なぜ、ホクロは切り取ってはいけないか… の考察。 | しみ・ほくろクリニック熊本のブログ

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服に丸い穴があくと、ツギはあてますが、縫わないですね。

簡単な話です。

縫うと、穴の所が、ひどくひきつれてしまうからです。

なぜそうなるかと言いますと、こうです。

1センチの丸い穴を縫ったとします。半径rは0.5センチ。

円周は、2πr。

縫うのは、半円の弧ですので、長さはπr。

 

 

すなわち約1.57センチになります。

1センチの所に1.57センチが入りますので、当然入りきらない部分が、でっぱることになり、変形すなわち、つれてしまうのです。

 

ほとんどのホクロは丸いので、ホクロを切り取ると、同じことが起きます。ただし、人間の皮ふは柔軟性がありますので、ホクロの直径の2.5~3倍の長さで、目玉状に切り取れば、両端の変形を最小限にすることができます。

 

 

これくらいの大きさのホクロでしたら、切り取ることなく、きれいに取ることはできるのですが、切り取った場合は

 

 

 

縫い上りは、もとのホクロの3倍ほどになります。

ゲッ、と思うかもしれませんが、シワに一致した部位は傷跡が目立たないので

 

 

ほとんどわかりません。

1センチをこえるような大きなホクロを、切除縫合する場合は、鼻などの輪郭のラインに隠れるか、シワに平行になるか、額のようにシワの一部になる場所でなければなりません。

 

ただし、1センチ以下のホクロは、99%位の確率で、切り取ることなく、しかも傷跡を残すことなく、簡単に取ることができます。

このことは、過去のブログをごらんください。

 

 

少し、深いタイブのほくろですが、盛り上がっていますので、切らずに容易に取ることができます。

 

 

ほとんどわかりませんね。

 

多くの形成外科、皮膚科では、ホクロのある場所に関係なく、切り取ったり、くりぬき法と称して、パンチで穴あけたり、はてはハサミで切り取ったりしているところがあります。

直径が3ミリ以下のホクロでは、このような乱暴な方法でも、傷跡が残らないことも多いのですが、鼻の頭、上口唇、頬の中央などでは、皮ふの陥没や、色が白く抜ける傷跡が残りやすくなります。

 

以下の写真は、このような方法で施術されて、残った傷跡です。

 

 

 

傷跡は小さくても、くぼんでいますので、メークで隠すことはできず、思ったより目立つことになります。

 

実は、他医院でホクロを取って、

「このよう傷跡になったからから、治してほしい」

という方が、ほとんど毎日のように来ます。

 

人間の皮ふは、自動車のボディと違い、板金塗装できませんので、くぼんだ傷跡を埋める方法は、残念ながらないのです。

逆に、盛り上がっている傷跡では、平にすることができますので、ある程度治すことができます。

また、大きくくぼんでいる傷跡で、すでに述べたような特別な場所なら、切り取ることにより、ある程度は治すことができます。

小さなくぼみや、皮ふのきめが失われて白くなっているものは、治すのが難しいのです。切り取ると、長い傷が残り。場合によりもっと目立ってしまうからです。

 

あなたがホクロを取ろうと思った時、その医療機関が、メスで切り取る、パンチで穴をあける、ハサミで切る、レーザーとメスを使う、ラジオナイフ(高周波電気メス)を使う、のどれであるか確認した方が良いでしょう。

そのホクロが、3ミリ以下であり、鼻の頭付近、上口唇、頬の中央でなければ、たいした傷跡は残りませんが、それ以外では、ラジオナイフを使用しているところに行くのがベストです。

なぜなら、今迄に繰り返し述べているように、レーザーだけでは、ホクロをきれいに取ることはできないからです。レーザーの焼け焦げと、ホクロの色素の区別がつかないことと、ある程度の深さの色素を取ることが難しいのです。ましてや、ハサミやパンチを使う所など、絶対に行ってはなりません。

 

しみ・ほくろクリニックでは、マルチフレケンシーラジオナイフを使用して、1ミリ~1センチくらいのホクロを、短時間で、傷跡を残すことなく取ることができます。

 

 

ラジオナイフの先端に装着する電極は、様々なものを自作していますので、あらゆる種類のホクロに対応することができます。

写真は、その一部です。

使用しているものは、0.2ミリのピアノ線、0.4ミリのステンレス線、0.4ミリのロジウムメッキ線などです。

 

ホクロは、特に盛り上がっているホクロは、10年単位で次第に大きくなっていくものです。従って、ホクロを取るのでしたら、早く取った方がベターです。ただし、傷跡が残る可能性が大なら、取らない方が良いでしょう。

 

当院では、一つ一つのホクロの深さを見極め、傷が残るのなら、何%の割合でどのような傷が残るか、詳しく説明いたします。

これは当然のことで、診察の時に、そのような説明がない医療機関では、ホクロを取らないようおすすめいたします。