なぜ、既存メディアはアジア自由貿易構想でTPPばかりを推進するのだろうか。
アジア自由貿易交渉で、RCEPの言葉が既存メディアで報道されることはない。

おそらく官僚機構と既存メディアは、アジア自由貿易でRCEP交渉が進展して、RCEPが日本に大きな国益ともたらすことを知られては都合が悪いのである。

アジアの自由貿易で、ASEAN10カ国と中国とインドが参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)と、ASEAN5カ国が参加する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で、どちらが国益に資するだろうか。

アジアの自由貿易で、参加国の例外分野を容認する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)と、10年後に例外なき関税の撤廃が確定している環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で、どちらが国益に資するだろうか。

アジアの自由貿易で、中国に対する包囲網を構築しつつある東アジア地域包括的経済連携(RCEP)と、日本に対する包囲網が構築されている環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で、どちらが国益に資するだろうか。

明らかに、アジアで自由貿易を推進するならRCEPのほうが日本の国益になる。
つまり、成長するアジア経済を取り込むのならTPPでなくRCEPとなるのだ。

この事実を報道しないのが既存メディアだ。もはや隠蔽と言っても過言ではない。

福島原発事故以降から既存メディアにおいて益々顕著になったことは、都合が悪い情報は隠蔽して報道しないという官僚機構のプロパガンダ的な姿勢である。

偏向報道が先鋭化してきたと言える。事実を報道せずに捏造して報道するである。

自由貿易はTPPだけの如く報じて、経済連携はTPPだけの如く報じて、規制改革はTPPだけの如く報じて、TPPはユートピアの如く報じるのである。

現在、進展している自由貿易が、アジア自由貿易のRCEPであり、欧州自由貿易の日欧EPAであり、東アジアでは日中韓FTAという事実があるのに。

日本は国益を守るためTPPに参加せず米国に日米EPAを逆提案すべきである。

[13日 朝日新聞]成長戦略―経済連携と規制改革こそ
安倍政権の経済政策が動き出した。首相は、大胆な金融緩和と機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を「3本の矢」にたとえる。「民主党政権は(日本経済のパイを)平等に分配していくことから入った。その前にパイを大きくしないと、等しく貧乏になるだけ」(甘利経済再生相)と、政策の転換が鮮明だ。確かに、パイが小さいままでは雇用も所得も増えない。成長で税収を伸ばさないと、増税だけでは財政再建も難しい。

とはいえ、これまでのところ、日本銀行に圧力をかけて金融緩和を強化する「一の矢」、大型の補正予算を組んで財政支出を拡大する「二の矢」ばかりが目立つ。どちらも、反対する業界団体はなく、手をつけやすい。ただ、基本的には経済を下支えしたり、一時的に刺激したりする政策であり、国の財政難を考えれば危ういカンフル剤でもある。

■カギ握る「三の矢」

日本経済が持続的に拡大していくには、「三の矢」の成長戦略がカギを握る。柱は、貿易や投資など海外とのパイプを太くする経済連携の強化と、国内のさまざまな規制・制度の改革だ。一見すると無関係に見えるこの二つの課題は、根っこでは太く結びついている。海外との経済連携交渉ではモノの関税引き下げに関心が集まるが、実態は異なる。金融や電気通信などのサービス分野、投資の促進と保護、競争政策、電子商取引、知的財産など交渉の対象は幅広い。さまざまな規制や制度の見直しを伴う。

日本の企業が海外で活動しやすくするとともに、国内で規制・制度改革を進め、海外勢を引き込む。それが同時に、日本勢の国内での事業を後押しする。経済連携と規制・制度改革は一体なのだ。安倍政権がまとめた緊急経済対策は海外連携戦略に触れておらず、こうした視点がすっぽりと抜け落ちている。要である環太平洋経済連携協定(TPP)に対し、自民党内で反対が強いことに配慮したのだろう。TPPは対象分野が20を超え、中身も野心的だ。日本がTPPに関心を示すと、中国・韓国両国や欧州連合(EU)が日本との交渉に動き出した。

だが、国内では特に農業や食の安全、医療・介護など社会保障分野への悪影響を心配する声が大きく、農協や医師会などの団体が反対の先頭に立つ。もともと農業は後継者不足や耕作放棄地の増加、社会保障は高齢化に伴う医療・介護費の膨張などの課題に直面する。その一方で国民のニーズは大きく、規制・制度改革でも焦点になってきた。国民生活の「安全・安心」にかかわる分野だけに、むやみに規制を緩和すればよいわけではない。経済活性化だけでなく、多角的に功罪を検討することは当然だ。が、それを口実に、関係団体と監督官庁が既得権を守ってきたことも事実である。

