芸術の価値 〜 舞踏家 金森 穣 16年の闘い〜 鑑賞レポート Vol.3 | GLORIOUS MEMORY

芸術の価値 〜 舞踏家 金森 穣 16年の闘い〜 鑑賞レポート Vol.3

「本当の芸術活動や優れた芸術家は、人類の財産になることを目指している」

地方は、文化や芸術とどう関わるべきなのか。
2019年、一つの答えを見出した「富山県南砺市利賀村」

金森 穣氏が師と仰ぐ演出家・鈴木忠志氏は、過疎が進むこの地域を「演劇の聖地」と呼ばれるまでに育てた。

鈴木氏は、かつて東京の小劇場を拠点に名を馳せた。
1976年、主宰する劇団ごと東京から利賀村に拠点を移し、古民家を劇場に改装して創作を展開した。
活動への支援の輪は、「村」「県」「国」へと広がり、政治と経済界をも巻き込んでいる。

演出家・鈴木忠志氏は、芸術家の信念をこう強く語った。

本当の芸術活動とか優れた芸術家は、人類の財産になることを目指している訳だ。
地域の利益のためにやっていたら、それは利益誘導だよ。

「これだけ新潟県が世界に貢献してくれる」ということを示すことが、芸術家の役割なんだよ。
ところが、政治家はここが分からないんです。

ここから先は、鈴木氏のお言葉を私が分かりやすく代弁致します。

真の芸術家とは、利益のために活動しているのではない。人類のために「心の財産」になるものを残していく。それがより良い社会を作るために最も必要だということを地域全体が認識しなければならない。

私は、鈴木氏のお言葉に大変感銘を受け心に響きました。仰る通りであると同感します。

そして、最後に鈴木氏は「地域全体でやっていく意識まで金森がいけていないということは、金森も努力が足りないのかもしれない」と叱咤激励された。

島倉 学