公務員は2枚目の名刺で資産を築いてみるのはどうでしょうか | 公務員 島田正樹 〜仕事と私事と志事と〜

公務員 島田正樹 〜仕事と私事と志事と〜

仕事も家族・友人との私事も楽しみながら、魂を燃やして挑む“志事”で社会を変えていきたい! 地方公務員として働きながら、NPO活動、講演、執筆、ワークショップデザイナーなどに取り組む“公務員ポートフォリオワーカー”として活動しています。

民間企業の副業解禁の話が話題になっていますが(そもそも禁止されてなくね? という話もありますが)、実は公務員の副業ってどうなのよ? ということも一部の界隈で話題になっていたりします。

 

 

例えば、神戸市や生駒市は市役所職員が地域活動にもっと積極的に関われるように、報酬を得ながらNPOなどの活動に従事することを認めるための新しい基準を設けました。

 

両市の取組は、従前から許可できる事案のうち、NPOなど地域貢献度合いの高い活動について特別に明示して許可基準を設けたものなので、厳密に言えば“解禁”というのは違うはずですが、一部報道では公務員の副業解禁の事例として取り上げられたりもしました。

 

 

また、先日開催された「第7回 地域に飛び出す公務員を応援する首長連合サミットin北海道」というイベントでは、生駒市の小紫市長から公務員の副業の制度化について発言があり、その場で様々な立場から意見が交わされたとのことです。(11月26日 北海道新聞)

 

 

 

さて、公務員の副業。

 

 

なかなか理解されないだろうなと、私は思っています。

 

それは、そもそも副業という言葉にポジティブな印象を抱きにくいという、言葉の問題も相当大きいと私は感じています。

 

なので、この記事では、副業という言葉を使わずに私の考えをお伝えしたいと思います。

 

 

 

ここで私がお伝えしたいことは、公務員が報酬を得ながら何らかの活動をすることは認められていいし、公務員自身は積極的にそういった活動をするといいのではないか、ということです。

 

 

ここで「報酬を得ながら」というのは、早速ケシカラン! という反応をしたくなるかもしれませんが、その前にちょっと今一度言葉の整理をさせてください。

 

 

 

皆さん、報酬って何でしょうか?

 

 

 

私は、仕事でも仕事以外の課外活動でも、

 

貨幣又は貨幣に換算できる報酬

貨幣に換算できない報酬

 

の2種類があると思っています。

 

 

 

前者は、お給料や謝金、原稿料など、まさにお金としていただく報酬です。

後者は、スキルアップや人脈形成、信頼関係構築など、お金では無いけれども自分にとって価値のある何か。

 

 

便宜的にここでは、貨幣をはじめとする前者を有形報酬、貨幣には換算できない後者の報酬を無形報酬と呼ぶことにします。

もちろんここで言う有形報酬と無形報酬という呼び方は、リンダ・グラットンの『LIFE SHIFT』に出てくる、有形資産と無形資産に結び付けて名づけています。

 

 

 

通常、公務員に限らず副業という言葉からイメージされるのは、有形報酬を得るような活動であり、それがたとえ本来の目的は必ずしもお金ではなかったとしても、結果的に有形報酬を得ることになったとたん、「それは副業だ!」と糾弾されたりするわけです。

 

 

では、どうして有形報酬を得る活動は(ネガティブな意味の)副業として糾弾されるのでしょうか?

公務員が有形報酬を得る活動が禁止されるのはどうしてなのでしょうか?

 

 

恐らく、「有形報酬を得る活動をすると本業が疎かになるから」という主張が多いのではないでしょうか?

