メディアでは、実質GDPマイナスの原因が欧州債務問題、円高、タイ洪水被害と3つがマイナスの理由と考えられているが、政府の復興支援の遅れが最大の原因になるのではないのか。

[12日 産経]去年のGDP 2年ぶりマイナス
去年1年間のGDP=国内総生産の伸び率は、東日本大震災の影響などを受け、物価の変動を除いた実質で、前の年と比べてマイナス0.9%となり、いわゆるリーマンショックで大きく景気後退した平成21年以来、2年ぶりのマイナスとなりました。

内閣府が発表した去年10月から12月までのGDPの伸び率の速報値は、物価の変動を除いた実質で前の3か月と比べて0.6%のマイナス、年率換算で2.3%のマイナスと、2四半期ぶりのマイナスとなりました。 この結果、去年1年間のGDPの伸び率は、前の年と比べてマイナス0.9%となり、リーマンショックで大きく景気後退した平成21年以来、2年ぶりのマイナスとなりました。

これは東日本大震災の影響で、去年前半、経済活動が大きく落ち込んだためです。

主な項目を見ますと、輸出は震災による部品の供給網、いわゆるサプライチェーンの寸断や、ヨーロッパの信用不安による世界経済の減速で、プラス0.0%と伸び悩んだほか、個人消費も震災の影響でプラス0.0%と横ばいにとどまりました。

このほか、公共投資はマイナス4.0%と大きく落ち込んだほか、企業の設備投資は0.3%のプラスでした。 去年の日本経済は、震災による企業の生産や輸出の大幅な落ち込みから、夏場にかけて急速に持ち直したものの、歴史的な円高や世界経済の減速で秋以降は伸び悩みました。

内閣府では震災の復興需要で、ことしは緩やかな回復が見込まれるとしていますが、原発事故を受けた各地の電力不足や東京電力が打ち出している電気料金の値上げなど、新たな懸念も出てきており、先行きは不透明感が強まっています。

2011年の1年間でGDP伸び率が、2010年と比べてマイナス0.9%で、リーマンショックで大きく景気後退した2009年以来となる2年ぶりのマイナスとなる。個別に項目を見れば原因は明らかである。

主な項目では、輸出が0.0%、個人消費が0.0%、公共投資がマイナス4.0%、企業の設備投資がプラス0.3%となっている。

つまり、輸出企業は、東日本大震災にタイ洪水被害、欧州債務危機に円高進行の継続など数々の障害があったものの、コストカットや効率化などの経営努力によって昨年比0.0%に抑えたのだ。

では、突出して落ち込みの激しい公共投資はどういう理由からこれほど昨年比マイナスが大きいのだろう。これは、政府の第3次補正予算の成立が11月下旬にずれ込んだからだ。

もし、第3次補正予算が早期成立となっていれば公共事業がこれほど落ち込むこともなかったのだ。そして公共事業が政府努力で0.0%であれば去年1年間のGDPの伸び率がプラスとなっていたのだ。

これでは企業の日本経済の貢献を政府が妨げているとしか考えられない。にもかかわらず仕事で何ら結果を残していない 古川経済財政担当相が以下のコメントを出している。

「今後は世界経済の緩やかな好転の中で、輸出が着実に増加すると期待」

つまり、日本のGDPを押し下げた理由は輸出の落ち込みで、輸出さえ戻れば問題ないという間違った認識と政府の失策など毛頭ない。

第3次補正予算の執行着手は「早くて新年度入り後」と見込まれており、復興需要が景気下支え要因となるにはなお時間が必要である。

ならば、他の景気刺激策は行ったのか。

家電エコポイントは2011年3月31日、住宅エコポイントは2011年年7月31日で終了とことごとく自民党の案を否定した。

その上、デフレ対策も何ら施策を行わない。円高対策は、安住財務大臣による為替介入という数を打って当てるという戦法である。

総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは9期連続の下落。まだまだ物価が持続的に下落する緩やかなデフレ基調が続きそうだ。

このままでは本当にトヨタの豊田社長のコメントにもあるように「理屈上、国内でものをつくって輸出するモデルは成り立たない」事態である。

まず、日本経済の輸出至上主義が崩壊しつつあることを認識すべきだ。そして、デフレをあらゆる角度から脱却するための施策を講じないと生活保護者1000万人も現実となってしまう。