憲政史上最大の椿事「総総分離」ってどういうこと?法律的解説

 

数合わせ騒動の陰で、石破総理続投の奇策あり

「総総分離」がどういうことかわらない、との質問をいただいたので解説してみたい。今回の騒動は参院選に自民党が負けたことによる責任論からはじまっている。つまり衆院の「解散」や「総辞職」よるリセットではない。10月4日の自民党総裁選で高市早苗氏(64)が当選したので「自民党裁」は高市氏。国会では首班指名をやり直したわけではないので(現在休会中だが)「内閣理大臣」は石破茂氏(68)のままだ。いまの状態こそ「総・総分離」なのだ。臨時国会が始まっても石破総理が自分の意志で、政権運営を放棄して内閣総辞職しない限り、法的にクビになるいわれは何もない。だから石破総理継続の目は消えたわけではないということだ。

じゃあ、いまの「数合わせ大騒動」は何なのかと言う話である。ただ国民の多くが、政治家の多くが、新しい総理でと思っていることは重大である。

 

「特別国会」冒頭必須の首班指名だが、今回は必要なし

首班指名「特別会」、マスコミでは「特別国会」と呼んでいる国会で行なわれることが多い。

「特別会」とは、衆院解散に伴う総選挙直後の国会(総選挙後30日以内に召集)をいう。ただし、「特別会」なる言葉は憲法の条文には出てこない。〈憲法で国会の章に当たるのは52、53、54条〉。憲法に出てくるのは常会(通常国会)、臨時会(臨時国会)で、この点からすると、「特別会」は呼称のみで「常会」「臨時会」と大きな違いはないといえる。国会法では『特別会』と言うことばが出てくるが【憲法で定める国会】のこと、となっている。なので、ますます差異はないことになる。ただ、特別会の最優先事項は首班指名となっている。だから【衆院解散→総選挙→特別国会→首班指名】はワンセットということだ。

解散なしで衆院議員任期満了となった場合には、総選挙のあとの国会は特別会ではなく、臨時会となる。この臨時会の冒頭に首班指名がくる。このパターンは憲政史上、三木武夫内閣が唯一だった(1974-76年)。

 

すんなり石破総総理内閣辞職を望む国会の思惑

今回の臨時国会、衆院で首相の専権事項として解散をしたわけではなく、内閣不信任案可決による解散や内閣総辞職があったわけでもなく、首相が重篤な病気になったわけではないので、首班指名なんかやらなくてもいいことになる。だから高市自民党総裁、石破内閣総理大臣の【総総分離】状態のままでいくことも法律上は可能だ。

あり得ないと思うが、もし石破首相が辞めなければ、自民党自身が自分たちを中心に選んだ首相に「不信任決議案」を出すことにもなりかねない。あるいは野党にお願いして出してもらうかだろうか。

 

憲政史上稀にみる椿事がまだまだ続きそうだ。