会場に着くと熱気がすごいのです!
そして中には、テレビや雑誌で見たこともある「有名アングラー」も来ていました。
レギュレーションは、
・ハードルアーオンリー
・6人並んで30分釣り、一番釣った人が次の試合に進められる。
というシンプルなものでした。
タックルは大半の人が1タックル、ルアーはダーク系のマイクロスプーンを
使っていました(当時、ダークグリーンが人気でした)
臨時スタッフの私は「~さん~匹目です」「~クラスの方はこちらへ」と
動き回っていました。大会といえども、みな和気あいあいとしていました。
あちこちで歓声があがり、大きく盛り上がっていたのです。
ところが、ここまで大人数が押し寄せ、おまけに皆「本気の釣り」を
するものですから、サカナがスレてきてしまったのです。
試合が進行し、勝ち上がってきた人たちでさえ釣るのが難しくなってきました。
そんなときです。釣り場の一角が異様な雰囲気になりました。
ずらりと人が並んで、皆が釣れていないのに、ただ一人だけが圧倒的に
釣っているのです。もう入れ食いでした。
勝ち残っていた「有名アングラー」は釣りを放棄して、コーヒーを飲みながら、
「あれをやられちゃ絶対に勝てないですよ…」と苦笑いしています。
唖然として釣るのをやめて見物する人、写真をとる人、大勢の人に囲まれながら、
その人だけがただ一人ひたすら釣りまくっていたのです。
「いったい何が起きているんだろう?」私はスタッフの権限を利用して、
近くでその釣りを見させてもらったのです。
…
…
…
話には少し聞いていました。しかし私はそれを信じていませんでした。
「それ」はトラウトの食性とはあまりにも異なっていたからです。
まさに圧倒的な優勝で、「タックルボックス誌」はその場で取材を
申し込んでいました。釣り人の名は、「田口祐二」氏。
これがあの「xスティック」が「世の中」に出た最初の時だったのです。
「カンツリ」といえば、スプーンか小型プラグ(エリア用のクランクというのは
まだありませんでした)しかない時代であり、もうそれ以上他のルアーは新たに
登場しないだろうと思われていました。しかしこの日その常識は変わったのです。