)のクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は「私たちは今、パンデミックに加えて戦争という二重の危機に直面している」とし、「大部分の国では生産高がパンデミック前のトレンドへ戻るまでに、より多くの時間を要すると見込まれている。大方の新興国・発展途上国は、戦争の副次的な影響のみならず、パンデミック危機が残した傷跡への対処も迫られている。

 

こうした傷跡の例としては失業や学習機会の損失が挙げられ、その被害者の多くは女性と若者だ」と危機感を表し、「こうしたリスクに有効な唯一の解決策は国際協調こそが、より公平で強靭な未来の唯一の希望であり、私たちの義務でもある」と結んでいる。これらは昨年4月の発言だが、いまだに有効だ。
 

まさに戦争などしている場合ではないのだ。自らの権力欲しかないプーチン、金正恩、習近平、そして戦後の経済発展を支えてきた平和憲法を変えてまで戦争の準備を画策している岸田政権は文字通り愚の骨頂である。

●国内情勢
(1)まだ癒えぬコロナ禍。命より経済か
2020年1月に新型コロナウイルスの感染者が国内で確認されて3年が経過。4年目を迎えても国内のコロナ感染者や死者は増え続けている。統計に上がってくる第8波の新規感染者数は昨夏の第7波を下回っているが、死者数の多さから実際の新規感染者数は第7波を超えているとみられている。今年に入り死者は累計で6万人を超え、感染者も3300万人を超えた。これは全人口の約26.3%に相当する。また、新型コロナ感染による抗体保有率は42.3%とされている。
 

しかし、忘れてはならないのは犠牲者の大半は高齢者であるということだ。30歳代と比較した場合の各年代の重症化率は60歳代が25倍。70歳代は 47倍となっている。しかし、政府は5月8日に季節性インフルエンザなどと同じ5類に移行する方針だ。これは経済優先の政策であるが、国民の命と生活を守る政策こそが優先されるべきである。

(2)生きづらい社会。岸田の「新しい資本主義」ではさらに生きづらい
世論調査によると日本人の約6割の人が現代の日本社会に生きづらさを感じていると回答しているという。日本人の生活満足度は1980年後半をピークに下り続けてる。つまりバブル時代でさえ「生きづらさ」を感じながら多くの国民は生活していたということになる。ちなみに2022年に発表された「世界幸福度ランキング」によると、日本は54位で先進国の中でも最悪レベルだった。
 

現実問題として、現在の平均年収は約430万円と言われ、30年前からほぼ変わっていない。しかし、財務省統計によると、2022年の国民負担額は過去最高の46%という。30年前に比べ10%も上がり、実質的に稼いだ額の半分を税金や社会保障額に回されるようになった。
 

年収額を比率でみると75%以上の人が平均未満で生活している実態が明らかになっている。ましてや現役世代を終えた年金生活者は安い年金だけでは生活できずに高齢になっても臨時雇いで老骨にムチを打って働かなければならない。消費税がそれに追い打ちをかける。まさしく、老いも若きも生きづらい社会が続いている。
 

岸田政権は新自由主義となんら変わらない「新しい資本主義」を掲げ、「これまで市場に依存し過ぎたことで格差や貧困が拡大した」と繰り返してきた。しかし、なんら実効性のある政策は打ち出せず、現実的には、「日本の経済格差について、全体として『深刻だ』と答えた人は、『ある程度』を含めて昨年は88%に上った。

(3)防衛(軍事)費優先。国民不在の新年度国家予算
3月28日、2023年度の国家予算が成立したが、防衛関係費は過去最大の6兆8219億円となった。22年度当初予算と比べ26%増えた。ほぼ横ばいの6兆600億円だった公共事業関係費を初めて上回り、一般歳出で社会保障関係費に次いで多かった。
 

防衛関係費は米軍再編経費やデジタル庁が所管する防衛省のシステム経費を含む。政府は予算案に先立ち国家安全保障戦略など安保関連3文書を決めた。5年間で43兆円程度をあてる計画で実行への初年度になる。
 

防衛費増加は11年連続でこれまでの国内総生産(GDP)比1%の目安をなくした。政府の23年度の経済見通しに基づけば今回の防衛関係費はGDP比で1.19%になる。長射程ミサイルや艦艇など新たな装備品の購入費は1兆3622億円で7割弱増えた。装備品の維持整備費といった「維持費など」も1兆8731億円と5割近く増額し、継戦能力を高める。米国製の長距離巡航ミサイル「トマホーク」を400発(1発が約1億6000万円と予想)購入、極超音速ミサイルの研究など、「敵基地攻撃能力」強化に向けて国民の血税をまさに湯水のようにばらまいている。喜ぶのはアメリカなどの死の商人だ。
 

防衛費のうち自衛隊の施設整備や船の建造費など計4343億円は建設国債で財源をまかなう。これまで自衛隊施設などは有事に損壊する恐れがあるとして建設国債の対象経費ではなかった。2024年度以降に歳出を持ち越す新たな負担は米軍再編経費などを含め7兆6049億円になった。22年度の2.6倍で23年度予算案の単年での歳出額を超えた。
 

かつては「ハト派」と言われた岸田首相も、もはや権力欲の権化を背景に戦争大好き人間となった。故・安倍総理も負けるほどだ。あまりのひどさに国民民主党も今回は予算案に反対している。いま国民が求めているのは防衛予算の拡充でもなく戦争準備でもなく、ましてや平和憲法の改悪ではない。たとえば、岸田首相が当初掲げた「異次元の少子化対策」の具体化だ。「子ども予算の倍増」についても漠然とした言葉だけが羅列されている。いまもコロナ禍で困窮している世帯や中小企業への支援、子育て世代が最も求めている教育費の負担軽減は急務だ。さらには、国民年金引上げ、消費税の廃止など、やるべき課題が山積しているのに岸田自公(維)政権の国民不在の政治が続いている。

