この20年というもの、フライフィッシングは大きく進歩しました。
そのまでただの粗悪品であった中国製の激安ロッドは、普通に使えるレベルに
なりました。8000円!ほどもしていたフライラインも、中国製の激安ラインを
はじめ、格安で十分使用できるものがネットで簡単に手に入るようになったのです。
タックル以上に驚かされたのは、「簡単に巻けて、爆釣するフライ」が増えたこと
です。自分がフライを始めた35年前、フライタイイングというのは、難しく、
そして多くのマテリアルをそろえなければならないものでした。
マテリアルを数種類使うフライを時間をかけて巻き、釣りに行くまでに巻き溜める
必要があったのです。
しかし、「ソフトハックル」や「クロスオーストリッチ」など、
「1本巻くのに3分ほど、しかも爆釣!」というフライがいくつも広まってきました。
さらに最大の変化はテクニックについてでしょう…昔はフライでキャストし、
釣れるようになるには何冊も本を読み、練習し、あるいは「フライスクール」に
通い、「まともに釣りになるまで」お金と時間がかかったものです。
しかし今では、ネットとYOUTUBEで、無料で!24時間!!いつでも学べるように
なりました。その結果、多くの人が、時間とお金をかけることなく(重要!)
フライフィッシングの高い技術を持つようになったのです。
それに比べますと、トラウトのルアーフィッシングというのは、この20年ほど
「止まっている」ように思えます。
確かに、ロッドやリールは進歩していますが、
それは「釣れる直接の要素」ではないのです。針金を丸めた「スネークガイド」の
ロッドと、タイコ型のリールという「原始的」なタックルを使っている
フライフィッシングに、ルアーフィッシングはまるで敵わないわけですから。
60年近く前のものとさほど変わらない「マイクロスプーン」に、どのメーカーも
「同じような形のプラグ」。もちろんルアーで釣る楽しみというのもありますが、
限られたスペースでフライと一緒に釣るような状況では、ルアーは圧倒的に
不利になるのです。
ここしばらく、いくつかの漁協の方と話す機会がありました。場所は違っていても、
話した内容は皆同じだったのです。それは、
・エサとコストの高騰により、サカナ(特に大型魚)の価格が大きく上がっていること
・異常な高温のため、卵~稚魚が死にやすく、成魚も病気になりやすく
なっていること
でした。
もう書いてしまうと、今年-2024年の10月からはじまる
「冬季キャッチアンドリリース区間」の大半は、サカナの放流量が少なく、かつ
値上げがされることになると思います。
こうなると、ルアーでの釣りは、放流直後の数十分だけ。あとは小さいフライと、
極細のティペット(ライン)を使いこなすフライマンだけが釣れるような状況に
なります。すでに、忍野、小菅川、湯川、その他多くのキャッチアンドリリース
区間に実際に行ってみると実際にそのような状況だったのです。
スプーンやプラグ類で釣りをしていたルアーマンたちは苦戦、あるいは、
まったく釣れていないことさえあったのです。
そのような超ハイプレッシャーな状況でも、十分釣りが成立する
フェザージグを作ってみようか。と思ったのがはじまりでした。