しまりすが入院しているのは呼吸器外科病棟。しまりすは切れない肺ガンなので、診療科は呼吸器内科なのだが、内科病棟がいっぱいなので外科病棟に入れてもらってる。だから4人部屋の3人が外科で、内科はしまりすだけ。そういう内科の人はりす以外にもときどきいて、部屋のネームプレート見れば分かる。
外科の患者さんはみんな手術の前日か、前々日に入院して、肺ガンの手術に出て行く。あるいは手術が終わった人が入ってくる。そして数日で退院。手術の前後で同じ部屋になることはあまりないので、同室の人はどんどん入れ替わり、しまりすだけがほぼ二週間ずっとこの部屋にいる。
今日は珍しく、手術後この部屋に戻ってきた人がいた。一昨日の午後の手術で出て行って、昨日のお昼にもうHCUから戻ってきた。はやっ!
そして、今日の午前、全てのチューブが抜けて歩行訓練病棟5周している。もうシャワー浴びていいらしい。はっやっ!!
伝道師田中みたいに、内視鏡手術だから早いのかな、と思ったら、脇のところを広く切って、ガンになっている肋骨を一本切り取ったんだそうだ。その方68歳。その人がすごいんだか、現代医療がすごいんだか、なんか感心してしまった。
こんな話、外科病棟に入ったからわかるわけでいろいろ勉強になるが、ちょっと寂しくなることがある。
みんなしまりすより年上の方なのだが、どんどん元気になって退院していくのだ。切ったら笑顔で退院、切ったら笑顔で退院の繰り返し。患者さん同士で、頑張って元気になりましょうね!なんて励ましあっている。
もちろん、ガン患者同士、しまりすの病状を話しても、皆さん優しい言葉をかけてくれるので(田中さんのは優しさを装ったマウントだったが)嫌な気持ちにはならなくて、私も、
切って治る人羨ましいわぁ。良かったね。元気になってね。
と伝えているけど、...... はぁ、寂しい。
3対1だしなぁ。
と夫にこぼしたら、
良かったじゃないか。これが内科の4人部屋で、変な人がいたら、何日も一緒にいなきゃいけなかったんだろ?そっちの方が絶対つらいって!
と、言ってくれた。
夫優しい。そしてポジティブシンキングオリンピックがあったら金メダルをあげたい。
でもそうだよなあ。田中さん、3日くらいであんなに大変だったのに、2週間とか、頭変になる。
ちなみに田中パワーにやられていたのは私だけではなかったようで、看護師さんが、
田中さん、いなくなって静かになりましたねぇ。
と含み笑いで言っていた。なんでも、感染症対策で個室になってる人もいるだろうに、田中さん個室にまでぐいぐい入っていって話してたそうだ。話し相手がいないと、4人部屋で電話掛けまくってたもんな。(ルール違反です。共有スペースで掛けなきゃダメ)
おお、だんだん自分がラッキーに思えてきたぞ!すごいぞ!私の夫!
そんな夫を見習って、しまりすは、ポジティブシンキングキングオリンピックでまず予選通過を目指そうと思うのだった。