背中から胸にかけての痛み | 島川はり灸院(院長ブログ)

島川はり灸院(院長ブログ)

堺市ではり灸院を営んでいます。
各疾患別に治療例を紹介しています。
はり灸の話を中心に日記も書いていきます。

こんにちは。

今回も治験例を紹介いたします。

(患者) 男性、49歳、自営業、堺市在住。

(主訴) 左背部肩甲骨内縁から左胸にかけての痛み。

(愁訴) 全身倦怠感、腰痛。

(問診) 1ヶ月前くらいから咳が出だし、しばらくしてから左背部

      から左胸部を貫くような痛みが出だした。

      また、痛みの強弱は変化していないとの事。

 

(診断) 主訴部の左背部と左胸部それから左季肋部に

      軽く圧痛が診られました。

      そして、この3点を三角形に囲んだ中心部に痛みの元凶

      らしき物があるらしいとの事。

      体表観察や脈診などの結果、肝の血虚湿と診断いたしま

      した。 脈状は沈、渋、遅。

 

(治療) 脈が沈んでいて痰と咳も出ていたので体内の水を動かす

      よう三焦の相火と胃経と腎経の痰取りの経穴に鍼と灸を

      施しました。

      左背部の患部には気持ちの良い灸と皮内鍼を貼り付ける。

      術中左胸の痛みが消え左背部の痛みも7割方取れました。

(2診目)3日後に来院。 左胸部の痛みは半減、左背部の痛みは7

      割ほど残っているとの事。

      術中の咳の回数も減っていました。

      今回も初診時と同様の治療を行いました。

(4診目)初診から10日ほど経ちましたが経過は良好で左胸背部の

      痛みは無く身体を動かした時に少し違和感が残るくらい。

      また、咳もしなくなり身体全体の倦怠感もかなり取れていて

      喜んでおられました。

(7診目)初診から1ヶ月経過。 左胸背部の違和感完全に消失する。

      また、脈状も比重が血から気に変化していましたので今回

      で治癒といたしました。

(考察) 今回の疾患の直接の原因ははっきりとは分かりませんが

      おそらくストレスの蓄積が起因していたものと思われます。

      ストレスにより肝の疏泄作用に障害が生じ血流が悪くなり、

      気血と行動を共にする水の働きにまで影響が及んでいた

      と思われます。

      事実、脈状が沈、渋、遅でしたので水の障害からくる痰、

      所謂、湿邪。または、水の流れが悪くなる事による身体

      の冷え。肝の疏泄障害が肝気の上昇を煽ることによる

      喘息様の咳。血液の流れがスムースでないために起こ

      る胸背部への栄養供給不足による筋肉の痛みの出現。

      長々となりましたが今回のような病理状態の胸と背部

      とを貫く痛みは結構、臨床上診られます。

      おしまい。

 

 

      島川はり灸院

      https://blog.ameba.jp/ucs/entry/srventryupdateinput.do?id=12388839328