中学生棋士、藤井聡太五段は、名人になれるか? | しみ・ほくろクリニック熊本のブログ

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筆者は、日本将棋連盟より、三段を頂いています。(もちろん、アマチュア)

将棋は、大学の時から、本格的に始めましたので、すでに50年の年季ががあります。強豪が集まる新宿将棋センターのトーナメント戦で、優勝一回、準優勝二回の実績があります。将棋の雑誌の代表格である、「将棋世界」は、50年来の、愛読書です。

 

天才中の天才が集まる棋士の世界は、常人には計り知れないものがあります。

将棋連盟の会長でした米長邦雄氏の言葉として

 「兄達は頭が悪いから東大に行った。自分は頭が良いから将棋指しになった」

と伝えられているほどです。

 

歴代の天才棋士と言えば、大山康晴(以下敬称略)、升田幸三、加藤一二三、中原誠、谷川浩司、羽生善治の名前が浮かびます。

特に羽生善治の永世7冠が、どれほどすごいものかは、一冊の本ができるほどです。

 

名人、竜王、王将、棋聖・・・ などのタイトルを取るということは、すへての棋士の目標ですが、どれか一つを取るだけでも至難の業です。なぜなら、ほとんどの棋戦は全棋士参加のトーナメント方式で、相手は天才ばかり。勝ち進んでいくと、次第に強豪が相手となり、すでにタイトルを持っている人と対戦する可能性も高くなります。

 

完全な実力の世界ですので、相手の棋力と自分の棋力の差が、大きい場合は、100回やっても、100回とも負けてしまうでしょう。

まあ、棋力が低いといっても、命を懸けているプロの世界ですので、それほど大きな差はないのですが、紙一重の差の、その一重を乗り越えることがいかに難しいかは、筆舌に尽くしがたいものがあります。

 

例えば、竜王一つとっても、予選は1~6組までに分かれ、6組はアマチュアも何人か参加して、50名を超えるトーナメントです。

優勝者1名が、各組の優勝者~上位5人が本選に出場し、優勝賞金4320万円をめざすものです。4320万円あれば、普通に4,5年は、生活できますね。

 

羽生氏は、7回、竜王に輝き、今回、永世竜王になったものです。

羽生氏以上の棋士は、今後100年位は、現れないであろう、と思っていました。

ただし、昨年、藤井聡太段が現れる迄は、です。

 

 

写真は、若かりし日の筆者です。(とはいっても、40歳半ば)

毎日新聞社から招待を受けて、羽生氏の54期の名人就位式に出席したものです。

当時、25歳にして、前人未到の7冠を達成した羽生氏は、一躍、時の人となりました。

彼と話をした時の、表情、態度、言葉遣いなどには、今まで誰にも感じたことのない独特のオーラがあり、圧倒されたものです。

その後の彼の活躍は、ご存じの通りで、昨年に永世7冠の偉業を達成したのでした。

 

さて、藤井五段とは、まだ会ったことはありませんが、テレビで拝見すると、言葉遣いや物腰に、若き日の羽生氏をほうふつとさせるものがあります。

一言で言えば、あり得ないほど、落ち着いているということです。

言葉や態度、表情一つをとっても、丁寧で、自信にあふれ、それでいて控えめであり、無駄がないのですね。

藤井五段の29連勝時の棋譜を見るにつけ、独特の発想、読みの深さ、正確な詰め手順など、若き日の羽生氏に勝るとも劣らないことに、大変な驚きを感じました。

 

先日、彼は、全勝で、順位戦のC2組を突破しました。

以後、C1、B2、B1、をへて、A級へ。

A級のトップになると名人への挑戦権を得ることができます。従いまして、今後、最短で名人になるには、4年かかることになります。

 

私の予想では、B2組までは、毎年昇級することができるでしょう。

しかし、B1組は、鬼が住む、といわれるほど強豪ぞろいで、一期で抜けてA級になるのは、難しいかもしれません。

なにしろB1には、タイトルホルダー、元名人、A級常連、破竹の勢いで上がってきた若手棋士(藤井5段のような)があふれていて、A級に上がれる二人に入るのは、容易ではないのです。

 

井五段は名人になれるか。

 

結論・・・ なれます。ただし、B2~B1で数年、足踏みをするかもしれません。

A級になれれば、2年ほどで名人の挑戦権を得て、名人になれるでしょう。

従いまして、今から6~8年後に、名人になれる、と予想いたします。