(4)国民負担による「異次元の少子化対策」
岸田首相は取ってつけたように「わが国の社会経済の存立基盤を揺るがす、待ったなしの課題だ」と「異次元の少子化対策」を打ち出した。①異児童手当の所得制限撤廃、支給期間を高校卒業まで延長②出産費用の補助拡大、公的保険適用を検討③大学生などへの給付型奨学金の対象拡大④男女とも育児休業給付を10割支給⑤保育士の増員などが柱となっているが、いずれも効果が薄いとの指摘が出ている。さらに問題なのは財源が社会保険料を引き上げという点だ。となれば年金、医療、介護、雇用といった各種社会保険料の月額料金が上がるということだ。しかも消費税の合わせ技も検討されている。とんでもない話だが、財源ならば他にあるではないか。6兆円以上の防衛(軍事)費だ。

(5)問われる地方からの民意~統一地方選
4月9日に投開票された統一地方選挙前半戦。41道府県議選の平均投票率は41.85%で、過去最低だった前回の44.02%から2.17ポイント下回り、30道県で過去最低を更新した。投票率を上げなければ自公の組織戦には勝てない。また、奈良県知事選で維新が当選、41の道府県議選でも議席を倍増している。そして、ポピュリズム右翼政党の参政党も昨年の衆院選で1議席獲得に続き、地方議員も4月9日現在でも36名となり、一時のNHK党(現・政治家女子48党)を凌ぐ勢いは不気味である。
 

しかし、全国的には「自民堅調」と言われているなか、千葉県では自民党は前回の49議席から44議席となり過半数を下回った。また、立憲は5増の15議席、共産党も2増の4議席と成果をあげている。後半戦の地方選挙や衆参補欠選挙にむけて、反自公維政治の声を地方から上げていこう。


                    挨拶する桜井代表

 

●八千代市をとりまく情勢(服部市政)
(1)服部市政よ何処へ行く
①もはや死語の「ハットリノミクス」
これまで服部市長評は「公約違反しても平気。ただ市長になりたいだけの輩」と評してきたが、悪評は変えようがない。むしろ拍車がかかっている。1期目の公約の目玉は、東京メトロとの合併を前提とした東葉高速鉄道運賃値下げ、京成線高架化、駅前再開発による人口流入などを掲げた。しかし、当選後まもなくギブアップ宣言。さらに2期目をめざして「新庁舎整備や京成沿線再開発、東葉高速の通学定期値下げを課題に挙げた」が、掛け声だけ。その後は「交通弱者のためにマイクロバスを走らせる」と胸を張ったが、またもや断念している。すでに「ハットリノミクス」という言葉は死語となり、すでに本人も使っていない。

②総括とビジョンなき、上書き服部市政
公約違反にも反省などない鉄面皮。そして市長としての哲学もビジョンもなく、ましてやリーダーシップなど微塵もない。挨拶以外の業務は部下任せ。漫然と任期を過ごして毎月約100万円の市長報酬を享受している。
 

そして、行政の節目で総括し、次のステップにはPDCA(Plan=計画)(Do=実行)(Check=評価)(Action=改善)の実施とサイクル化が必要だと、お役所の決まり文句だ。しかし、少なくとも八千代市では実行されていない。計画は前回の上書きであり、実行は前例に沿って。評価は事務事業評価が10年前から廃止されて大甘の自己採点。だから改善はなかなかされないし、同じ内容の上書きという名のサイクル化なのだ。かくして、来る後期・第5次総合計画も市民合意抜きで上書きされていく。

③議論なき市議会~自公会派の擁護で延命する服部市政
本来の任務を果たせない市長に対して、本来は行政のチェック役である議会に指弾されて然るべきだが、服部市政は自公会派の擁護で延命している。彼らの議会での武器は「沈黙」だ。議論の府である議会では、服部市政には沈黙して全て賛成し、良識ある議員からの対案には沈黙して反対する。もはや議会の体を成していないのが実態だ。議論なき市議会も、民意不在の服部市政も市民の力で変えなくてはならない。
 

●八千代市八をとりまく情勢(財政)
(1)昨年度決算の概要
①一般会計
2022年度一般会計の決算額を見ると、歳入は前年度比13.0%減の705億3,018万円、歳出は前年度比14.8%減の667億9,975万円。歳入決算額から歳出決算額を差し引いた額は37億3,043万円となり、翌年度に繰り越した事業に充てる財源7億2,219万円を除く実質収支額は30億824万円の黒字。
また、市には年度間の財源不均衡の調整や災害に備えるための財政調整基金と、特定目的のための基金残高は前年度に比べ28.2%増の79億1,763万円(財政調整基金は40億8,733万円)。
 

2023年度予算が3月議会で可決された。一般会計、特別会計及び公営企業会計を合わせた全体の予算総額は、1,117億1,652万円。このうち、一般会計は、648億9,600万円で前年度に比べて3億6,400万円(0.6%)の減。今後、補正予算が組まれる。

①予算規模
2023年度の一般会計の予算規模は648億9,600万円で前年度と比較して3億6,400万円の減額で0.6%の減。特別会計は、国民健康保険事業、介護保険事業、墓地事業、後期高齢者医療を合わせて343億4,485万9千円となり、前年度と比較して14億1,559万6千円の増額で4.3%の増。また、公営企業会計は、水道事業、公共下水道事業を合わせて124億7,566万1千円で前年度と比較して30億3,489万9千円の減額で19.6%の減。これにより一般会計、特別会計及び公営企業会計を合わせた全体の予算規模は1,117億1,652万円で、前年度と比較して19億8,330万3千円の減額で1.7%の減となっている。