 

 

 

確かに、有形報酬を得る活動をすると、本業への集中力など専念する気持ちが低下する可能性は否定できません。

 

但し、それが無形報酬を得る活動だったとしても、同様に本業への集中力など専念する気持ちが低下する可能性は否定できません。

 

もちろん、有形報酬を得る活動をしても本業に専念する気持ちが低下しない人も多いでしょう。

 

でも、それは無形報酬を得る活動も然りです。

 

 

 

「いや、有形報酬は要するにお金でしょ? お金を得られる活動をする場合の方が、無形報酬、つまりはスキルや人脈を得る活動をする場合よりも本業が疎かになるに決まってる」

 

 

そういう主張はありそうですね。

 

 

ただ、その主張の裏側には、有形報酬に対する評価の方が、無形報酬に対する評価よりも絶対的に優越する、という先入観があるように思えます。

 

 

 

人は本当に、有形報酬を得られると本業を疎かにするほどに、仕事以外の活動に没頭しちゃうのでしょうか? それは無形報酬を得られる活動よりも、絶対的に本業を疎かにするのでしょうか?

 

 

 

私の考えはそうではありません。

 

 

 

有形報酬であろうが、無形報酬であろうが、本業を疎かにするヤツはどちらでも疎かにするし、どちらを得ても疎かにしないヤツは疎かにしないというのが私の考えです。

 

何なら有形報酬も無形報酬も得られないような、テレビゲームに熱中して本業を疎かにするヤツだって、きっといます。

 

 

 

公務員ですから、職務に専念することは非常に大切です。

 

 

 

そのために、仕事以外の活動に何らかのルールを課すのも必要なことかもしれません。

 

でも、それが「職務に専念することが大切」だということであるなら、有形報酬を得られる活動を制限して、無形報酬を得られる活動を制限しないのは、あまり本質的では無いというのが私の考えです。

 

 

 

私も結果的に有形報酬を得られる活動をすることがありますが、その活動が有形報酬を得られる活動だから熱中し、時間をかけて取り組むということはありません。

何なら、お金で買えない無形報酬を得られる活動の方が大切だというケースはままありますし、そういう活動の方が熱中することだって珍しくありません。

 

 

でも、何故かその活動が有形報酬であるか無形報酬であるかで、制限されるのが今のルールです。

 

 

 

このルールを変えたほうがいいのかどうかは議論が分かれるところだと思いますが、私は有形報酬か無形報酬かという区別だけで、地公法38条で縛るか否かを線引きするのは本質的では無いと考えています。

 

個人的には、どのような(もちろん違法でない、公務員倫理上の問題も無いという前提で)活動をしていても、キチンと働いているかどうか、いや働いているかどうかだけなら単なるインプットですから、アウトカム(成果)で評価をして、仕事以外の活動に熱中しすぎて本業が疎かに(成果が低下)なったらその分評価で報いるというのが本質的なような気がしています。このあたりは私もまだまだ勉強中なので、いずれ考え方が変わるかもしれません。

 

 

 

 

もう少し突っ込んだ言い方をすれば、有形報酬(貨幣等)と無形報酬(スキルや人脈等)の考え方を拡張すると、本業とそれ以外の活動を区別する意味が薄れてきます。

 

 

 

500万円の有形報酬を得ながら、小さな無形報酬しか得られないAという活動と、50万円の有形報酬しか得られないけれど、(本人にとっては)莫大な無形報酬が得られるBという活動にそれぞれ従事していたとして、本人にとってはAとBのどちらが本業なのでしょうか?

 

 

ここで「Aに決まってるでしょ」と考えるとしたら、それは「お金をたくさんもらえる活動が本業であり、本業を本業たらしめているのはお金の報酬の量である」と考えていることと同義にならないでしょうか?

 

 

でもですよ、これを地方公務員で考えたら、公務員としての仕事を本業と扱い、他の活動よりも大切にすべきと考えるのは、「お金をたくさんもらえているから」ということになりませんか?

 

 

それでいいのかな?

公務員の仕事は、お金をもらえるから本業なのかな?

