フジ騒動 結局中居氏は何をした?鎮静化にはこれ1点

 

10時間説明しても肝心なことが言えない記者会見

10時間以上の「説明会見」を聞いていてもモヤモヤしている。みなさん、詰まるところ中居正広氏がフジの女子アナといわれている被害者に何をしたのか知りたいわけで、これが満たされない限り騒動は収まりそうにない。性的トラブルがあったことは事実で「命の危険を感じる」行為が行なわれたが、「手をあげるなどの暴力行為はしていない」となると、「いったい何をしたんだ」とますますゲスは勘繰る。9000万円の和解金も破格で、ゲスでなくても興味がわくだろう。

 

「強制性交罪」から「不同意性交罪」法律の変化

事件があったのは2023年6月。刑法に「不同意性交罪」の概念が入り施行されたのは翌月7月。新しくできた法律で過去の事件を裁いてはならないという「罪刑法定主義」があるので、それまでもあった「強制性交罪」が適用されてもおかしくないように見える。「強制性交」は力づくのイメージがあるが、「不同意-」は意に沿わない状況でしてはならないと「こころ」の問題も包含するよう法律が改められた。

法律の専門家によると「性的トラブル」の場合、「争点」は詰まるところ「合意」だったかどうかに尽きるのだそうだ。その点、文春側が事件発生場所を公的といわれる会合の場から、中居氏の自宅マンションに訂正したのはけっこう重大ともいえる。

 

示談書には刑事・民事訴訟せずに守秘義務か

で「示談書」が交わされている。勝手な想像だが①刑事告訴はしない②民事賠償訴訟も新たに起こさない③守秘義務、くらいは入っているのではなかろうか。ご存知と思うが「告訴」は当事者、「告発」は第三者が公判の請求をすることをいう。でも、である。「強制性交」時代からすでに「親告罪」から外れている。被害者が訴えなくても警察・検察は動ける。刑事裁判だから「原告」は検察。警察関係者によると、このような示談書があっても強制捜査ができないことはないが、それには「トップの意思」が必要だという。今回設置の決まった「第三者委員会」は聞き出すだけなので両者の言い分を並べるだけに終わるともいう。

 

変わる性の意識 変わらぬフジのイケイケ体質

私も60代半ばを過ぎたが、1980年代までは「性接待」「性上納」とはいかなくても会社の接待の席に新入社員の女性を同行させることはあったような気がする。「魚心あれば水心」というか「需要は供給の母」というか、時代、時代で意識,社会通念も変化するし、進化もするのだろう。私の場合、女性記者にネタとりをさせることもあり、「くノ一」的発想まで追い込まないよう気をつけていた。フジテレビ役員の会見を見ていて「バブル」で時代が止っている会社がまだ存在しているんだなあとしみじみ思った。テレビ局には「スタートアップ企業」的社風が求められるので、その分ガバナンスが未熟なのかもしれない。余談だが会見で比較的良心的な発言をしていた副会長(辞任の意向)の遠藤龍之介(民放連会長)氏は作家・遠藤周作氏のご子息で、若い頃「ネットワーク部」という部署に配属されていた。私どもの雑誌で「詰将棋」のアルバイト原稿を龍之介氏に依頼しており、毎週の原稿とりは私の仕事だった。妙な縁だが、あれから40余年。今回は詰めが甘かったようだ。

 

「才たけてみめ美わしく情けある」のイメージ先行?

「 妻をめとらば才たけて みめ美わしく情ある」(与謝野鉄幹「人を恋ふる歌」明治34年)

理想の「女性像」だった時代があった。これをテレビ画面で具現化してきたのが女性アナウンサーだったような気もする。今回の騒動、この心象風景が壊されるストレスが遠因なのかもかもしれない。