来年国会「旧姓使用法制化」で可決か。世論2分の中で折衷案

 

補正予算成立 新年通常国会冒頭の解散はあるか

補正予算が成立の運びとなった。国民民主党が賛成に回って、少数与党の参院でも可決できる見通し。いまの臨時国会、会期末は12月17日。正月三賀日が選挙期間だった例はなく、年内解散もなくなった。つぎのヤマ場は来年1月召集の通常国会冒頭か。それを逃すと本予算成立直後の3月末ごろ。ただ国会審議中はどうしても野党の質問攻勢に受け身気味になるため、支持率が下がり易い。国民に信を問うていない内閣の「正統性」を疑問視する声もあるなか、低調だった自民党の「党支持率」も持ち直し基調で、「そろそろかな」の空気が出てきた。

 

「戸籍」から「個籍」への流れくい止めた保守派

来年の通常国会では、長年店ざらしにされてきた感がある「選択的夫婦別姓」が一応の決着をみる可能性が出てきた。一度、賛成・反対で世論を2分する盛り上がりを見せたのが1996年。法務大臣の諮問機関・法制審議会が別姓の導入を答申したときだった。私の個人的見解だが世界の潮流から言って、日本も「戸籍」から「個籍」に移行せざるを得ないだろうとみていた。マイナンバー制度は、それを見越してのルールだろうと。だが、保守派の反対が思ったより強かった。私はサラリーマン記者を定年退職した後、市民課の「パスポート担当」と「戸籍担当」の窓口で働いたことがあるので実務はなんとなくわかる。「姓」「名」「誕生日」がわかればかなりの高確率で本人が特定できる。同姓同名同誕生日のひとがいたことはいたが、超レアケースだった。そういう場合、「ご両親で、結婚されて姓が変わらなかった方、お父さんかお母さん。その方の出身地はどこですか」と聞くことが多かった。これで特定できなかったケースは経験的にはない。

 

「姓」が必要となったのは明治政府の「徴兵制」

江戸時代、平民は「名」だけで「姓」はなかった。土着性が高く、行動範囲が極めて狭かったこともあるが、農民は「年貢」を納めるときも、「名」だけで事足りたということだろう。

これが明治政府になってから「姓」を持つことを強制されたのは、厳密な個人特定を必要とする「徴兵制」の導入が歴史的背景としてあるようだ。

 

松竹梅なら「竹」 高市首相「旧姓使用法制化」案

具体的議論は来年の通常国会を見るしかないが、「強制的同姓」と「選択的別姓」で世論が割れている中、高市首相の「私案」の延長線上とは言え、「旧姓通称使用法制化」は「中間をとる」ことの政治的意味は大きいとみている。ひとは困ったとき真ん中を選びたがる。うな重に「松」「竹」「梅」があるように。国会に提出されればかなりの確率で可決するのではなかろうか。成立すれば、当分見直しはないとみるべきだろう。