「殿、ご乱心」か、韓国に非常戒厳令。「6時間天下」尹大統領の行く末
北朝鮮の口パク偽動画と思わせた、尹大統領のキレ度
世の中、何が起こるかわからないものである。12月3日午後10時23分、韓国の尹錫悦(ユン・ソンヨル)大統領(63)が突然、国民に向け「非常戒厳」を発する演説を行なった。テレビで見た人は北朝鮮が作ったフェイク動画で、尹大統領の画像に口パクをさせ声色をのせたシロモノと思った人もいたようだ。ご存じのように国会の決議を受けて4日午前4時27分、自ら「解除」を宣言。世に言う「6時間天下」となった。
「ねじれ国会」 日・独・仏・韓で政権不安定感増す
世の歴史家が真相を解き明かすのだろうが、いまのところ「殿、ご乱心」としか言いようがない。韓国は大統領制。選挙方式は大統領も直接投票、国会議員(定数300)も直接投票となる。2大政党型となっていて、尹氏(2022年選出)は与党「国民の力」の大統領だが、国会での「国民の力」はことし4月の総選挙で大負け。第2党になったばかりか、過半数を大きく下回った。第1党は野党「ともに民主党」である。韓国は1院制。最近流行の「少数与党」ってやつである。「ねじれ国会」ともいう。日・独・仏・韓と与党が劣勢に立たされている。これで戒厳令を出しても韓国憲法にある通り国会で撤回させられるだけであった。
少数与党で予算ダメ・人事ダメ。とどめは夫人の醜聞
少数与党となると予算案は通らない、人事案は否決されるで、にっちもさっちもいかない。その上、美人の奥さんまでいじめられて、キレたようだ。この奥さん「誰のお陰で大統領になれたと思ってんの」と性格が結構キツイという噂もある。2年前の大統領選、僅差の勝利は夫人の功績大と言われたことは確かだが。検察トップまで経験したエリートが世にも愚かな決断を下す。心理学者によると脳はリソースに限界があるため、ひとつ大きな問題を抱えてしまうと、別の事を判断する能力が稚拙になるのだそうだ。
光州事件以来、韓国デモで「ろうそく」の意味するもの
韓国の戒厳令と聞いて、1979年の軍事クーデター、これに反発した学生・市民を弾圧した翌年の「光州事件」を思い浮かべた方も多いはず。今回もあの時同様、市民たちは蠟燭(ろうそく)を灯してデモに参加した。蠟燭の象徴するものは①自らを燃やして周りを明るくする=自己犠牲②一つ一つは小さいが集まれば大きな明かりとなる=民主主義③夜明けを待つ=民主化、だそうだ。
選考会の「第6感」 韓国ハン・ガン氏にノーベル文学賞
12月ノーベル賞の授賞式がスウェーデンのストックホルムで行なわれるが、今回の「文学賞」は韓国・光州市出身のハン・ガン氏(54)。代表作の『少年が来る』は光州事件をモチーフにしている。ノーベル賞の選考委員会では「第六感」のようなものが働いたのかも知れない。「平和賞」の方は、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)だが、こちらは原爆投下の〈虫の知らせ〉にならないように祈りたい。