②一般会計(組み替え案)
3月議会において、主役の会と連携している、会派日本共産党と三田登議員(無所属)は共同で下記の組み替え案を発議したが否決された。

●組替えを求める理由
消費税の引上げや新型コロナウイルスの感染拡大による暮らしへの影響、更に円安と物価高騰によって、市民の生活は危機的な状況となっている。一方、市の財政状況は、主に国からの交付金等の増加により改善しており、市債残高は大幅に減少し、財政調整基金残高は約32億円、公共施設等整備基金残高は約11億8,000万なっている。
 

よって、財政調整基金及び公共施設等整備基金の一部を活用し、避難所となる学校体育館へのエアコン設置、学校給食費の補助、交通不便の解消等、市民の暮らしを守るため、以下の内容で予算の組替えを求めるものである。

③八千代市国民健康保険事業特別会計予算(組み替え案)
一般会計と同様に会派日本共産党と三田登議員(無所属)は共同で下記の組み替え案を発議したが否決された。

●組替えを求める理由
国民健康保険料については、令和4年度から未就学児に係る均等割保険料の2分の1が公費負担となっている(負担割合は国2分の1、県4分の1、市4分の1)。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中で、急激な物価高騰により苦境に陥っている子育て世帯の負担を軽減するため、18歳以下の子供に係る均等割を廃止するとともに、1世帯当たり1万円の保険料引下げで、全世帯が安心して暮らせるよう、予算の組替えを求める。

●八千代市をとりまく情勢(施策)
(1)八千代市第5次総合計画
①総括なき総合計画
財政は市の基本的施策に人件費も含めた事業費として使われるわけだが、施策の最上位に位置づけられているのが総合計画だ。市は「まちづくりを進めていく上での基本理念や 将来目標等を示し、それを実現するための手段等を体系的に整理したものであり、総合的な行政運営の指針となるもので、①基本構想②基本計画③実施計画の3層で構成」と説明。しかし、基本となる構想はこれまでの上書きにすぎず新たな展望を示せないままだ。当然、基本計画も現状の後追いだ。実施計画だけが「市民サービス切り捨て・公共施設削減と統廃合」と明確にしているというのも皮肉な話だ。

②市民合意なき総合計画
これまで総合計画は前期後期各5年の10年計画だったが、前後8年に短縮されている。今年度は前期の最終年度だ。あいかわらずPDCAが欠如したシロモノであり、前提となる事務事業評価は秋葉市政以降10年も実施せず、自己採点を基礎にしている。
 

これではPDCAがサイクル化などできないし、市民にはいつも事後承諾で十分な説明と合意が形成できるはずもない。ましてや、第4次までは言葉のうえだとしても市民合意をめざす文言があったが、まるまる削除されてしまったことに見られるように服部市政に市民合意という概念はない。

(2)削減と統廃合をめざす公共施設再編計画
総合計画の最大テーマは公共施設再編だ。公共施設等個別施設計画は、ご都合主義の財政難対策であり、「八千代市の財政が厳しいから、学校を始めとした公共施設を削減や統廃合して支出を抑えたい」というのがこの計画の本質だ。
 

そもそも、2014年に国・総務省が「公共施設の統廃合と再編を推進するために、全国の自治体に公共施設等総合管理計画を策定するように指示したのが発端であり、八千代市もお上のお達しということで、唯々諾々と作成した総合管理計画から始まり、その次の「アクションプラン」を通して、昨年からいよいよ個々の具体的な公共施設に着手しはじめた。それが「公共施設等個別施設計画」である。
 

それを30年かけて全ての市内公共施設のありようを決定していくのが「公共施設等個別施設計画における各種取り組み内容」だ。最初の5カ年の取り組みは43施設が対象。とりわけ、八千代市少年自然の家廃止、市営住宅廃止、大和田公民館・図書館仮設施設の恒常化など、早くも市民サービスと教育環低下施策が盛り込まれている。
 

また、小中学校の老朽化のなか、今回は8小中学校の校舎・体育館の長寿命化改修で収まっているが、残り23の小中学校がある。「公共施設等個別施設計画」においては全公共施設の約24%の削減が計画されているが、全体の約60%を占める学校の統廃合

第2次各種取り組み内容として今後計画される可能性は極めて高い。

 

 

●昨年度の主要な取り組み
(1)市庁舎整備問題
市庁舎整備問題は、新川ハコモノ反対運動と市長選への取り組みを契機に結成された、わが会の最初の課題だった。「耐震不足の庁舎に対する早急な耐震化」を訴え、市民と職員の命を守るために低予算かつ緊急に対応するために緊急防災減災事業債を活用した耐震化工事の実施を求めた運動は結果的に約10年の時間を費やした(10年という   (市民の声で見直しさせた第1次基本設計レイアウト)
タイムロスは結果論的に耐震化工事の意味合いを弱めた)が、財政難のなかで、このままでは150億円に達する当初案を糾弾し、第1次基本設計の見直しでコスト本庁舎の約118億円を約105億円に圧縮させた。
 

服部市政は「建て替え正式決定」→「計画・基本設計完成」→延期→「計画・基本設計見直し」と紆余曲折を重ねてきたが、昨年末に基本設計の見直しを決定し、「庁舎のコンパクト化と予算圧縮、一部ZEB化」に方針転換を決めた。それは市民運動の圧力に服部市政が追い込まれたからに他ならない。少数派ながら議会内による論陣も一定の役割を果たしたが、なによりも市民世論を背景に主役の会は街頭宣伝、市民学習会、市長交渉などを重ねてきた。長年にわたる粘り強いたたかいの成果だ。

