85歳に触れられ「バカヤロー」 二階氏、「つぎは出馬しません」は奇襲戦法?
健康状態を聞くのは政治記者の責務 米国も同様
「バカヤロー」で有名になった人は吉田茂、荒井注、そして今回の二階俊博ということだろう。敬称略で失礼。自民党の二階元幹事長は3月25日、同党の幹事長室で記者会見し、次回、衆院選に出馬しないと表明した後、記者の質問を受けた時のことだ。二階派記者によると「二階さんは年齢の事を聞かれると気色ばむことがある」のだそうだ。政治家にとって心身の健康状態は大問題であり、85歳の二階氏に、この点を聞くのは記者の責務ともいえるのではなかろうか。米国のバイデン大統領(81)などは「またコケた」「またひとの名前を間違えた」とマスコミに騒がれても、さして気にしているようすもない
二階氏、べつに怒鳴りつけたわけではなく、横を向いてボソッと言ったのだが、最近のマイク、その性能の良さは恐ろしいものがある。余談だが、記者会見のとき林幹雄議員が「二階氏の通訳」となって、難しい質問に代わって答える場面が多かった。大谷翔平選手と水原一平通訳も、人に言えない濃密な関係があったんだろうなと、ふと思ってしまった。
3人息子、気色ばむのは後継者問題があるからか
私は弱冠66歳の小僧っこなので(笑)、85歳の心境を知る由もないが、後継者に不安があることのあらわれではないかと思った。子どもが大きくなると「負うた(背負っている)子に浅瀬を教えられる」のことばもある。「生物は所詮、遺伝子を運ぶ空箱にすぎない」とは生物学者の箴言だ。二階氏には息子さんが3人いるそうだが、全幅の信頼をおける「ひとり」がいないのかもしれない。地盤は和歌山、世襲にとことん厳しいリベラルな土地柄でもないので,二階氏が考えていることは想像がつく。「わたしが推したんじゃありません、地元の皆さんが推してくださったんです」だろう。
「3→2」減区・和歌山支部長問題 二階2世VS世耕氏
恐らく二階氏は今回のことが無くても出馬するつもりはなかったと思う。地盤に触れたが和歌山は次回の衆院選「3」から「2」の減区の県である。支部長候補は二階氏の息子か、参院から衆院に鞍替えして総理総裁を狙うのではないか言われる世耕弘成氏が有力だという。「だった」のほうが正確か。世耕氏は派閥パーティー資金の件で自民党から「非公認」程度の譴責処分がありそうで、あまり派手に鞍替えを訴えられないだろう。もし両者が争うなら「新2区」のはずだが、どうなるかだ。
漁夫の利は岸田首相か 安倍派没落、二階氏レームダック
自ら政治資金不記載の責任をとって次回不出馬とした二階氏にたいして、自民党が追加の制裁を加えるとは思えない。二階氏は自民党に在籍したまま9月の総裁選に睨みを利かすことになるだろう。混とんとした政局の中で求めた「解」は大向こうを唸らせた。
もっと拾い物をしたと思っているのは岸田文雄首相ではないか、安倍派総崩れ、うるさ型の二階氏も先が見えてきた。岸田・麻生太郎副総裁・茂木敏充幹事長のけもの道に4車線の道路が開けたという感じではなかろうか。