精神科に抱かれて
~精神科患者の今の私の生活記録ブログ~

著作 ネナイFナイルZERO

はじめに

今の私の生活記録を、ブログで綴っていきます!全ての精神科に関わる皆様に贈る記録ブログ

2017/11/24 第一話

落ち着きと冷静さが大切

朝、いつものように精神科病院に着いた。私は、精神科で治療を受けながら一人暮らしを続けているshimadryu、41歳、一応男。週に三回、作業療法室に通っている。この病院とは長い間お世話になり続けている仲で、私の知り合いも多い。朝、早めに着くと、デイケアの面々が挨拶してくれる。かつては私もデイケア通いしていたことがあり、その時お世話になった方も沢山いるのだ。昔、私は病状が悪かって、自分勝手な言動が非常に多かった。そして、自分と相手の距離感を測るのも苦手だった。その頃に辛抱強く私の相手をしてくださった人達に本当に感謝致している。作業療法室とデイケアは、開始時間が違うため、時間が来るとデイケア組はデイケアに行ってしまう。みんな、親切に挨拶したり私を意識したりしてくださった。そこで、私は診察カードを出し、タバコを吸いに喫煙所に向かう。

一本吸った後、静かな喫煙所に気付く。かつては喫煙する人ももっと多かった。ひとり歩いてきた人が来たので、挨拶してみる。無視されてしまった。何か寂しい気持ちもしながら、今日一日のことを考える。9時から作業療法が始まるので、もうそろそろ向かわなければいけない。私の一日は、作業療法の日の場合、こうして始まる。

「マスター、缶コーヒーひとつ頼む」と、純華の左側の男がカウンターに言った。王帝の36階は、誰もあまりしゃべらず打つから、よく声が通る。「男は辛いねえ」と小鉄が苦笑いをする。南4局、純華の親番で、彼女は現在トップ。約70000点の浮きを抱えて、少し険しい顔をしていた。彼女は、何か嵌められている感じがしていたからだ。そして、現在ラスの神橋も苦しそうな表情をしていた。純華は、まあいい、ここは勝ち上がってやれ、後でどうにでもなる、と考え、打牌した。小鉄も缶コーヒーを注文し、楽しそうに牌を捨てていく。「これが当たりだろう」と、ゼロと呼ばれる男は1ピンを切った。純華は手を止めた。「何でなの?」彼女は聞いた。そして、沈黙する男に牌を倒す。大三元、役満だ。「何でか、言ってよ」純華は怒ったように言った。ゼロは、「あなたを潰したくないからだ」と、ボソリと語った。


帰り道、純華はご機嫌だった。京介は笑いながら、少し悲しそうに言った。「あのヘボ兄ちゃん、負けるつもりで打ってたらしいな」彼女は気にせず「私には関係ないからさ、アンタがやっぱり一番よ」とふざけてみる。「どういう意味だよ」と彼も笑って怒ったようにふざけた。王帝での闘いは、さらに続く。二人は静かな夜道を、寄り添いながら、振り返らず歩いていった。




shimadryu




(この物語はフィクションです。実在の企業名、建物名、人物とは全く関係ありません。)


「リーチです」南1局2順目で、早くも神橋さんが世界最速リーチをかけてきた。「しょうがないなあ…」と、捨て牌の1ピンをチーする小鉄さん。「ゼロさん、こりゃ、あの若い女の勝ちだなあ」そう言って、純華に対する安パイを切る。沈黙していたゼロは、純華に視線を向けて、軽く笑み、3ソウをツモして、そのまま3ソウを切った。純華はニヤッと笑い、「チー」と鳴いて神橋に安パイそうな5ソウを切る。神橋は、嫌な予感がした。「ゼロさぁん、そりゃ無いっしょ…」神橋は仕方なくツモってきた9ピンを軽く河に叩き捨てた。「ウフフ…ロン」そう言って、牌を前に倒す純華。ドラが1萬で、ドラ3ジュンチャン、満貫だ。「優しいのね、ゼロさん」そう言って褒めるが、彼は相手にしないフリをしている。「オイオイ、頭(ゼロ)に惚れたんかい、気ィつけやあ、ネエチャン」小鉄は含み笑いをする。その時、ゼロさんは純華に、「余裕でいられる時は危ない」とボソリ伝えた。純華は、「アンタの言うこと、本気にしてないから。何者なのか、それを教えてよ」と焦れてつぶやいた。神橋は、点棒を数えながら、「麻雀に、最も愛された哀しい男」と言った。小鉄さんも小銭を数えながら、「世界を救ったダメ男」と言い、ムヒヒーと笑う。純華は、何のことか分からず、とりあえず点棒を箱にしまう。この勝負、どうなるのか。その時、京介はゼロに睨みを凄ませ、ガンを飛ばしていた。




shimadryu




(この物語はフィクションです。実在の企業名、建物名、人物とは全く関係ありません。)


