恋愛ホンネ通信vol.7:数ヶ月分の十数秒。幾度なく続く、あなたの心の当て推量 | 【しまうまの庭】@占い館バランガン

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バランガン占い師「いち木しま馬」のブログです。
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恋愛相談♡を得意としています。その「好き」、諦めない限り僕がここにいます。どんな想いでもお話くださいね☘

 

話せて良かった。でもさびしかった。それも言えなかった。

 

 

今日もまた、多くを話すことはできなかった。

 

 

2ヶ月待って、そうして話ができたのはほんの少しのあいだ。

15秒も、話していないだろうと思う。

目さえ、うまく見ることができなかったよ。

早口に、通り一遍の挨拶をして、「いつもありがとう。それじゃあね、元気でね」

 

バイバイ、って、あなたの手の振り方が昔のままで、

あなたらしい手の振り方なんて言ったってそれを言葉にはできないけれど、

ただ、「あぁ、あなただ」って、思ってしまう。ほんの少しのしぐさからも。

昔はその手に、自分の手を重ねることができたのに。

 

あなたが浮かべてくれた笑顔は、どこかぎこちなかった気がする。

気のせいかもしれない。

「他の人と違う」と考えることさえもがおこがましいかもしれなくて。

あなたの中で僕という人間はもう、少しも特別ではなくて、

なんの感慨も湧いていないかもしれない。忘れ去られた過去。

 

その、答え合わせをするだけのことすらが、今の僕らにはできなくて。

 

でも仮に、もし万が一、「僕だから」ぎこちなかったんだとしたら、

それはそれで暗い海の底に潜りたいようで。

 

あなたの心の負担になりたくない。

もう二度と、あなたの心に少しも、影を差したくない。

あなたにとって、僕の存在が少しでも邪魔になるくらいなら、

それならばもう、僕はあなたを想いながら、遠く離れたところで

ひっそりと息を潜めて生きている方が、本当はいいのかもしれない。

 

「いっそ忘れたい」と、思ってもないことを無理に思ってみても、

いっそうあなたに繋がれている自分に気づくだけ。

枯れ木のような自分。

世界は広い。けれども僕はあなたにしか繋がっていない。

だのに、あなたを求めることもあなたから求められることも叶わない、この、今。

 

 

数ヶ月ごとに、あなたの髪の長さや頬のふくれ具合で時の歩みを知る。

 

約束もなければ進展もない、和解もなければ通じ合うこともない。

それでも、あなたのほんの少しの表情の違い、話せた時間の長さ、

あなたの目あなたの笑顔あなたの声の明るさに、

勝手に二人の心の距離を託し、ひとり一喜一憂する。

もう、何年それを続けてきたことだろう。

 

「今日は笑顔が優しかった」

「今日は僕の近況について聞いてくれた」

「今日は話しかけられて困ってたように見えた」

「今日は用意してあったことを言えずに終わった」

「今日はあなたの目を全然見れなかった」

「今日は去り際、ちゃんと手を振れなかった」

「今日は僕に気づいて笑顔が消えたように見えた」

「今日は冗談に笑ってくれた、楽しそうに話してくれた」

「今日は名前を呼んでくれた」

 

ひとり相撲だろうと思う。

ずっと、あの時から。

それでも、やめることができずにいる。

想いを限りにさせられずにいる。

 

二人の間に、止まったままの歯車が見える。

それも僕だけかもしれない。

 

無数の分岐点の集積として「今」という奇跡があるのだとすれば、

一緒にいない分岐を選んだ僕たちは「それだけの」二人なのかも、しれない。

 

分岐を間違った過去にはもう戻れない。

変えられるのは常にこれから。せめてこれからだけは。

そう思って生きているけれど、やっぱり、強がっても今日のことは、かなしい。

 

ついぞ一緒になることはなくとも、僕は僕の想いに殉じて生を終えたいと思う。

負け戦だとしても、僕の中の言葉にならない、けれども絶対に大切な「なにか」があなたの名前を呼び続ける限りは。

そう思えるあなたに出会えただけで、僕の命に意味はあったと、信じたい。

 

ありがとう、あなた。ごめんね。どうか幸せでいて。いい夢を見て。

生まれてきてくれて、出会ってくれてありがとう。あなたの笑顔を祈ります。

そうして勝手に、この先もよろしくね。