王禅寺がオープンし、毎週通うようになりました。2004年の1月ごろ?

入口のドアのところに、

「イワナが放流されます」と入口に小さく書かれたのです。

「…イワナかぁ」

私にとってのイワナとは、「大きくて30cmほどで細くてヌルヌルしているサカナ」

でした。昔はエリアトラウトというのはサカナをキープする人が多かったのですが、

イワナというのは「不味い」と思われていました。ですからイワナというのは

人気のないサカナだったのです。

 

あるとき、たまたま夕方に王禅寺に行くことになりました。人は少なく、

私がいつものようにスプーンで釣っていると、なにやらゴツいタックルを持った人が

近くに入ってきました。

芦ノ湖で使うようなミノーイングタックルに、付いていたのは、

キクチミノー13cm!!です。

ぷぷぷぷ(笑い)カンツリ初めてかな~スプーンの釣り方教えてあげようかな~

と思っていました。

その方は人のいないところを岸と平行にキャストし、トウィッチング→ポーズを

繰り返しました。

すると、灰色の背中をした巨大なサカナが、狂ったようにキクチミノーに

チェイスをしているのです。そしてヒット!

デカい!!

たまらなくなってその方に近づき、お聞きしました。

「何が釣れたんですか!!」

その方はサカナをストリンガーにかけ「イワナですよ。刺身で食うと美味いんでね」

と教えてくださいました。

これがイワナ!?

もう驚きのあまり言葉もありませんでした。60cmは優に超す、初めて見る大きさの

イワナです。しゃがみこんでそのサカナに見とれていると、その方が

また50cmオーバーのイワナを持ってきて「また釣れましたよ」とストリンガーに

かけます。

このころの王禅寺というのは、3時間1800円!で5匹キープできたのですか、

サカナの大きさの制限というのはなかったのです。(イトウは持ち帰り禁止でした)

どんな大きなサカナでも、制限匹数キープできました。

 

もう目の前で起きていることに理解が追いつきません。

ここは「川崎市」です。「住宅街のど真ん中」です。そこにキレイな池があって、

かなり安い金額で、こんなとんでもないサカナが釣れるというのは本当に

驚きでした。

 

後で知った話ですが、このころ、「相模漁業」は3倍体の50~60cmの

イワナ養殖に力を入れていました。低コストで養殖できた

(1匹仕入れで2000円ぐらい)ので、神奈川県内の多くのエリアで放流されたのです。

 

それで私もミノーで釣るようになりました。当時はまだミノー用のシングルフック

というものがなかったので、バーブをつぶし、ヤスリで研いでバーブレスに

しました。王禅寺ではその後、50cmオーバーのブラウンも放流され、

私は夕方の3時間ひたすらミノーで釣っていたのです。

 

今の「イチロー池」の岸沿いをミノーでトウィッチング→ポーズを繰り返すと、

カケアガリから巨大な影が浮き上がり、チェイス!白い口の中にミノーが

吸い込まれる!今でも思い出されます。

 

その王禅寺も夏とともに、トラウトのシーズンが終わります。ところが!

真夏でも普通に営業していたのです。そこで釣れたのは今では

信じられないようなサカナでした。

 

続きます。