規制委の独立性を骨抜きにする野田政府の無理 | 原子力発電を考える石巻市民の会 日下郁郎

原子力発電を考える石巻市民の会 日下郁郎

「原子力発電を考える石巻市民の会」(近藤武文代表)は、東北電力の女川原子力発電所が立地している宮城県石巻市で、1979年より原発問題に取り組んでいる市民団体です。

今朝(9月5日)の朝日新聞は「新たに原発規制を担う原子力規制委員会の発足に向け、野田佳彦首相は初代の委員長と委員4人を国会の同意なしに任命する方針を固めた」と報じています。
「いずれも国会同意人事だが、会期末の8日までの採決が見送られるため法律に基づく例外規定を適用する。内閣の人事案に与党から異論が出たためで、これに首相が任命権を行使する異例の事態だ」。与党内で異論があるなら、与党内でしっかりと議論するのが先。それなのに、その与党内の異論を封じて首相が任命権を行使しようとするとは・・・。
原子力規制委の設置期限は、今月26日です。「野田内閣は発足をこれ以上遅らせられないと判断。規制委設置法の付則には国会同意がないまま閉会した場合に首相が任命できる例外規定があり、これを適用する。今月中旬にも初代委員長に田中俊一・前内閣府原子力委員長代理を任命。ほかの委員4人も政府案通り決める」といいます。例外規定の都合のいい適用(つまり悪用)ではないのでしょうか。

  ※2012/09/05 規制庁準備室との交渉・緊急屋外集会&記者会見(東京・霞ヶ関)


「規制委の人事案は、内閣が7月26日に衆参両院に提示した。だが、田中氏らを「原子力ムラの住人」と問題視する声が民主党内からも起き、党執行部が採決を先送りしてきた。民主党の城島光力国会対策委員長は4日、今国会中の採決について『極めて困難になった』と断念を表明した」。
しかし、「例外規定によって首相が任命しても次の国会で同意を得る必要があり、変更を迫られる可能性がある」。
「そのため内閣は、国会の事後同意が当面必要なくなる『緊急事態』を理由にすることを検討している」という。
これでは、長く政権についていてわるずれしてしまった自民党のやりかたと同じだ。このような手口を「野田め」政府に示しているのは、いったい誰なのだろうか。

朝日新聞は、関連記事「規制委の独立性骨抜き」(第3面)で「国会同意は規制委の独立性を高めるために設けられたが、発足前から骨抜きになった」と過去形で報じているが、規制委の独立性を骨抜きする野田首相らのこのような無理を、このまま通させる訳にはいかない。