消化できるか米国債 トランプ大統領に課せられた「裏テーマ」
「世界の警察」の代償としてのトランプ関税
「帝国の逆襲」ということらしい。「スターウォーズ」ならぬ「タリフウォーズ」である。世界の警察の役割をひきうけて割を食ってきた米国が「自分へのご褒美」として相互関税を打ち出したとも見てとれる。米国がやせ我慢をしてきたとき、のびのび経済成長したのが日本だったということか。トランプ関税に話だ。米国は「ボストン茶事件」が独立のきっかけになった国なので、「関税」の怖さは身をもって知っている筈なのだが。トランプ大統領は身の安全にも十分気をつけねばならない。
支持率、株価、GDP下がる ウケるは「移民政策」
そもそも「トランプ関税」が米国にとって「自分へのご褒美」となっているかはなはだ疑わしい。まずトランプ大統領の支持率が下がった。政策で支持されているのは「移民政策」だけで「関税政策」ではない。景気の先行き不透明で米国「株価」も落ちた。下がるわけがないと思われていたGDPまで下がった。「輸入」はGDPにとって「引き算」の対象となるので、「駆け込み輸入」が増えれば当然マイナスになる。経済アナリストによると急激に輸入が増えた品目は「金(ゴールド)」だそうだ。スイスから。金属ならなんでも輸入しておこうとなったのか、素人にはわけが分からない。なにか深い意味があるのだろうか。ただ急激に景気が下がっていることだけは伝わってくる。
米国債、新規発行が最大課題 米議会で難航必至
関税ばかりがメディアに取り上げられているが、裏テーマというか「真のテーマ」は米国債の発行だという。上手く消化できるかだ。金利が上がり加減で債券価格が下がってくると、「米国債」も魅力がなくなる。米国の発行済み国債は36兆ドル、すでに米国における「財政法」では上限に達しているが、トランプ大統領は国債をまだまだ出したがっている。米連邦議会がすんなり発行を認めるはずもなく、揉めに揉めそうだ。発行できたとしても魅力がない米国債を誰が引き受けるかという難問もある。ちなみに現時点で、外国の保有は8兆ドル。そのうち日本は1・1兆ドル。
本当の交渉相手は赤澤大臣でなく加藤財務大臣
米国が、赤澤経済再生大臣との交渉より、加藤財務大臣のとの交渉に重きを置いている理由がここにある。問題は「金利」であり「為替」であるということだ。米国は、円高ドル安に誘導した「プラザ合意」(1985)をふたたび狙っている可能性もある。
一般論としてワンマン社長は「間違いは絶対に認めないが、やり方はコロコロ変える」ものである。トランプ大統領もその点、こだわりのないタイプにみえる。