夏になると、トラウト類は冷たい水を求めて深い層に向かいます。

こうなると、岸からの「普通の」キャスティングでは全く届かない距離なので、

基本的に夏のトラウト釣りというのは河川の釣りになります。

 

または、海やバスなど他の釣りにチャレンジしたり、

ロッドビルディングやルアービルディングをしたりして、秋の到来を待つ

というのが夏の過ごし方でした。

 

ところが近年、ロングロッドと、メタルジグを組み合わせた、「レイクショアジギング」

という釣り方が行われるようになりました。実際、ショップに行くと、様々なトラウト用

メタルジグが並び、「レイクショアジギング」のコーナーを見ることもあります。

 

真夏に、岸からメタルジグを超ロングキャストさせ、深場にいるトラウトを釣る。

これが、オールキープ前提の釣りなら良いのですが、YOUTUBEなどでは、写真を撮り、

リリースしているのがその大半です。

 

そのサカナは、リリースしても、1日と持たずに死にます。

 

そもそも、冷たい水を求めて、深い層にいるのに、それにルアーを食わせ、

長い時間(数十メートルも!)ファイトさせ、20℃を優に超す水温の中に「リリース」する。

これは単にサカナをなぶり殺しにしているだけです。

率直なところ、メーカーが、こんな釣りをすすめ、動画や記事にしているのを見て、

「この人たちは、良心が痛まないのだろうか」と思うほどです。

 

実際、中禅寺湖でも、これは問題になっていて、夏になると「リリース」されたものの、

そのまま死んでしまった、レイクトラウトの無残な死骸があちらこちらで見られています。

さらには、死んでそのまま湖底に沈んでしまった見えない死骸のことを考えると、

もう膨大な量のサカナたちが「殺されて」いることでしょう。

 

以前、芦ノ湖は秋にも放流がされていました。しかし、芦ノ湖漁協の方がおっしゃっていたのは、

「放流してもすぐに死ぬ。だから釣って持って帰ってもらった方がいいんだ」ということです。

トラウトにとって、水温の大きな変化=死、命にかかわるほどなのです。

(実際、芦ノ湖漁協は秋の放流を止めてしまいました)

 

そもそも、この程度のことを、メーカーの人間がわからないわけがないのです。それでも

販売し、広告を出している。もはやそのようなメーカーには、「釣り人としての良心」というのは

存在しないのだろうなと思います。