知っておきたい米政治の基礎知識 「共和党」「民主党」どう違う

 

私が連載を担当していた大物キャスターが「当てずっぽうでも50%」と冗談を言っていた。米国大統領選挙の期間中のこと。2大政党制だから確率的にはそうなる。歴代の大統領の年表を見てみると、1期やるか2期やるかの違いはあるものの民主党、共和党、だいたい交互とみることができる。「あつものに懲りてなますを吹く」ではないが「振り子の理論」が働くのだろう。結果的には「たすき掛け人事」のようだ。とはいえ、民主主義の枠組みの中で政権交代を繰り返すと、「いいとこどり」が起こるのでグラデーションがかかっていくことも考えられる。

 

2党の特徴をステレオタイプで上げてみる

【税率】

共和党  小さな政府 税率は低いが自由競争で弱肉強食

民主党  大きな政府 税率は高いが手厚い福祉が受けられる

【国際関係・外交】 

共和党  モンロー主義  保護貿易 内政干渉はすべきではない自国を大切に

民主党  グローバル主義 自由貿易 多くの国と交わることで世界は進歩する 

【スポンサー・支持者】

共和党  軍需業界  キリスト教福音派 白人労働者 インテリ嫌い 

民主党  金融業界  労働組合 インテリ アフリカ系  移民 LGBT

 

歴史に学ぶ 違う2党の外交・国際政策 

民主党・共和党の交代は歴史を翻弄することもあった。行政、とくに外交・国際関係の継続性に問題が出る。大統領が代わると官僚のトップ20%も入れ替わるそうだから尚更である。「歴史的」なのはこの3件だろうか。

 

国際連盟  第一次世界大戦後、米国が提唱してできた国際機関だったが、あろうことか大統領が代わって加盟を見送っている

 

パリ協定  地球温暖化対策として「京都議定書」の発展形としてできた条約。民主党は参加、共和党は脱退。大統領が代わるたびにコロコロ変わる。

 

TPP(環太平洋パートナーシップ協定) 一番貿易額が多い米国だったが大統領が代わったおかげであっさり抜けた。12国から減って「TPP11」と呼称を変更。「環」にならなくなった。

 

で、トランプ大統領誕生である。石破茂首相(だと思うが)は11月18日からブラジルのリオで開かれるG20 (米国の参加者はバイデン大統領)の際に、米国本土でトランプ氏との会談を目論んでいるらしい。「トランプ氏は変わり者だから友達が2人しかいない。シンゾウ・アベとネタニヤフだ」は有名なアメリカン・ジョーク。前途多難かもしれない。