(2)八千代医療センター問題
市政において、市庁舎整備問題に続く昨年からの重要案件は八千代医療センター問題だ。この問題は、令和2年からの血液内科を始め、呼吸器内科、糖尿病・内分泌代謝内科、リウマチ・膠原病内科、皮膚科の5科の常勤医師が不在となり、新規患者受け入れを中止している問題だ。また、転院を余儀なくされた従来患者も少なくない。                                 
 

理由は内科に限らず、医師の退職に歯止めがかからないことにある。2年前と比較しても常勤医が約60人も退職。非常勤医でやりくりしているのが実情。また、常勤看護師もここ2年で約80人も退職。慢性的な人員不足に陥っている。したがって救急体制や医療レベルも低下している。
 

原因は本院理事長のワンマン・営利主義が原因。理事長は近年、大幅リストラや徹底した人件費などのコストカットを進め、大学病院としては最低ランクの待遇だ。本院も医療センターも黒字決算を続けているのに営利主義にもほどがある。また、理事長のワンマン経営=強権支配も人材の流出につながっている。
 

さらに理事長は不明朗なお金の流れをめぐり刑事告発もされている。服部市長も重い腰をあげて昨年10月に本院に訪問して理事長と面談し、医師の補充を要請した。しかし、理事長から逆提案され「医師の補充費用を市が補助してほしい」と服部市長に要請されて帰ってくる始末だ。

(3)オスプレイ配備反対運動
いうまでもなく、欠陥軍用機オスプレイの危険性は繰り返し訴えてきた。日本はオスプレイ 17 機の配備を決定。価格は総計30億ドル(約3600億円)。2015年度の社会保障予算削減分3900億円に匹敵する金額である。すでに木更津基地に 9 機配備されている。オスプレイの問題点はなんと言っても、米軍で何度も墜落したり、故障を繰り返す欠陥性だ。それが習志野演習場に向けて年間数千回も飛来してくる。
 

2020年8月に習志野市・八千代市・船橋市の3市市民による「オスプレイいらない!習志野・八千代・船橋ネットワーク」が結成された。八千代市では単体でも「オスプレイいらない!八千代ネットワーク」を結成。毎月10日は「オスプレイいらない月間行動」として駅頭宣伝を継続して取り組んできた。また、3市ネットによる薬円台公園での「オスプレイはいらない市民集会」も昨年に続き開催され、約400名の市民が集会とデモに参加して成功した。また、連動する問題として「土地利用規制法」がある。「自衛隊基地の周辺や国境離島など安全保障上重要な土地の利用を規制する」として昨年10月に施行された。
 

政府が「重要施設」として位置付けた場合、土地等利用者の思想・良心の自由、表現の自由、プライバシー権、土地等利用者の財産権が侵害される。政府が「安全保障」と言いさえすれば、政府が広範囲に制限のないまま、いろいろな情報を集めることができてしまう悪法である。これにより、市民の反基地運動や反原発運動を抑圧することを目的としている。昨年10月に施行されたが断固として廃止を求める。

(4)諸運動との連携
わが会の主題である「市民が主役」とは、言い換えれば「市民(国民)の普遍的利益を守り、発展させる」ことだ。主体的かつ直接的な舞台は八千代市になる場合が多いが、主題にリンクする運動には共闘や連携も行う。これまでにも年金者組合、土建組合、市民アクション八千代、平和委員会、新婦人、千葉2区市民連合、脱原発八千代ネットなど、課題ごとに共闘や連携をしてきた。

 

                                                   報告する三田事務局長

 

2 さらなる運動の発展をめざして
(1)市民参加型の「八千代市第5次基本総合計画」に
基調報告でも述べたように、評価の基となる事務事業評価は秋葉市政時に廃止され、10も実施されず、経験主義的に処理され続けている。市が自ら謳っていたPDCAサイクルは完全に形骸化している。
 

とりわけ、第5次では第4次でさえも一応は謳われていた「市民参加」の概念が完全に排除された。今年度は第5次基本総合計画前期の最終年度になる。前回の市長選において桜井さんが提唱した「市民協議会」設立と、行政による共同作業で計画の練り直しを行なうべきであり、会としても引き続き、市民参加型最上位計画の練り直しを求めていく。

(2)収束しないコロナ禍。生活支援、経営支援の継続を
これまでの国のコロナ予算は総額77兆円(2022年1月時点)。感染対策や経済対策として全国全ての自治体に配られた「地方創生臨時交付金」の予算額は4兆5,000億円。中小企業の支援でおよそ26兆円。特別定額給付金など、生活・雇用の支援でおよそ15兆円。そして、医療機関への支援やワクチンなど感染防止にはおよそ5兆円が投じられたが、その裏で「事務委託費」なるものが計上され、その額約5,000億が委託事業者であるリクルート、電通など大企業の懐に入ったのである。
 

緊急事態宣言の発令、飲食店の時短営業や国民の行動自粛など社会経済は混乱した。天下の愚策であるアベノマスクを始め、PCR検査やワクチン接種、Go Toイート、学校のオンライン授業など、これまで政府の不手際で国民は混沌とした生活を3年も強いられてきた。
 

新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は八千代市に、ここ3年で総額約36億5,000万(R2年12億7000万、R3年10億6,000万、R4年13億3,000万)が給付(今年度は7~8億円の予定)されたが、八千代市が実施したコロナ対策事業はあくまでも交付金を前提としたもので、市独自のコロナ対策事業や予算は僅かだった。
 

ここにきて5類移行などコロナ禍は「もう一安心」かのような風潮づくりに政府は前のめりだ。つまり「これ以上コロナで金は出したくない」というのが本心だ。コロナ医療費の一部やPCR検査の自己負担化もその表れだ。しかし、コロナ禍による生活困窮世帯や中小企業が負った傷はまだ癒えていない。国や市には生活支援、経営支援を継続して求めていく。

