音楽遍歴シリーズ(過去ログ参照)の続編的な話。
"貴重なFagott吹き"として楽団で(今思えば)過剰にチヤホヤされたワタクシは無意識に勘違いしていた。
「自分、めちゃくちゃ上手くはないけど人並みよりはちょっといいかな、けっこう鳴ってるよね」
でも、どこか焦燥感もあった気がする。
高校生の時一度だけレッスンしてもらったけど、それっきり。もう少し継続的にきちんと習わないと行き詰まるのではないか。そんなことを心の中に抱えつつも、楽しくアマ楽団ライフを送っていたある日、転機が訪れる。
20代前半のある年、県内吹奏楽関係のイヴェントが開催された。
楽器別の講習会、県内楽団から選抜による合同バンドや講師の先生方によるアンサンブルなど、まぁまぁ盛りだくさんな内容だった。県内の吹奏楽団で当時Fg吹いてるのって、私も入れて2~3人しかいなかったので、もちろん選抜バンドに呼ばれたし、楽器別の講習会も無料で受けられる(主催者負担)とのことで喜んで参加した。
その講習会でワタクシのFgライフを変える出会いが!(大げさ)
Fg講師の先生は県内出身のフリー奏者でレッスンプロといった感じだった。
グループレッスンだったのでマンツーマンでじっくりとはいかなかったが、それでも短時間ながらも対面で見ていただけた。たった数分。たった数分なのに、的確なアドヴァイスで自分の音が変わっていく。今までの思い込みは何だったんだと愕然とした。自分的にはパワフルに鳴らしているつもりだったけど、全然鼻息程度じゃん!なんだよ、ポンコツだったんか!と。
講習会後、合同バンドのリハがあり、Fgパートは事前の割り当てで私が2ndでもう一人女子が1stの2名。初対面だったしリハが慌ただしかったのであまり会話できず。その後の講師のアンサンブルで人手が足りないってことでその1stの女子が呼ばれていった。"アマチュアなのに講師と一緒にやるんだ、すげぇな"と思いながらステージ袖でリハを聴いていた。その娘は講師の中で臆することなく演奏していた。音色もステキで上手かった。うらやましかった。後で聞いたら自分より1コ年下だった。
いろんな意味で刺激的なイヴェントだった。井の中の蛙加減を思い知らされた。
次の日から1ヶ月毎晩時間の許す限り自主トレに励んだ。
「この練習メニューを続けると1ヶ月で音が変わるよ」っていう先生の言葉は本当だった。
上手くなりたい、というよりは、いい音、空間にも心にも響く音を鳴らしたい、と純粋に思った。
ちなみに、講師の先生もその女の子もその日初対面だったけど、ワタクシからグイグイと押しかけて連絡先を交換した。
そして今は、先生が帰省の際はいつもご飯に誘われるし(時間があればレッスンもしてもらうよ)、その女の子とは住まいはちょっと離れてるけど親友で同志だ。
そのイヴェント後、幸運なことに複数のプロ奏者にレッスンしていただく機会があった。
やっぱり、まだまだ足りなくて、
「もっと!もっとここのffは強く!」
「自分が考えてるよりFgって鳴る楽器なんだよ」
たくさんアドヴァイスいただいた。
練習に励んだ。
吹奏楽の中だと、どうしても音量的に不利であることは事実だし、周りの人たちもそう言うけれど、そんな"思い込みの呪縛"にハマってしまうと、自分で自分の音を殻の中に閉じ込めてしまう。それはもったいないこと。
世の中「そういうものだよ」と言われていることが、ホントにそうなのか、自分で確かめてみないとね。