けっこう緻密!?トランプ氏の奇想天外「USスチール」「グリーンランド」編

 

アメリカの立花孝志!?10日後、トランプ政権誕生

「トランプって人はアメリカの立花孝志だな」。私が密かに敬愛するジャーナリストが思わず呟いたので笑ってしまった。米国大統領の格が下がったのか、N党の親玉の格が上がったのか。まあ、とんでもない事を突然言い出すカテゴリーと言うことだろう。さて10日後、トランプ氏は聖書に手をおいて宣誓する(1月20日)。返り咲きの新大統領誕生である。

 

USスチールにみる単組と産別の危機意識の違い

先ずは「USスチールと日本製鉄」合併問題の話からいこう。USスチール労組は賛成。大元締めの全米鉄鋼労連は反対。ねじれた。単組5万人が○、産別85万人が✕だから差し引き80万人。現場の方が、危機意識が高いことが見て取れる。時は大統領選挙、トランプ候補はこれを80万票と読んで「反対」を表明した。もともと労組は米国・民主党の大スポンサーなのでバイデン・ハリス候補は口が裂けても「賛成」とは言いえなかったわけだ。選挙が終わればウインウインの合併話は一転上手く行くかと思ったが、なぜかバイデン大統領が「大統領令」まで出して御破算にしようとしている。ましてトランプ氏になったら絶望的だ。日本製鉄の会長が公式の場で「バイデン」と呼び捨てにしていたから、相当頭に来ているのだろう。鉄鋼生産世界1の中国の思う壺かもしれない。

 

グリーンランド買取の現実性は アラスカの前例はあるが

つぎはグリーンランド買付問題。そもそも大陸と島の違いをご存じだろうか。サイズ感である。世界最大の島がグリーンランドで、世界最小の大陸がオーストラリア大陸。その中間サイズの陸地は存在しない。四方を海に囲まれた陸地で潮の満ち引きがあっても沈まないことが条件だそうだ。かの地はバイキングなどの入植者が自治区を作っているが、成り行きで領主になったデンマークへの帰属意識は薄い。雇われ店長の下で働く従業員と言ったところか。

「緑の島」は、素敵な名前だが、お察しの通り人寄せ効果を狙った命名である。ひと里離れた造成地に「緑ヶ丘」が多いが、発想はまったく同じだ。あのバカでかい島に6万人弱しか住んでいない。米国がカネに飽かせば買収できない数ではないだろう。ことしは国政選挙の年なので、ついでに帰属に関する国民(住民)投票もありえる。米国はソ連からアラスカを買い取った「成功体験」があるので、けっこうマジかも。地球温暖化で氷が解けて「北極航路」に現実味が出てきた。開通したら、「もうパナマ運河通りません」と言い出すかもしれない。

ただここでも中国の影が存在する。グリーンランドへの投資に一番積極的なのが中国なのだ。地下に眠るレアメタルもあるが、交通の要衝とみているのだろう。米軍基地だけでは心もとないとトランプ氏は思い始めたらしいのだ。