(3)市民合意なき公共施設再編(削減・統廃合)に反対
全国の自治体で懸案になっている公共施設老朽化。前述したように2014年に国・総務省が「公共施設の統廃合と再編を推進するために、全国の自治体に公共施設等総合管理計画を策定するように指示したのが発端である。つまり、軍事予算に回す金はあっても公共施設維持のために地方に回す金などない」ので「地方で何とかしろ」ということだ。かくして各自治体は「自前で全部の更新や維持は無理なので公共施設の削減・統廃合を計画している。
 

しかし、八千代市に限らず公共施設に占める学校の比率は高い。阿蘇米本学園はその先例だ。子どもたちの教育環境の悪化は許されるものではない。八千代市の公共施設再編の具体的計画しての「公共施設等個別施設計画」は、「24%の公共施設削減」というノルマを果たすためには公共施設の6割を占める学校をターゲットにしている。具体的には、現在ある市有公共施設の総床面積37.5万㎡のうち24%=(9万㎡を削減28.5万㎡)となるが、市民サービス低下は必至であり、人口流出を加速化させる。施設の必要性は地域に温度差がでるので、地域別・個別での市民説明会や意見集約をもとにした市民合意抜きには容認できない問題だ。地域の声を背景とした運動を展開していく。
 

また、市庁舎整備問題についてはコストの見直しを実現できたことから10年かけた運動にひとつの節目を迎えている。ただし、別館の扱いや、まだ未計上の諸費用など後回しにされている問題もある。主役の会の別働部隊である「市庁舎整備を考える市民の会」の活動は継続し、今後も注視と点検を行い、必要に応じた行動もしていく。

(4)引き続き市庁舎整備の進捗を監視し、市民のための新市庁舎建設を求める
先述したように、長年の粘り強い運動により、財政難のなかでの一点豪華主義を糾弾し、第1次基本設計の見直しでコスト約118億円を約105億円に圧縮させた。しかし、別館改築や活用、まだ計上されていない諸費用や今後予想される物価高、人件費の高騰など事業費が105億円ですむわけがない。
また、ZEB化についても曖昧だ。「ZEBのランクはイニシャルコスト及びランニングコストの観点から検討を行い、省エネルギー率50パーセントのNealy ZEBを目指すといいながら、ささやかなソーラーパネルをつけただけで蓄エネ施設を導入する予定もないなど、まだ問題は多い。

 

今後も「市庁舎整備を考える市民の会」を軸に、引き続き市庁舎整備の進捗を監視し、市民のための新市庁舎建設を求める。

(5)消費税率は0%~5%に。超物価高に苦しむ国民生活防衛を
1889年から始まり、3回も消費税率は上げられてきた。この制度が累進課税とは逆に、所得が少ない人ほど税の負担率が高くなる逆進税という指摘に政府は「社会保障の充実に使われる」と言い訳してきたが、その多くが国の借金返済や大企業の優遇に費やされた。ましてや、この間の空前の物価高は消費者に厳しい生活を余儀なくされている。
 

また、本年10月から開始される「インボイス(適格請求書)」は、これまでの免税事業者からもしっかり税徴収するもので、インボイス対応にかかる経費も併せて大きな負担となっている。引き続き、国民の切実な声である消費税率0%~5%にして内需拡大を。生活支援、中小企業支援を求める運動を引き続き取り組む。

(6)国保料、介護保険料の値下げを
本来は今年度の国保料値上げがあったが、基金から1億5,000万を取り崩して市民への直接の値上げはなかったが、それだけでいいわけがない。本年3月議会でも年金者組合から国保料の値下げを求める請願が出された。
 

請願にもあったように八千代市の国保加入者の約8割は所得の低い「給与・年金」世帯で、年所得200万円以下の加入者が76.2%を占め、国保料の滞納世帯は全加入世帯の16%だ。八千代市は国庫負担の増額を国につよく要望するとともに、国保会計財政調整基金の活用などにより、国保料の「据え置き」ではなく「引き下げ」を実現するべきだ。主役の会としても年金者組合との連携を強化していく。
 

また、一昨年の3月議会では介護保険料値上げ案が提出され可決された。第7期に続き、第8期となる前期も平均値となる第5段階で現行の56,940 円から5,220 円を値上げして 62,160 円という大幅な値上げだった。
 

来年度は見直し期になり、再値上げが予想される。ただでさえ少ない年金から自動的に差し引かれた年金額を見て殆どの年金生活者はタメ息をついている。国保同様に介護準備基金から捻出させるべく運動を展開していく。

(7)年金支給額引き上げを。安心して暮らせる老後へ
帝国データバンクが2023年2月28日に公表した「「食品主要195社」価格改定動向調査」によれば、2023年4月までの食品値上げは1万5000品目に達成する見込みで、3月の値上げ品目数は3442品目。国民生活は火の車だ。
 

調査によれば60歳代の貯蓄をみるとより実態に近い中央値は700万円。また、貯蓄ゼロの世帯は20.8%という結果に。たとえば夫婦で国民年金の場合、満額でも月約13万円の収入が平均だ。しかし、2004 年にマクロ経済スライド制が年金制度改悪で導入されて以来、年金生活者にとっては厳しい生活が強いられている。
 

「リタイア後の最低日常生活費は月約23万円。経済的にゆとりのある老後生活を送るための生活費用は月平均37万9000円」と報告されている。したがって、70歳をすぎても非正規雇用で働かなくてはならない生活実態がある。安心して暮らせる老後」には大幅な年金支給額引き上げが必要だ。主役の会としても年金者組合などと連携しながら取り組みを継続する。

