劇団四季のレゾン・デートルとは | GLORIOUS MEMORY

劇団四季のレゾン・デートルとは

劇団四季は、何を迷走しているのか新作が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』?(笑)
これは、完全に演劇の本質から逸脱した商業演劇ですね。

私は、作品自体を否定しているのではありません。これまで何度も申し上げているように、何でもかんでも新しい発想を取り入れれば優れた芸術になると思っていたら大間違いです。演劇の根本は、「無」の状態から「有」に創造していくところから始まるのです。つまり、物理的な事実ではなく、想像力によって具体化・具現化した真実をきちんと分かるように観客へ伝える(信じ込ませる)ことです。

劇団四季の「レゾン・デートル」は、作品を通して『自分の人生は本当に素晴らしいものだ』と観客に気付いてもらうためにある『こころの劇場』を目的とした社会貢献活動です。
ちなみに、レゾン・デートルとはフランス語の哲学用語で、直訳すると「存在意義」という意味です。しかしそれは、周囲から劇団の存在価値を認められたいという意味合いではなく、劇団が強い意志を持って取り組んでいる存在意義を示します。
これは、決して綺麗事ではありません。

大型の海外作品を長期間上演することは、安定した経営のために極めて重要だが、そこだけに走っていると必ず失敗する。
演劇の感動は、『8割が戯曲の文学的要素』から生まれ、『俳優や演出などの魅力は残り2割』にしか過ぎない。
壮大で華やかな作品をロングランする『劇団四季』とは世を忍ぶ仮の姿であり、先にも述べたように作品を通して『自分の人生は本当に素晴らしいものだ』と観客に気付いてもらうためにある『こころの劇場』を目的とした社会貢献活動こそが劇団四季の「レゾン・デートル(存在意義)」である。
生前に創立者の浅利慶太氏は、常にそう語っておりました。

「演劇の本質とは何か」を今一度考えて頂きたい。

島倉 学