■国民参加の議論を

日本経済の再生を真剣に目指すなら、現状から一歩踏み出さねばならない。まずはTPPへの交渉参加を表明すべきだ。当事者となり、各国の要求など正確な情報をつかむ。それをもとにわが国の利害を交渉に反映しつつ、国民生活への影響を探り、参加の是非を見極める。並行して、国民のために守るべき規制・制度と、権益維持の弊害が目立つ規制・制度の仕分けを進めることが必要だ。

安倍政権は日本経済再生本部のもとに産業競争力会議をもうけ、民主党政権が廃止した規制改革会議も復活させる。いずれも学者や企業経営者が加わり、関係省庁の閣僚と向き合う。民間の知恵と発想を起点に、具体策に踏み込めるか。どの閣僚が業界と省庁の権益維持に走っているか、改革を自社の利権につなげようとする経営者がいないか。議事録の公表はもちろん、会議自体をオープンにして議論に国民を巻き込みたい。

■手元資金を生かせ

経済界には、企業が自ら道を切り開き、成長の担い手となる気概を求める。緊急経済対策には、補助金や優遇税制、政策金融機関による出資など、「官」が呼び水となる仕掛けが目白押しだ。

しかし、企業全体では推計で200兆円に迫る手元資金がある。民が官に頼ってリスク減らしにいそしむばかりでは、経済成長などおぼつかない。安倍政権の政策はひとまず期待を集め、円安と株高で経済は明るさを増した。しかし、三の矢を放たなければ、低成長下の物価・金利上昇と財政の一段の悪化という最悪の展開すら招きかねない。首相は、そのことを強く自覚してほしい。

朝日新聞の社説には、TPP以外で日本が進める自由貿易交渉の名前が全くない。

唯一述べられている内容が、オブラートに包んだ表現に留めた「中国・韓国両国や欧州連合(EU)が日本との交渉に動き出した。」という箇所だけである。

しかし、日本がTPP以外の現在進行している自由貿易の交渉は、アジア自由貿易RCEP、日中韓自由貿易FTA、日欧経済連携EPAの3つがある。

しかも、経済圏GDPで言えばTPPはこれら枠組みで三番目の規模でしかない。

さらに、参加国ほとんどと自由貿易協定を結んでいるTPPより、RCEPや日中韓FTAや日欧EPAを早期に締結したほうがはるかに成長が見込める。

このことは、朝日新聞の社説が日本の成長戦略で提示したことは、自由貿易で他を無視して一番成長余力の少ないTPPだけを主張していることになる。

つまり、朝日新聞の社説は日本が経済成長しなくて良いと訴えているに等しい。

しかも、その主張も影響や課題を完全に無視した無責任極まりない内容である。

具体的には、農業や食の安全と医療や介護などの影響、農業の後継者不足や耕作放棄地増加、社会保障の医療費や介護費の膨張などの課題を挙げている。

しかし、これらTPPの悪影響や課題に目を瞑り交渉参加すべきと訴えるのだ。
そして、交渉参加して情報を掴んでから参加の是非を決めるべきと訴えるのだ。

世界の何処にこのような甘ちゃん新聞社の社説がまかり通る国があるだろうか。

他の自由貿易と比較せず、成長する分野を提示せず、成長見込みを予想せず、交渉戦術を提示せず、関税撤廃を前提のまま、TPP参加と訴えるだけである。

これこそ、国民への大本営発表であり官僚機構のプロパガンダ化に他ならない。

安倍総理は、今月延期して2月以降に予定される日米首脳会談で、TPP交渉参加の是非について意思表明することを見送る方針を固めたようである。

やはり、夏の参院選でTPP選挙によっての決着が規定路線となったのだろう。

このことについて、茂木経産大臣も12日に「できるだけ早い時期に政府として統一の試算を出す」と夏の参院選前までにまとめる見通しである発言をしている。

是非、安倍政権に求めたいのはTPPの単独試算だけでなく、RCEPや日中韓FTAや日欧EPA、それに日米EPAの相対試算をまとめることである。

自由貿易協定で経済成長することは、当然のことであり単独では意味がない。重要なのは、将来的に見込まれる潜在的な成長余力の試算を比較することである。

アジアの自由貿易を推進する、アジアの成長を取り込むを謳い文句とするTPPであるが、中国やインドが絶対に参加できない枠組みに何の価値があるのか。

少なくとも、朝日新聞が訴えるTPP単独より、アジアの自由貿易はRCEPで推進して、米国の自由貿易は日米EPAを主張したほうが日本の国益になる。

既存メディアが全てTPP賛成を訴える状況こそ、業界の歪さを物語っている。
TPP参加を許すなと主張する既存メディアのないことが、国益を損ねている。
既存メディアの影響力を排除するための第一弾が、新聞の軽減税率阻止である。



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