(8)子どもの医療費・給食費無料化、待機児童解消を
自治体の発展に子育て支援の拡充は欠かせない。まず、高3までの医療費の完全無料化と、学校給食の無料化は喫緊の課題である。東京都は、現在中学生までとしている医療費助成の対象を高校生まで拡大する方針を固めた。区市町村との協議がまとまれば2023年度から、23特別区と一部市町村で、未就学児から高校生までの医療費が無料化される見通しだ。
 

また、子育て支援に保育所は欠かせない。保育園の施設数は3月現在で公立8、私立24、小規模保育13。待機児童数は、八千代市は今も県内ワースト1位だ。待機児童も一時は全国でも2位で、市はあわてて小規模保育事業所を8か所増やした。あいかわらずの後追い行政だ。
 

3月現在で、国基準の待機児童数は約120人。いわゆる、「かくれ待機児童」は200人を超えている。解消策は保育園の増設と保育士の待遇改善だが、あわせて保育送迎ゼンターの設立が求められていたが、本年度事業で市は具体化に乗り出した。(9か所)これも市民からの切実な声による成果だ。しかし、対象は3歳児以降で幼稚園だ。市は「送迎支援事業ではなく、あくまで幼稚園児の一時預かり事業だ」と言う。なぜ保育園は対象にならないのか。保育園への通園こそ送迎支援が必要だ。主役の会は、引き続き子育て支援施策の拡充を求めていく。

(9)東葉高速の運賃引き下げ、定期割引率引き上げを
2020年に関係3自治体が東葉高速鉄道への支援要請が国土交通省を行い、①支援策の検討②長期債務の元利償還金負担への支援などを要請したが形だけのアリバイ作りだった。2021年の12月八千代市議会では全議員による「東葉高速の通学定期割引率引上げの早期実現を求める決議案」が全会一致で可決されたが、具体的成果はあがっていない。ましてや、問われているのは運賃の値下げである。にもかかわらず自公系の多数会派は運賃引き下げの請願に反対している。まるで理解不能な所業である。
 

これまでの請願や会派日本共産党などによる議会での議論にもあるように「連続黒字決算を計上していても日本一高い運賃を値下げできない原因が、建設時に発生した多額の有利子負債の返済である」「「東葉高速の有利子2600億円の債務を無利子融資に切り替えるよう国に働きかける」しか運賃値下げの方策はない。われわれは、今後も市民の声や議会での取り組みで実現させ、運賃引き下げに繋げる運動を求めていく。

(10)交通弱者対策の推進を
かつて市内7地区に運行していたコミュニティバス。現在は八千代台コースのみとなっており、私鉄バスが循環していない地域の市民は「公共施設利用や買い物をするのに苦労している」など、コミュニティバスなどの復活が多くの市民の要望だ。
 

当初、服部市長は市長選でもコミュニティバス復活を口にしていたが、それがコンパクトカーに代わり、それさせも事実上のギブアップ宣言をし、変わる方策として「福祉タクシー券、高齢者タクシー券の利用条件や緩和を拡大させる」ことでお茶を濁そうとしている。それはそれで実施するべきだが、タクシー券だけでは限界がある。やはり、小型でもいいからコミュニィバスあるいはオンデマンドタクシーの運行が求められている。今後とも、交通弱者支援のために市民要求に応える運動を議会要請と併せて取り組んでいく。

(11)八千代医療センター問題の早期解決を
個別課題でいえば、今もっともホットな問題と言えるかもしれない。そもそも20年前に自民党政治家らが利権がらみで暗躍して強引に東京女子医大を誘致した時点で問題は始まっていたのだ。当時の市民らは誘致仮処分を求めて訴訟を起こし、最高裁まで争われた。一時は辞退した女子医大に三顧の礼で迎えたのが自公議員だ。だから、支持者からも「なんとかしてはしい」と言われ続けても責任の所在がブーメランとなるので沈黙するか、馴れ合いの質問をしてアリバイ工作するのがせいぜいだ。
この問題の諸悪の根源は本院の女帝・岩本絹子理事長だ。八千代医療センター院長には何の権限もない。結論からいえば問題解決には岩本理事長の追放しかない。
 

この間、東京女子医科大学の岩本絹子理事長をめぐる「疑惑のカネ」が背任罪にあたるとして、OGの有志が警視庁に提出していた理事長による背任の告発状が3月27日に正式に受理された。さらに、東京国税局が約2億5000万円の申告漏れを指摘し、約5500万円を追徴課税していた問題で、女子医大が莫大な報酬で「国税OBの税理士」を雇って対応させていたことが内部文書で判明した。このほかにも疑惑はたくさんある。
 

また、ここにきて大学教授陣が理事長に反旗を翻し、4月3日には大学を支えている柱のひとつである至誠会が臨時総会を開催して同会の会長である岩本理事長の解任が可決された。このような問題理事長に、10月に面談したさい「医師を補充するから金をだせ」と言われて「左様ごもっとも」と対応した服部市長には「寝言は寝て言え」といいたい。
 

2月からは問題解決を求める署名運動を展開している。1,000筆を第1次集約としたが、4月中旬現在ですでに1300筆を超えており、市長と医療センターへの交渉をおこなう。また、5月からは第2次署名運動に取り組む。可能な議員と連携しつつ、市民の声で問題解決をめざす。

(12)議会と選挙への取り組み
①選挙に関する会の立場
会としては、八千代市長選以外の選挙については特定の候補者への支援は機関決定しないとの従来方針を堅持し、それ以外の選挙活動は会員個々の取り組み課題とする。また、2年後の市長選へ向けた議論と、人選を含めた取り組みを早めに準備する。

②議会の見える化と市民参加型議会へ
市民からは「議会や議員は何をやっているのか分からない」という市民の声に応えるのは本来、議会と議員である。とにかく市民への情報が足りない。ホームページや「議会だより」だけではあまりにも情報不足だ。だから、1年で1回も質問しないで平気でいる議員がでるのだ。それを知らない有権者はそのダメ議員に投票して当選させることになる。「議会報告会」の実施や前回の市長選で桜井候補が訴えていた「市民協議会」の創設が必要だ。今後も市民の立場から市民参加型の議会改革を求めていく。