あれから時は三ヶ月程度過ぎ、純華と京介は王帝最上階36階に上がっていた。手持ち資金はやたら増えて、預けの資金も物凄い額になっていた。36階は、レートが一番高いのは当然として、王帝最強雀士は誰だ、という雰囲気に妖しく包まれていた。純華は、京介とコンビで打つばかりではなく、ピンでも打っていた。その時は彼氏は休憩をとることになっている。純華は、京介に、今から一人で打つから、と言い残し、第七番卓に向かった。彼氏は軽く激励の言葉をかけ、コーヒーを飲みにカウンターに向かった。純華は、髪を軽く掻き上げて、ふうと溜め息を漏らし、椅子に座った。真向かいには爆牌ヅモ使いの小鉄さん。右側には世界最速リーチの神橋さん。左側に座ってタバコを吹かしているのは…、この人は、純華には一見素人の若者に見えるが、侮れないと殺気で感じるタイプの頬傷の兄ちゃんで異名や名前を彼女はまだ知らなかった。始めようか、と神橋がサイコロを手に持ち、闘いは始まった。

東1局から東3局までは、普通の流れで、純華が二度上がり、東3局は親流れで流局した。純華の親番だ。東4局、サイの目は5を出し、少し含み笑いしながら彼女は作業を進めていった。予定通り、配牌に中2枚、白2枚、発3枚が入り、焦りを押さえながら、4ピンを切った。大三元確定配牌だから焦りも出る。4順目、早くもテンパイした。白、発をポン、カンしており、待ち牌は中と4萬だ。6ソウを激しい気持ちで切った。「あ、それ、ゴメンな、ロン」と、左側の男の口から声が出た。ギクッとなり、純華は牌を二枚倒してしまう。「平和のみ、千点」怒る素振りも見せないように、その頬傷の男に、千点を放り渡す純華。軽く舌打ちした。「やるじゃない、何者?名前教えてよ」彼女はそう聞いた。彼は、「…ゼロだ」と言った。名前なのか?と勘繰りながら、洗牌開始する純華と面子の三人。南入だ。今日は勝てる勝負だ、と純華は念を込めて、牌を洗う。その時、京介が心配そうに純華を見ていた。


続く。




shimadryu




(この物語はフィクションです。実在の企業名、建物名、人物とは全く関係ありません。)

知る人ぞ知る、麻雀の聖地のひとつ、王帝。36階建てビルの、全てが雀荘だ。入り口に差し掛かったカップル二人は、上を見上げて、溜め息を漏らした。カップルの男の方が、「純華、ここで間違いねえ筈だよな」と勘繰った。彼女はスマホ画面と照らし合わせながら、間違いないよと伝えた。「京介、分かってると思うけど、今日は登録のみだからね」と彼女は念を押した。二人は自動ドアからそろそろと中に入った。「やあ、いらっしゃい。何の目的で来たんだね?」とカウンター越しにおばあちゃんが声をかけてきた。純華は「登録のみです」と伝え、書類を求めた。その時、彼女の右肩を後ろから誰かが掴んだ。「オイオイ、すみちゃんじゃん!逢いたかったよぉ」彼女が手を振り払うと、長身のレザーコートの男はおどけながら笑って言った。京介は咳払いをし、彼女の側に寄って、事情を聞く。昔なじみの純華の親友男性らしい。「打っていこうよ、すみちゃん。君なら勝てるよぉ」彼女は、登録のみに今日来たから、打てないと断った。「ざ~んねん、じゃ、昔の借りを返すよ」と、財布から50枚程の一万円札を抜き出し、赤ばみあるサイコロ2つと共に、渡した。「オイ、根岸、これはどういうことだ」彼女は聞いたが、根岸は笑って、「君が好きだから、貢ぎ物のつもりぃ。あ、俺、今から34階に行くから。見学に来ない?」純華は、笑って断った。今日は、ヤボ用が夜あるからだ。根岸は、またねぇ、と去っていった。書類登録にかかる純華。京介は麻雀雑誌を読みながら、緑のソファーに腰掛けていた。

登録が終わり、二人の帰り際、少し京介がぎこちなかった。その赤ばみあるサイコロが、彼女が昔流した血ばみであることを聞いてしまったからだ。「アンタも血を出すまで頑張ってみれば?ウフフ。京介、明日からあそこで打つんだよ、ガッツリ儲けような」そう言って、彼女は京介の手を握り締め、激励した。夜は二人を妖しく包み、京介の頭の中には、彼女しか映らなかった。「今夜、俺の家に来ないか?」純華はニヤリと笑い、「おバカさん、その前になんか食べさせてよ」と彼の胸にもたれて甘えた。これから、二人の王帝での闘いは、始まるのである。




shimadryu




(この物語はフィクションです。実在の企業名、建物名、人物とは全く関係ありません。)