こんにちは。
今日は鍼灸師にとって3大病症の1つに上げてもいい「肩こり」の治験例
を紹介いたします。
昨年の10月に来院された40代の女性の方で20代の頃から「肩こり」が酷いとのこと。
特に冬場になると「肩こり」が強くなり頭痛を伴うそうです。
「肩こり」の範囲は後頚部から肩~肩甲骨内側に診られ特に右側の頚部の付けね
の部位で持続痛で辛い。
主訴の「肩こり」以外は腰から下肢の冷えとだるさ。
診断の結果、虚労寒湿の腎虚。所謂、冷えのぼせが「肩こり」の主な原因。
治療は下半身の冷えが取れるようにお腹と腰に知熱灸(気持ちがいい)を施し
患部にも硬結が多く診られたので同様の処置を行いました。
週2ペースの来院で1週間が経ちまた1週間が経ちましたが症状の大きな変化が
診られません。困り果て、
いろいろ問診のやり直しを行なったり考えたりしたのですがどう診ても虚労寒湿の
腎虚だったのです。
「リウマチのようなノーマルな虚労寒湿でない場合もあるわけやし」「どうしたもん
かいな」「腹減ったな」と途方に暮れていました。
そこで深く考えずに「肩こり」は経筋病の1つであり1番辛い部位に直接工夫を加え
ることにしました。
刺絡治療です。 まず、主訴部の右頚部の付け根に軽く針を刺してそこから血を
抜きました。次に右腰部に黒い細絡が見てとれたのでこの部位にも同様の処置を
行いました。
結果、驚くほど効果がありました。
全身が温まり「肩こり」全快、下肢の冷えも更に全快されました。
この後、年末まで週1回の来院ペースで治療を施した結果、日に日に症状が改善
されていきました。
全身の上下のバランスが整い冷えのぼせが改善されたと言えるでしょう。
これも上半身に長年少しずつ溜まり停滞していた病巣(お血)が刺絡治療によって
取り除かれたからだと思います。
今回のような頑固なお血が絡んだ疾患には刺絡治療が効果大です。
全身調整だけでなく体表観察の重要性。局部へのアプローチの必要性を再確認
させられた症例だったと思います。
島川はり灸院
http://www.shimakawa-harikyu.com/