昨夜のNHKプロフェッショナル仕事の流儀・・
ご覧になりましたか?
ここ10年で4度の水揚げ日本一を記録するカツオ一本釣り漁船、
『第83佐賀明神丸』を率いるリーダー、明神学武(40)。
最高責任者「漁労長」として、漁の戦略立案を一手に引き受けている。
明神が漁に挑むとき、常に心にとどめているのは
「開拓者であれ」という信念だという。
カツオは、毎年のように泳ぐルートを変えるため、
見つけるのは困難を極める。
そのため、カツオ漁師は、その日どこでカツオが取れたか、
互いに情報を教え合う習わしがある。
しかし、明神は独自の方法論で潮の流れや
海水温を徹底的に研究する。
その緻密な分析とハイテク機材を武器に、
ほかとは全く異なる漁場を開拓し、
一人勝ちを狙うスタイルを自分に課している。
他船の漁労長や漁業研究者から「天才」と称される理由は、
この型破りな心がけにある。
実はこの会社・明神水産は、カツヲのタタキの通信販売で
年商40億円もの企業でもある。
明神の家は、一族そろってカツオ漁師。
父の三郎さんは、水揚げ日本一6回、
豪快な人柄で知られた名漁労長だった。
だが、父とは対照的に、おとなしい性格の明神は、
父から日本一の船を継いで漁労長になったものの、
水揚げが低迷した。
父の代からのベテラン船員が次々とほかの船に移り、
船員から「おまんは、漁労長らしくない」と言われた日々。
そんな時期、ふさぎこむ明神を支えたのは妻だった。
「あんたは、あんたやけん 自分が思い通りやったらいい。」
その妻の言葉をきっかけに、明神は自分独特の漁を突きつめていった。
この番組のもう一つの焦点は、豪快な人柄の漁労長であった父親から、
おとなしい性格で悩む息子の漁労長が、見事に自分流を見出して、
親離れしていく姿も感銘深かった。
これを見ていて改めて思ったことがあった。
漁業こそハイテク産業なのだと。
4億円の船に6000万円の情報機器、
これを駆使して、カツヲの群れが
どこに姿を見せるのか予測できるかどうか、
ここに生活がかかっていると言うのだから。
燃料代だけで1日50万円だという。
この船の母港・土佐佐賀港は、
南海トラフ地震で津波が34mの高さで
来襲するとされる地域なのです。
完

