沖縄知事選告示 「玉城VS古謝」一騎打ちに反基地か経済か

 

本土復帰から知事は保守系・革新系4人ずつ互角

任期満了に伴う沖縄県知事選挙は8月27日に告示された。9月13日の投開票日に向けて選挙戦が繰り広げられる。注目は3期目を目指す革新系現職の玉城デニー氏(66)と、新顔で保守系が推す前那覇市副市長の古謝玄太氏(42)の対決。事実上の保革一騎討ちとなった。届出は総勢6人。沖縄の本土返還以来8人が沖縄知事に就いたが保守系4人、革新系4人で互角の成績である。有権者は117万人。

 

辺野古に打つ手なし学習船転覆で革新系に逆風

1995年の米兵による女子小学生暴行事件以降、県民の多くは米軍基地反対を貫いてきた。こと普天間基地の辺野古移設問題では保守・革新を超えた「オール沖縄」体制が築かれたが、一時の勢いはない。しかしながら、その流れを汲む玉城氏が直近2期を務めている。辺野古への基地移設の是非だが、もう県レベルで反対できる策(行政手続き)は尽きており、今回は重点政策からも外れた。そればかりか「辺野古」という言葉はあの悲惨な事故を想起させてしまう。同志社国際高校の平和学習船の辺野古転覆事故である。県外の人間がみるかぎりは玉城氏には逆風が吹いているようだ。

 

 沖縄の課題は最低所得県の汚名返上と交通対策

沖縄の観光業は順調なものの、復帰54年を経ても県民1人当たりの所得は47都道府県中最下位のまま。国からの助成金頼みだった県政から、地場産業振興に舵をきるときだろう。沖縄の風物詩となってしまっている交通渋滞もどうにかしたいところ。南北縦断の鉄道敷設も検討されているが、大型のインフラ投資を呼び込むのもデフレ経済下では難しいか。しかしながら国からの沖縄振興助成金は年間4000億円と半端ない。どの候補を応援するかで経済界の命運は変わる。勝った知事が分配するからだ。勝ち馬に乗りたい経済界の動きにも注目したい。

 

 沖縄の象徴的出自の玉城氏、エリート官僚の古謝氏

 候補者の横顔を紹介する。玉城氏は米兵の父と日本人の母との間に生まれた。父は兵役を終えると本国に帰国したため、玉城氏は母の手ひとつで育てられた。沖縄の歴史を象徴するような出自と言える。沖縄は車社会でラジオパーソナリティもしていた玉城氏の知名度は高く、とくに年配の女性からの人気は絶大なものがある。政治家との交流としては小沢一郎氏と近い。 

一方の古謝氏は珍しい名前からもわかるように沖縄の出身。東大薬学部卒後、総務省官僚になるが、早くから将来の「沖縄県知事」にと自民党が目をつけていたらしい。地方行政を勉強されるため「副知事」「副市長」としての出向が多い。参院で当選し任期途中で沖縄県知事に転身すると考えていたらしいが、前回の参院選は落選している。

 

 前回  2022年

玉城デニー 革新系全部乗り  33万9767票

    佐喜真淳   自民 公明   27万4844票

   下地幹郎             5万 3677票

 

 

下地氏、出馬取りやめで囁かれる裏取引

 前回選挙の得票を見ながら、今回の選挙を予想してみる。前回の結果から見るとキャスティングボードを握っていたのは下地幹郎氏ということになる。今回、その下地氏、8月25日の土壇場になって立候補をやめた。自民党との政策協議がまとまったことを理由にしているが、自民党に自分を高く売ったと見る政治評論家もいる。【革新】玉城VS【保守】古謝・下地という保守分裂選挙がこれで回避されるからだ。そもそも下地氏が「保守」かと聞かれれば、そうとも言い切れない。自民党議員でスタートしたが、離党、野田政権で「郵政民営化担当大臣」をした経歴がある。今回の自民党との政策協議にも実現に向けて『努力する』の言い回しがあるなど抜け道だらけ。自民党の西村康稔選対委員長との接触時期を見ても、立候補匂わせから取り下げまでのシナリオがあった可能性もある。現時点の情勢調査ではまだ玉城氏がリードしているが、先の衆院選で沖縄小選挙区4区完勝している自民だけに大胆な応援戦術をとってきそうだ。さて、どうなるか。