クロスオーバーの真意 | GLORIOUS MEMORY

クロスオーバーの真意

音楽でクロスオーバー(Crossover)とは、異なるジャンルの垣根を超越して表現することを言います。しかし、多く方が異なるジャンルを交ぜ合わせたり、組み合わせたり、融合させたりして、1つの新しいジャンルを作り出すことだと勘違いしています。
それらは、ミックス(Mix)、コンバイン(Combine)、フュージョン(Fusion)であって、クロスオーバーの本質から逸脱しています。だから、こんなことが起きてしまう。

例えば、オペラ歌手がROCKを唱うと全くROCKに聞こえない。反対に、ロック歌手がOPERAを唱ってもOPERAもどきにしかならない。これらをクロスオーバーとは言わない。それは、ただオペラ歌手(ロック歌手)がROCK(OPERA)の楽曲を歌っているに過ぎない。

私のクロスオーバーの概念は、1人の表現者が異なるジャンルを尊重し、音楽ならばPOPS、SOUL、R&B、ROCK、演歌、ミュージカル、クラシック等それぞれのジャンルが出来上がった歴史的背景をきちんと熟知し、発声も含めてそれらが持つ様式やグルーヴ感を壊すことなく本質的に表現すること。つまり、全く異なるジャンルなのにその垣根を超越し、1人の表現者がまるで別人のように楽曲を駆使して歌唱できる者をクロスオーバー歌手(Crossover Singer)と言うのです。

島倉 学