石破首相、今度こそ総裁辞任 新総裁選にも出馬せず 10月国会で新首班指名
「空白の50日」永田町の常識を超えた石破首相の粘り
石破茂首相は9月7日、自民党総裁を辞任すると発表した。同氏は次期総裁選には出馬しない。辞任に伴う『総裁選』は「衆参国会議員」票と「党員・党友」票が同等の重みをもつ「フルスペック方式」で行われるようだ。新総裁任期は石破氏の残り分約2年。ただ少数与党のため単純に「自民党総裁=内閣総理大臣」とはならない。
「政治空白50日」と評した、政治部長論文が新聞に載るほどに、7月22日参院選以降の自民党の混乱ぶりはすさまじかった。これに伴いマスコミも動揺した。7月23日には読売新聞が「月内、辞任へ」主旨の号外を配った。結果的に誤報と言えたが、検証記事では、石破首相の言質を取ったが、心変わりすることまで読めなかったとあった。ウラ取りの甘さ云々(うんぬん)よりも、衆院・都議・参院、3連敗の責任は「辞任」以外ないだろう、との「永田町の常識」が書かせた記事のような気がしている。
6日夜、公邸を訪ねた菅義偉副総裁、小泉進次郎農水大臣が「引導」を渡したようだ。自民党の完全分裂は避けられた形だ。トランプ関税修正の大統領令への署名もいいタイミングで、花道というか辞任の口実を与えることとなった。
おろし派、辞めるな派 政治家の行動原理は「勝ち馬に乗る」
面白かったのは、と言うと不謹慎だが、「石破おろし派」と「石破辞めるな派」の息もつかせぬ攻防だった。開票直後は引責辞任を求める「おろし派」が攻め、次は裏金議員がそもそも悪いと「辞めるな派」、総裁リコール選の意思確認を選管に委任で「おろし派」、石破支持率急上昇とリコール要求議員の氏名公表で「辞めるな派」、氏名公表を逆手に取ったアピール議員続々登場で「おろし派」。最終的には「おろし派」が過半数を超える情勢となった。この流れをみると政治家は信念で動くのではなく、行動原理は「勝ち馬に乗る」の一点に尽きるということだ。
石破首相はリコール要求議員が多いようなら、衆院解散に打って出ると「おろし派」を牽制する動きも見せた。実際、国会閉会中の「解散」が現行の法律上で可能かどうか「内閣法制局」に問い合わせた形跡もある。法律上は可能のようで、閉会中解散が実行されれば憲政史上初となるところだった。ただ、解散には閣議決定が必要で、全会一致を原則とする閣議ではかなり難題だったろう。
自民党総裁≠総理大臣 10月下旬臨時国会で首班指名
フルスペックの総裁選となると早くて10月上旬(4日が有力)実施。臨時国会召集は10月下旬か。国会冒頭で内閣総辞職に伴い首班指名と進むはずだ。石破首相は昨年10月1日就任なので首相在任期間1年超となりそうだ。こういうことを政治家はけっこう気にするらしい。ちなみに最長は安倍晋三首相の3018日、短かったのは東久邇宮稔彦(ひがしくにのみや・なるひこ)首相の54日間だった。