ガラじゃない!静岡・川勝知事、辞任の和歌は「空気読めず」の感

 

散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ

 

悲劇のヒロイン・細川ガラシャ、辞世の短歌

散り際は大切だが、この和歌を引用したことで静岡・川勝平太知事(75)の辞任は、往生際の悪さを余計目立たせたように見える。4月1日、新入庁職員への訓示のなかに職業差別ともとれる発言があり、10日、静岡県議会議長に辞職願を提出する羽目となった。桜の季節なので使ったのだろうが裏目に出た。

冒頭の短歌は、戦国時代の武将・明智光秀の娘で、細川忠興に嫁いだ細川ガラシャの辞世の和歌だ。「ガラシャ」の名前からわかるように姫はキリスト教に改宗。関ヶ原の戦いで、西軍・石田三成の人質になりそうになり,自刃を決意する。敬虔な教徒の彼女は「自殺はならぬ」の教えに従い、家臣に刀を抜かせた。

 

6月までならボーナス28日支給で2875万円なり

それ「違うでしょ」と世間はなった。そもそも6月の県議会までやって辞めると最初言っていたわけで、散り際の悪さは誰が見ても明らか。サラリーマンなら誰もが気付いているだろうが、6月までいるとボーナスがもらえる。記者の中にはその点をやたら気にする人がいて問いただしたら、支給日は6月28日で、支給額は2875万と県が回答したそうだ。

 

学校のセンセイ、政治のセンセイは「世間知らず」の象徴?

川勝氏はもともと早稲田大学政経学部の教授。「学者は教室では天皇」という言葉がある通りで、怖いものをしらない、世間知らずの面がある。大阪出身なので静岡にどれほど愛着があったかも疑問である。

 

知事と総理大臣、米・英の政治思想の違い

知事職は、明治政府の廃藩置県によったため役人のポストだった。この時代が第二次世界大戦まで続いた。内務省系、とくに自治省の出身者(この系列はいまの総務省にあたる)が大半だった。戦後、米国の統治政策で「その地域の民衆による自治」が叫ばれ、公選制となった。米国の政治思想が根強かったため「首長」しゅちょう、と読むが、発音が聞き取りにくく、くびちょう、とわざわざ言ったりする)は大統領なみの権限を持つ。一言でいえば予算編成権と県組織の人事権をひとりで掌握しているわけだ。

この点、英国の政治思想を取り入れた議院内閣制における総理大臣と大きく異なる。

知事の前職No1はこの自治省系官僚(いまでも半数を占める)。2位は弁護士。最近は財務省系官僚も増加傾向にあるらしい。

静岡経済界のドン「スズキ」鈴木修相談役が動いた

静岡県知事を誰が裏で決めているかと言うと、静岡経済界のドン、自動車メーカー「スズキ」の鈴木修相談役(94)である。経営側と労組側が同じ人物を推すなんてことがあり得るのかと思いきや、静岡では川勝氏の選挙の強さは圧倒的だった。鈴木相談役とJR東海「リニアのドン」葛西敬之(かさい・よしゆき)氏(2022年死去)は犬猿の仲だった。この図式がわかれば、今回の一連の騒動がわかりやすくなるはずだ。

 

静岡県県知事選は5月9日告示、26日投開票である。