③傍聴体制の強化を
議会の側で服部市政を支えようとする自公会派への市民の監視と声が求められる。組織的に傍聴を呼びかけ、常に議員に圧力をかけつつ、監視することが必要だ。昨年は、情報公開と市民の会の請願が採択されて、常任委員会の委員会別の開催形式に改善された。本議会だけでなく各常任委員会にも積極的に傍聴しよう。

(13)平和と憲法を守る運動との連携を
憲法と平和を守るたたかいは、この間、「八千代9条の会」が継続的に運動を展開している。また、「市民アクションやちよ」は安倍9条改憲を許さない 3000 万署名運動を粘り強く取り組んできた。多くの団体や個人が同意し、あらためて活動を展開している。平和委員会や、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求めることを目的としている市民連合とも連携しながら、引き続き改憲阻止・平和憲法を守る運動を推進していく。

(14)戦争と核を許さない運動との連携を
戦争に「正しい戦争」も「正しくない戦争」もない。同等の罪悪である。理屈は後でつけても人が死に傷つくことに変わりはない。「でも、どこかの国が日本を攻めてきたらどうするか。だから日本も軍隊と核は必要だ」という根拠なき主張は実は少数意見ではない。巧妙に政治利用する右翼ポピュリズムがネットを利用して拡大している。(社会や経済が混沌とするとネオ・ファシズムが台頭するのは歴史が証明している。ヨーロッパではさらに顕著だ)日本でもたとえば、反動右派の日本維新の会、日本会議系の参政党の台頭もその一例だ。

 

戦争や核への抑止力は国際世論だ。2021年の核兵器禁止条約は国連安全保障理事会の常任理事国で核保有国のアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5ヵ国は反対したが意味のある条約だったが、唯一の被爆国である日本のはずなのに条約に反対した。被爆者、戦争被害者に対する許し難い暴挙である。自公政権による改憲策動ともに進めようとしている戦争への道=軍拡路線を許さない国民的運動である反戦・反核運動との取り組みと連携を強める。

(15)反・脱原発運動との連携を
本年3月で12年目を迎えた福島原発事故。事故処理問題や避難者(約3万人)問題など、本質的にはなにひとつ解決していない。それは政府の無策と、原発ありきの政治方針に原因があることは明らかだ。国は「福島廃炉ロードマップ」を10年前に示したが、いまだ何も進んでいない。しかし、ロードマップの見直しどころか、「汚染水貯水タンクの限界」を理由にした ALPUS 処理汚染水の海への放出を方針化した。国民の命などに二の次なのだ。
 

2月28 日に政府は原発の運転期間延長や原発利用を推進するための5種類の束ね法案(①原子力基本法②電気事業法③原子炉等規制法④再処理法⑤再生可能エネルギー特別措置法)の閣議決定を行ない、順次、今国会に上程される。また、GX((グリーントランスフォーメーション)推進法案においては、「原子力の活用」を謳い、将来は原子力ゼロをめざすどころか原発回帰へひた走っている。これまでは、原発依存は順次減らしていくことが政府主導のエネルギー基本計画にも謳われていたが、地球温暖化対策とウクライナ情勢に端を発した化石エネルギー供給不安を口実に、大きくその政策を転換しようとしている。
 

八千代市では「脱原発ネットワーク八千代」が今月で116回の月例学習会を開催して真摯な活動を継続しており、主役の会からも個別参加ではあるが連携している。今後も継続して反・脱原発の全国的な運動に連帯していく。

(16)オスプレイの配備と飛行、土地収用法を阻止する市民運動の発展を
先述したように、日本はオスプレイ17機の配備を決定。価格は総計30億ドル(約3600億円)2015年度の社会保障予算削減分3900億円に匹敵する金額である。すでに木更津基地に9機配備されているが、欠陥性があることと反対運動で、いまだに配備も飛行も足踏み状態だ。オスプレイの問題点はなんと言っても墜落と故障を繰り返す欠陥性だ。それが習志野演習場をはじめ、日本の上空を飛び回るのだ。
 

あわせて国の都合で土地等利用者の思想・良心の自由、表現の自由、プライバシー権、土地等利用者の財産権が侵害される「土地利用規制法」も一貫して廃止を訴えている馬奈木厳太郎弁護士は「地方から土地利用規制法廃止へのうねりを」と激を飛ばしている。そういう意味でも「オスプレイいらない!3市ネット」の存在意義は大きい。また、「オスプレイいらない!八千代ネット」は今後とも毎月のオスプレイいらないアクションを粘り強く継続し、オスプレイ配備阻止と「土地利用規制法」廃止までたたかい抜く。

(17)ジェンダー平等をめざす運動の取り組みを
世界経済フォーラムが2022年7月に公表した「The Global Gender Gap Report 2022」を公表し、その中で、各国における男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数を発表した。この指数は「経済」「教育」「健康」「政治」の4つの分野のデータから作成され(0が完全不平等、1が完全平等)、2022年の日本の総合スコアは0.650、順位は146か国中116位(前回は156か国中120位)だった。先進国の中では最低レベルで、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果だった。
 

この背景には、女性は出産や育児で仕事を離れることになってしまう可能性や、またそれに対する制度が整っていないことが原因だ。帝国データバンクの2020年の調査によると、女性管理職割合は平均7.8%と、前年より微増しているものの、非常に低い結果が出ている。世界経済フォーラムの発表では、日本の女性の政治への参加率の低さが指摘されている。国会議員の女性の割合はわず9.9%、大臣の女性の割合は10%に過ぎない。
 

