味覚⑤(鹹味) | 島川はり灸院(院長ブログ)

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堺市ではり灸院を営んでいます。
各疾患別に治療例を紹介しています。
はり灸の話を中心に日記も書いていきます。

こんにちは。

今日は味覚シリーズの最後になります鹹味(塩味)についてです。

鹹味の食材の過不足が我々の身体にどのように影響するのかが

今日のテーマになります。

まず、鹹味とは食塩が含まれている食材を摂取した時に舌が「塩

からい」と感じられる味覚を意味します。

さて、鹹味は五臓でいえば腎に属し腎気の働きを補っています。

そして、腎気には「潤す」働きがあります。

「潤す」とは例えば、体内に津液(水分)が多くなり過ぎて身体が冷

えている時に余分な津液を絞り取り汗や尿、便として体外へ排出

させ身体の冷えを取る働きをいいます。

分かりやすく言えば野菜に食塩をふりかけると野菜から水分が滲

み出てくるのと同じ原理です。

ここで鹹味が身体にもたらす効果、逆効果を紹介いたします。

 

(鹹味が身体にもたらす効果)

 

1、胃に水分が停滞して食欲が無い人に効果があります。

  鹹味で胃を「潤し」和らげてあげる。

1、血中の津液が多く血球成分が少ない低血圧の人に効果あり。

  鹹味で津液を取り上げる。

1、体内の水分代謝が悪く水分がうまく体外へ捌けない人に効果あり。

  (むくみ(浮腫)や悪心嘔吐、胸のつかえなど)。

 

(鹹味が身体にもたらす逆効果)

 

1、鹹味の摂りすぎは血中水分の減少を招き血液が粘り熱をもつ。

  (高血圧や心臓病、腎臓病など)。

1、鹹味の過剰摂取は体内の津液を乾かすので皮膚の乾燥を招き

  美容にもよくありません。

1、慢性疾患を患っている人や高齢者の人は体内の津液が不足し

  がちなので鹹味はよろしくありません(適度ならOK)。

  

以上が代表的な鹹味が身体に及ぼす作用になります。

これまで5回に渡って5つの味(五味)について紹介してきました。

酸味に始まり苦味、甘味、辛味、そして、今回の鹹味。

我々、人間が生きていく上で前述した五味の摂取は欠かせません。

また、適度な摂取量で5つの味をバランスよく摂る事が大事です。

偏りはよくありません(病になる元です)。

私の知り合いにも異常なほどの甘党(1日の摂取量がハンパない)

の人もいれば、どの食材にもタバスコなどの辛い香辛料をかける

インド人顔負けの人もおられます。

このような人達を偏食の極みといいます。

これらは味覚中枢の脾の弱りを現しています。

そして、脾を中心に脾とバランスの取れていない他の蔵へ病を伝え

る事になります。

例えば、本日の鹹味でいえば脾と腎とのアンバランスの関係が続く

事で偏食傾向に陥り、塩味の食材を異常に摂りだしたり逆に塩味の

物を極端に嫌ったりします。

また、塩味や甘味の物を日頃から摂り過ぎたり不足しがちな人は脾

と腎にダメージを与え脾と腎の機能低下に繋がります。

結果、上記した高血圧や心臓病など様々な病に罹るリスクが高くな

ってしまうのです。

つまり、病は食(味覚)の変化を知らせてくれ、また逆に食の偏りは

病を誘発するという事です。

皆様、健康維持あるいは病の改善に本気で努めていきましょう!

 

 

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