 

 

「いや、公務員の仕事は地域や社会に貢献するものだから大切なんだ」という主張もありえますよね。「だから公務員の仕事(活動A)を本業とし、活動Bよりも優先すべきだ」と考えるとしたら、それはお金の軸で評価するよりも共感を得られそうですし、私もちょっと納得感があります。

 

しかし、よくよく考えると、地域や社会に貢献する度合いで評価するとしたら、公務員の仕事よりも、例えば仕事以外の活動として取り組んでいるNPO活動の方が地域や社会への貢献度合いが高かったとしたら、公務員の仕事よりNPOの活動を優先すべきということになってしまいますよね。

 

 

他の軸を考えてみると、例えば、「公務員の仕事は、仕事以外の活動よりも成長できるから、公務員の仕事こそ本業として他の活動よりも優先されるべきだ」という考え方もできると思います。これもあり得そうですよね。

 

でも、仕事と仕事以外の活動では取り組む時間が仕事の方が長いこともありますから、ある意味、仕事以外の活動より成長できることは当たり前といえば当たり前。例えば、社会人大学院に行ったり、財団のプログラムなどで数ヶ月~1,2年の学びを経験すると、その密度は仕事よりも大きく、単位時間あたりの成長も仕事より大きくなる可能性があります。そして、社会人大学院や財団など、仕事以外のプログラムでの成長が、仕事よりも大きくなる可能性があるとしたら、活動の内容や関わり方によって仕事以外の課外活動であっても仕事より密度が大きく成長できる可能性は否定できません。

 

 

こうやって考えると、「仕事」という言葉や「本業」という言葉を、あまり安易に使えないような気になってきますよね。

 

 

 

もしかしたら、貨幣など有形報酬の価値が無形報酬の価値に比べて相対的に低下しつつあって、つまりはお金をもらうよりも、スキルを身に付けたり人脈が作れたりすることの方が価値があると認められるケースが増えてきていて、まとまった時間を投じてまとまったお金を得る「労働」というものが、絶対的にその人の人生において他の活動よりも重要である、という従来の価値観が揺らいできているのかもしれません。

 

 

 

そう考えたときに、公務員に限らずではありますが、長い時間を投じて大きなお金を得る「仕事」というものと、無形報酬を得られる他の活動との優劣を簡単に評価できないのではないか、そんな風に感じる瞬間があります。

 

 

 

このことをもって、「じゃあ、公務員ももっと自由に有形報酬を得られる活動を認めればいいじゃないか」とすぐに言えるかどうかは、労働と価値と人生との本質的な議論だけではなく、市民・国民の理解や納得感なども重要な観点なので難しいところだと思います。

 

私はその点、そんなに急がなくてもいいのかなと感じているところです。

 

 

 

むしろ、世の中には有形報酬と無形報酬という考え方があることを踏まえて、公務員も仕事では有形報酬と無形報酬を得つつ、仕事以外の活動でより多くの無形報酬を得られる活動をすることで、有形資産と無形資産とを築くという考え方はあるのではないでしょうか。

 

 

 

公務員はルールの制約もあって、有形資産は仕事でしか築けないかもしれませんが、無形資産なら仕事と仕事以外の活動を組み合わせていくらでも築くことができます。

 

100年人生だからこそ、公務員は2枚目の名刺で無形資産を築く、そんな意識を持ってみるのもいいのかもしれません。

 

 

Facebookで投稿した際の議論(2018年6月16日追記)

https://www.facebook.com/masashimada/posts/1492823084127680

 

 

 

そんな、公務員にとっての2枚目の名刺について語り合う場があります。次回予告です。

 

 

◆公務員×2枚目の名刺PJ  第4回作戦会議
日時
:12月16日(土) 10:00-12:00 

場所:オリンピックセンター(東京都渋谷区)
定員:10名
参加費:無料
内容:「
公務員×2枚目の名刺プロジェクト」(http://magazine.nimaime.com/public_project_launch1/)では、公務員が2枚目の名刺を持つことのワクワクと課題について参加者もプロジェクトメンバーも一緒になって対話する「作戦会議」を開催します! 

「作戦会議」は、2枚目の名刺というスタイルを広げるための、その仕掛けを考える場。二枚目の名刺に興味がある方など、初めての方にもオープンな会ですので、お気軽にご参加ください!
申込:参加をご希望の方は《参加を希望する回》をご記入のうえ info@nimaime.com までご連絡ください。折り返し場所の詳細をご連絡いたします!
主催:NPO二枚目の名刺