「イボでーす」って、これは、本当にイボなの? | しみ・ほくろクリニック熊本のブログ

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「イボでーす」って、宣伝している製薬会社がありますね。確かに、テレビの画面に出ているのは、イボすなわち、ウイルス性のイボのようです。

イボとは、疣贅(ゆうぜい)と書き、各種ウイルスによってできる皮ふの病変で、多くは、ウイルス性乳頭腫、あるいは単純性疣贅と言われるものです。ハト麦から抽出したヨクイニンは、ウイルスのタイプにより、効果があるようですが、どのような機序で効くのかは、明らかにされていません。何割に効くかも、よくわかっていないのですが、2~3割に効くといわれています。

問題は、顔や首にできるイボ状の突起、ぶつぶつ、盛り上がり、小腫瘤がイボかどうかですが、それがウイルスによるイボである確率は50人~100人に一人程度です。これは、30年以上の臨床経験から導き出したもので,カルテから証明できます。

顔や首にできるイボ状の多くは、老人性のシミ、軟繊維腫、アクロコードン(スキンタッグ)、ホクロ、丘疹(きゅうしん)、汗管種(かんかんしゅ)、皮脂腺の増殖、稗粒種(ひりゅうしゅ)と呼ばれるもので、ウイルスとは関係ありません。

この写真のように、首にできたイボ状のものは、スキンタッグといわれる、老人性のシミの一種です。ウイルス性ではないので、ヨクイニンは効きません。 

 

 

同様に、イボ状のホクロは、イボではなく、ホクロです。小豆(あずき)状のほくろが小豆でないのと同じで、これをいくら集めても、ぜんざいはできませんね。

顔や首にあるものが、本当のイボか、いぼ状の他の物かは、素人では判断ができません。このことは、製薬会社はわかっているはずです。診察に来られた老人性のシミの患者さんが、3年以上飲みつづけて、効果がなかった、という馬鹿な話になるわけです

ヨクイニンがイボの30%に効果があるとして、150人~300人に、一人の割合で、効くということになります。言い換えると、残りの149人~299人は、効果がないということです。

 

 

このようなスキンタッグは、当院では、50個を5分で取ることができます。術後3週間の状態です。再発はしません。

効きもしない薬を飲みつづけるのは、お金の無駄使い以外の、何物でもありませんね。

だいたい、テレビなどの広告などに、何の効き目のない健康食品が、多すぎます。

そのほとんどに

「これは個人の感想で、効力をあらわすものではありません」

と書いてあります。いいかえると

「これは、この人が勝手に言っているだけで、なんの効力もありません」

と、言う意味です。

まあ、正直に告白しているだけ、ましですが、こういった商品を買う人の気が知れません。

自分の父親が白い犬であると思っている、どう考えても、家族全員が統合失調症であるようなCMを毎日、見せられているので、日本人全体が、おかしくなっているのでしょうか。

はっきりとした根拠や証拠もないのに、人の言うことを簡単に信じたり、ありえない配当のもうけ話、振り込め詐欺や特殊詐欺、効きもしない健康食品、きれいになるはずもない化粧品、寿命が縮まる健康診断、テレビや新聞に溢れる誇大広告、何々が体に良い、悪い、などのバラエティ番組・・・

このようなものに騙されることなく、何が真実で、その裏に隠されたものは何かを、少数意見なども参考にして、多面的に考えることが肝要です。その上で、自らの確立した信念を持つこと。

これが、人生には、不可欠なのです。 

と思いますが、いかがでしょう。