最近の映画館は映画の上映だけでなく、いろんなものを上映しています。

 

バレエやオペラ、歌舞伎、アーティストのコンサートや演劇やミュージカル、アイスショーなど、ライブビューイングだけでなく録画編集されたものまで、映画以外のものも多く上映されています。

 

私はクラシック畑で育ってきたのもあり、とりわけバレエを観るのが好きで、ロイヤルバレエシネマは今季も映画館で全て観ましたし、Kバレエシネマの「眠り」、オランダ国立のスミルノワさんの「ジゼル」も観ました。

(それぞれ、とても素敵でした。)

 

バレエを映画館で観るって面白いのだろうか?って思われる方もいらっしゃるかもしれません。

 

 

とっても面白いです。

興味がなければちょっと退屈かもしれませんが(これは映画でも同じかも)バレエに興味はあるけど舞台を観に行くには遠い、チケットが高い…という方には本当にオススメです。

ナマの鑑賞とは比べられないものではありますが、バレエシネマは良い角度で撮影され編集された舞台を、大画面で、良い音響で鑑賞することができます。

 

 

 

 

で。今回の白鳥の湖ですが…

 

 

とっっってもよかったです!!

オデット/オディールはヤスミン・ナグディさん

ジークフリート王子はマシュー・ボールさん

どちらもロイヤルバレエのプリンシパルですね。

 

ヤスミンさんは正確かつしなやかで美しい動き。元々優しいお顔立ちなのでオデットの雰囲気だなあと思っていて、オディールは妖艶さが出るのだろうか…って思っていたのですが、さすがロイヤルのプリンシパル、見事に演じ分けられていました。

バレエは言葉がないので音楽と美術とダンサーの動きと顔芸(顔芸って言っていいのかな。顔の向きや表情などの表現のことです)で物語が進むわけですが、ダンサーの方は表情もですが、動き(バレエの技術的なところと表現面のところ)がやはり重要で、テクニックが正確だとより「説得力がある」表現ができるものなんだなあ…と思いました。

 

演技の中に踊りがある。そんな感じ。

(実際は高度なバレエの技の連続なので集中しながらやっていると想像しますが、観てる側からすると「踊りで自然に物語を紡いでいる」と思うような感じ)

 

1幕

最初は王子の場面。王子の妹2人と王子の友人ベンノの3人の踊りなど。

ワルツとポロネーズの男性の方々の踊りもかっこいいんですよね。みんな踊りが上手い(それはそう)!!

余談ですが、私が最初にバレエを観た時に思ったこととして、どんな見すぼらしい格好をした人でも、舞台の端の端にいる人まで、みんな踊りが上手いし体型がめちゃくちゃ良い(そりゃプロのバレエ団ですからね…)!

これ、毎回思います(笑)。ものすごくプロフェッショナル。

女性陣はめちゃくちゃ踊りが優雅で綺麗だし男性の群舞はほんとにかっこいい。

男性たちが4人、8人でアントルラッセしてるのとかたまらない!!大好き。ずっと見ていたいです。

そういう見どころがいっぱいある1幕。

友人ベンノを踊っていたのはジョンヒュク・ジュンさんという方。今はソリストのようですが、踊りがとても端正で、立ち姿がノーブルで、これから目が離せないダンサーさんだと思いました。

ジークフリート王子のお母さんの役はクリスティーナ・アレスティスさん。すごい美女!!女王が踊るシーンはほぼないのですが、ゴージャスなドレスに負けない、美と貫禄がありました。

 

2幕

湖のほとりの白鳥たちのシーン。ここは白鳥の群舞が見どころ、「白鳥の湖」の代表的なシーンかなと思います。

2幕の最後のあたりでオデットが真ん中で手を上下にパタパタさせる動きのところの音楽がとても好きで何回も動画でも見ているのですが、そのシーンもとても良かったです。

チャイコフスキーは天才ですね…。

 

3幕

舞台装置がゴージャス!舞台美術に負けないくらい衣装もゴージャス、踊りもその豪華さに埋もれることなく、全てがバランス良く融合されている完成度の高さ…。いやあ…すごいですね。

王子は各国から来た姫4人の中から妃を選べと女王に言われて、姫4人と各国の人たちの踊りがあるのです。

見どころの黒鳥の32回転のフェッテはヤスミンさんは最初3回転から入って中盤までほとんど2回転でされていました。その後にマシュー王子の高速回転が入って、そして王子は黒鳥に永遠の愛を誓ってしまう場面になるのですが、

「妖艶に誘われたのちにこんな情熱をぶつけられたらそりゃ誓っちゃうわ〜〜」

と思うような盛り上がり。

 

その場面の後にすぐに幕間の休憩になるのですが、本当に胸が熱くなり「すごい〜〜!」って言っていました。

 

4幕(終幕)は、失意のオデットと王子の悲しいシーン。

 

 

 

う〜〜〜ん、なんて救われないお話なんだ……。

 

 

 

 

古典バレエって悲しい話が多いな…と思っていまして、と言いますか、ちょっと言っちゃっていいですか。

ヒロインがだいたい不幸になる、そして相手の男性がだいたいヘタレかクソ(すみませんつい本音が)!!

本当にこんな男を選んだらアカンやろーーー!!っていう男性を選んでしまうヒロイン。

ジゼルとか、アルブレヒトがクソすぎるし(ジゼルもアルブレヒトを許しちゃうのでダメ男を製造する要素があるのでなんとも言えないんですけど…)白鳥の湖だってジークフリート王子、お前、相手をよく見ろ!!

オデットと外見は似てるけど中身は違う人だぞ!!!って言いたくなります。

そしてだいたい王子のママ(女王)は強いし王子はママに逆らえない。

 

ドンキホーテとかシンデレラとかくるみ割りは悲しい要素がなくて、ワックワクのまま観られますね…。

とは言ってもストーリーが悲しくても王子がどれだけヘタレでもバレエ作品はなんでも好きではあります。

 

 

 

今季のロイヤルバレエシネマは終わってしまいました。

2023/24シーズンの他の作品、ドンキホーテ、くるみ、マノンも素晴らしかったです。ドンキは二回見ました。

来シーズンは古典作品がないのが驚きですが(シンデレラはある)、不思議の国のアリスを上演するみたいなのでものすごく楽しみです。

 

 

あ〜〜いつかコヴェントガーデンのロイヤルオペラハウスで観たいなあ〜〜