「トランプ貿易風」強し。知っておきたい「関税」基礎知識
輸入業者が税関に納めるのが『関税』
わかっているようで、わからないのが「関税」である。ただこの関税をめぐって、トランプ大統領の言いたい放題で市場は混乱気味だ。
関税の仕組みはこうだ。日本で言えば、輸入業者が「税関」に『関税』を納める。税関は財務省所管の役所なので、最終的には国庫に入る。日本国内でおカネが回るだけだ。かつて外国製品というだけで高く「舶来品」などといった時代もあった。これは関税のせいだった。
当然だが輸入関税分だけモノの値段が上がるので、今回でいえば日本の製品が米国市場で売れなくなるのは確か。これがトランプ大統領の狙いだ。ただしその代わりに米国の製品が売れるとは限らないのだが・・・。
貿易戦争に勝者なしといわれる由縁
このところの経済原則で言うと、「貿易戦争に勝者なし」ということになっている。輸出する側(国)は彼の地でモノの価格が上がって売れなくなるのでマイナス面が大きい。一方、輸入する側(国)も自国の企業を保護してぬるま湯に漬けておくことになるので生産性の向上・技術革新が阻害されるマイナス面がある。
自由貿易と保護貿易で揺れ動く世界経済
国を跨いだ貿易は昔からあったわけだが、「輸入超過」を忌み嫌う歴史が長かった。「輸出-輸入」がマイナス、つまり赤字は「悪」だった。この感覚、なんとなくお分かりいただけるだろう。(いまの米国はこの状況である)。
18世紀なって英国にリカードという経済学者が現れ、自国の得意とする生産物を輸出し、苦手とする製品を輸入したほうが、世界は上手く回ると「自由貿易主義」を唱え始める。経済学でいう「比較優位論」である。
ただ、ことはそう簡単でもなく「経済安全保障」の観点から、政治的な側面が経済面(貿易面)より重視される傾向も出てきた。20世紀初頭の「世界大恐慌」からの「ブロック経済」化、そして第二次世界大戦に行き着いたのは典型例である。
この反省も踏まえて、人類は「自由貿易主義」と「保護貿易主義」のシーソーを漕ぐことになる。
GDP、軍事力世界一のトップが言い出すと・・・
ただGDP世界ナンバーワン、世界一の軍事力を持つ国のトップが貿易のルールを主張しだすと、従わざるを得ない部分もある。日米首脳会談、石破首相とトランプ大統領の対面はそれをよく表していた。
日本への火の粉はどうなるのか、北米自由貿易協定締結国のカナダ、メキシコへの関税はどう決着するのか。不確定要素が多いので、また書くことになるかもしれない。