また、市町村議会においても女性議員の比率が20%を超える都道府県は東京を含む4都道府県のみで、残りの44都道府県では20%以下となっている。八千代市議会は女性議員が2名という時代もあった。昨年の市議選で6名となり、辛うじて20%を上回った。八千代市では新婦人が奮闘しているが、主役の会としても大きなテーマとして共に取り組んでいく。

(18)野党共闘の継続と発展の運動に連帯する
2021年の衆議院選、2022年の参院選ともに野党共闘を軸として取り組まれたが、議席だけ見れば厳しい結果に終わったが、メディアは揃って「野党共闘の失敗」の論陣を敷いたが、あまりにも短絡的だ。結果そのものについては残念だったが、野党一本化した217選挙区では62勝しており、善戦している。また、前回と違い、全体の4割が接戦だった。
 

しかし、市民連合の総括文を引用すれば野党共闘は、戦略的に正しく、成果があり、次への課題が見え、展望が開けた」そして今後の取り組み方向として「①市民と野党の共闘・野党共闘体制の強化、②めざす政策の確認、③市民連合の主体性の強化」と指摘している。同時に「敗北であった」と結果については総括している。
 

また、2022年の参院選においても「衆議院選挙の総括も一言でいえば、課題は本格的野党共闘を作り上げることであったが、そのことを認識しながら、全国で努力したが、衆議院選挙よりもさらに弱い野党共闘体制しか作り上げることができなかった」として、再び「敗北」と総括している。しかし、これらの総括の結論は「だから辞めよう」というものでは決してない。数の上で改憲勢力に3分の2を許してしまったが、野党共闘という戦い方が間違っていたわけではない。まさに「本格的野党共闘を作り上げる」任務の遂行こそが問われているのである。
 

本年は統一地方選で、国選とは違い個々が切磋琢磨するしかない部分が多いが、1議席でも多く反自公・護憲・反戦勢力が増えることに期待したい。主役の会は今後とも野党共闘の継続と発展の運動に連帯する。

(19)総資本の走狗・芳野連合会長は辞職せよ。真のナショナルセンター建設を
かつて「ニワトリからアヒル」と言われた総評もひとつの時代を担ったが、その後の「右翼的労働戦線統一」論議は、当時の労働運動を牽引していた国鉄労働運動を解体したい政府と国鉄が所有する膨大な資産を狙った資本の思惑が一致して画策されたものだった。しかし、1982年の「全民労協」結成により総評・同盟・中立労連、新産別などが合流。1089年に連合が結成。かくしてナショナルセンターとしては連合・全労連・全労協に分裂。国鉄のみならず自治体労働者、全電通、全逓など多くの歴史ある労組が分断・分裂し、当時の中曽根政権と総資本の目論見みは「成果」を得た。だから先頭に立っていた情報通信労連委員長の山岸は初代会長になり、政府からの御褒美で2000年に勲一等瑞宝章を受章したのである。そして今日、野党共闘に反対し、自民党に媚びを売るしか能がない現会長の芳野友子氏は史上最悪である。文字通り総資本の走狗であり、即刻辞職するべきである。
 

フランスのマクロン政権は「年金支給年齢を現行の62歳から64歳に引き上げるとともに、満額支給を受けるための社会保険料支払い期間を42年から43年に引き延ばす」という年金改革法案を発表。これには国民の約8割が反対。フランス労働者は全土で350万人の街頭デモを行った。産業別の主要労働組合である労働総同盟、民主労働総同盟、労働者の力、キリスト教労働者同盟、独立組合全国連合、統一労働組合連合、管理職総同盟、連帯組合連盟などが、「前例のない大規模な行動」と位置づけ、各産業の下部組合にもゼネストへの参加を呼びかけた。
 

同様に年金制度改悪を受けた日本はどうか。「光熱費を払ったら年金がなくなった」という声をよそに連合の芳野会長は自民党のパーティーにどの服を着るか迷うことに忙しいようだ。
 

ところで、日本の労組組織率は低下を続けていたが、17.1%と、11年ぶりに0.4ポイント上昇したと厚労省が発表した。ただし、連合の成果ではない。非正規雇用の組合員が前年から4万人以増加、137万5000人となり組合員全体に占める割合も0.4ポイント上がり13.7%となったことの裏返しだ。企業がいつでも切る捨てることのできる非正規労働者が増え、連合は当てにならないゆえに個人参加の地域合同労組が増加している。全労連、全労協、中立組合、地域合同労組が連携して新たなナショナルセンター建設を展望することが求められている。

(20)会の運営体制強化を
①役員会議とブロック会議幹事
責任者との合同会議を役員会議として位置づけ、基本的には1か月に1回(必要に応じてはその限りではない)の定例会議の開催をめざす。また、ブロック会議では複数の幹事で担う体制にする。
 

②地域の要求に根ざした活動を
地域ごとの問題や悩みの解決は、わが会がめざしている「誰もが住みやすい八千代」に向けて重要だ。とりわけブロック会議を軸に地域活動として取り組む。
 

③宣伝活動の強化
ビラなどをもっと積極的に発行し、地域、駅頭などに情宣活動する。また、会サイトを充実させ、情報の拡散と共有に努める。
 

④会員の拡大
結局は、正しい運動をぶれずに継続することを通してしか支持は増えない。本年度で意思一致した取り組みを、どう実践できたが会員の増減に帰結する。会員の拡大に努力する。
 

⑤イベントなどの取り組み
いま問われている課題は何か、市民が何を求めているのか。情勢と課題を的確にとらえて多くの市民が結集するイベントやキャンペーンの取り組みは重要だ。

3 役員人事(略)

4 会計報告、監査報告(略)

5 全体討論(略)