新ローマ教皇「レオ14世」は米国出身初 5か国語堪能の69歳
宗教家が仲間割れしているイメージは不味い
新しいローマ教皇に米国出身のロバート・フランシス・プレボスト枢機卿(69)が、5月8日、決まった。267代。米国生まれで初。教皇名は「レオ14世」、社会問題にも積極的に言及したレオ13世(1873~1903在位)に因んだとみられる。選挙は前日5月7日から始まって、4回目の投票で決まった。宗教家のトップが仲間割れしているイメージがつかないようにという暗黙の了解も働いたようで、2日目で3分の2の票が集まった。新教皇は米国シカゴ生まれだが、南米ペルーでの布教活動が長く、両親は仏・伊・西のルーツを持つ。その関係もあって5か国語が堪能と言う。初めてのスピーチもバチカンのイタリア語とペルーの現地語であるスペイン語のチャンポンだった。2代続いて宣教師系がトップに立った。欧州の事務方系が優勢とみられていたが「サプライズ」当選で、多くのメディアが予定原稿を破り捨てることになったようだ。米国から教皇を出さない慣例は、国連事務総長を常任理事国から出さない慣例に似ている。大国にさらなる権威を与えないという配慮からだ。だが、今回の教皇はペルー国籍も持つ。投票権がある枢機卿の国籍がバラエティに富んでいることから、宣教師系が有利になることもあるようだ。
「ペテロ」「パウロ」に因んだキリスト教系施設名
キリスト教は「イエス」の教えから始まったが、弟子の活躍によって広まった。「ペテロ(Peter)」と「パウロ(Paul)」のツートップが有名だ。英語読みだとピーターとポールだからありふれた名前といえる。ペテロは漁師でガテン系、パウロは学者系。初代ローマ教皇にはペテロが就く。彼の死後、バチカンに「サンピエトロ大聖堂」が建立されるが、〈ピエトロ〉は「ペテロ」のラテン語読みだ。立教大学は「セント・ポール」の別名を持つが、こちらは「パウロ」に因んだミッション系大学となる。
「アメリカ」「フィリピン」名前で分かる歴史背景
名前と言うのは物事の核心をついていることがある。アメリカはイタリアの探検家「アメリゴ・べスピッチ」に由来しているが、なぜコロンブスではないのか。コロンブスは発見した新大陸がインドであると思い込んでいたので、一時期、地名が混乱した。新大陸を「西インド」、インドを「東インド」と呼んだので、わけがわからない事態になったためだ。世界で最初の株式会社といわれる「東インド会社」は、インドの東部ではなく、欧州からみて東にあったわけだ。
もうひとつ地名の話をしよう。東南アジア「フィリピン」の国名は「フェリペ2世」からとっている。「フェリペ2世」はスペインを代表する王様だから、宗主国がスペインだったことがわかる。いま米軍基地がおかれ、国民のほとんどが英語堪能となっている。
名前のルーツを探索してみるのも歴史の勉強になるかもしれない。