肩こりのメカニズム(血虚編) | 島川はり灸院(院長ブログ)

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堺市ではり灸院を営んでいます。
各疾患別に治療例を紹介しています。
はり灸の話を中心に日記も書いていきます。

今回は血虚から生じる肩こりについて勉強いたしましょう。

まず、血は摂取した飲食物が脾胃に入りここで腐食されて作り出された

気や津液を含めた栄養素の内の1つになります。

そして、脾胃で作られた血は肺や心の力を借りて全身に行き渡りもしも

の時のために血を肝に貯蔵させときます。

血虚とはこの肝で蓄えられた血の不足をいい大きく分けて熱症と寒症と

に分けられます。

 

(熱症)

これは肝の精気が虚し過度な労働や頭を使い過ぎたために血中の津液

(水分)が虚し虚熱が生じた病理状態をいいます。

生じた虚熱は上昇したり表に行く性質があるので上半身の部位(肩)に波

及いたします。

そして、このような病理状態が慢性化してくると肩に虚熱が停滞してしまい

肩こり(痛みや重だるさ)となって現れてきます。

随伴症状として「頭痛、めまい、目の疾患、耳鳴り、動悸、胸脇部痛、イライ

ラ、睡眠障害」などの上半身の病症を伴うことが多いです。

上にあげた随伴症状を含む肩こりを無くす為には虚熱の発生を治めるしか

ありません。

つまり、常日頃から自分の体力以上の労働は避け必要以上に血が消耗し

ないよう心がける事が肩こりの改善、予防に繋がると思います。

この熱症の肩こりの人は仕事や家事に対して頑張り過ぎる傾向があります。

しかし、体質的に血が不足していることもあり物事を最後までやりとげる事

ができません。結果、イライラします。

 

(寒症)

このタイプの肩こりの人は血の津液不足だけではなく肝の栄気(身体を温め

動かす働き)まで虚しています。

つまり、血そのものが不足していますので冷えの症状が中心になります。

原因は出産や出血、過酷な労働などダイレクトに血が消耗いたします。

身体を温め血を動かす栄気が虚していますので全身に十分な血が行き渡り

ません。

結果、肩の筋肉の伸縮する働きに異変が生じてきます(栄養不良が原因の

肩こりに繋がる)。

随伴症状は「腰痛、婦人科疾患、倦怠感、下痢、頻尿、足の冷え、胃腸

疾患」など下半身の病症を伴うことが多いです。

この寒症の肩こりは血そのものが不足していますので熱症の肩こりより

も重症であり、また熱症の肩こりの慢性化がさらに進めば寒症の肩こり

に移行いたします。

つまり、体質的に寒症の人もいれば出産などでダイレクトに寒症になら

れる人もいますし、また、熱症から寒症になる人もおられるわけです。

寒症の肩こりの予防や改善策ですがまず、血の消耗を避ける事です。

そのためには「汗をかき過ぎない事」、「お肉やほうれん草など鉄分の

含む食材をしっかり摂る事」、「何事も根気よく頑張らない事」です。

そうする事でイライラ感も減り体質改善され肩こりの悩みも無くなります。

以上が今回のテーマである「血虚による肩こり」の概要です。

最後になりますが熱症の肩こりは比較的早く、鍼灸で治せます。

しかし、寒症の肩こりのほうは、時間がかかります。

程度にもよりますが血を産生している脾胃にまで肝の血虚が波及して

しまっているものは肩こりが治まるまで最低、半年はかかるでしょう。

体質を変えるには時間がかかりますから。(陽虚から陰虚へ)。

 

 

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