安倍派幹部の立件は無理、東京地検の結論? 平野次郎氏訃報に接して

 

安倍派7人不起訴 4000万円超の所属3人起訴だけか

自民党の派閥による政治資金パーティーを巡る事件で、東京地検特捜部は「政治資金規正法」違反(未記載・虚偽記載)で告発された安倍派7人を不起訴とする方針を固めた。会計責任者(政治家でない事務員)の立件にとどめ、在宅起訴とする見通し。政治家と事務方の「共謀」を立証するのは難しいと判断した模様。ただし安倍派所属で約4000万円以上の還流を受けていた3議員は立件する方針で、検察庁トップに伺いを立てることになりそうだ。

 

NHK・毎日先行も、朝日のダンマリ、の謎

この情報はNHK、毎日新聞が1月13日に伝えたのを皮切りに、16日には読売新聞が書いた。ずっと「裏金問題」として報道をリードしてきた朝日新聞は静かで、業界ではとんでもない隠し玉があるやもとの憶測も生んでいる。ただしNHKは「ウラ取り」が半端ないことで知られており、方向としてはこのままいきそうな気配だ。

「政治資金規正法」は事務方向けに作られた法律と言われ(形式犯)、政治家が秘書らに行動を命令する「音声」とか「メモ」が見つからない限り「共謀」は立証できないという見立てがマスコミでは多い。なんか消化不良の結末になりそうだ。

 

今回の事件で、私が個人的に考えたこと

個人的な意見を書くと、政治資金規正法では、企業・団体献金を禁じているが、個人はOKというのが引っ掛かる。企業・団体は「悪」で、個人は「善」という単純な図式で、政治資金をとらえていいのか。リクルート事件が発端となった法律なので立法趣旨はわからないでもないが、もっと深く考えてみる必要がありそうな気がする。

≪参考≫同法第21条は【会社等の寄附の制限】を謳っている。「(諸々の)団体は、政党及び政治資金団体以外の者に対しては、政治活動に関する寄附をしてはならない」 

2項「前項の規定は、政治団体がする寄附については適用しない」

 

政治資金規正法ばかりがやり玉に挙がっているが、筋論としては「政党助成法」の方がおかしいのではないか。政治活動と言うのは個人の思想・信条で自由闊達に行われるべきもので、「政党交付金」として国家に補助してもらうような筋ではない気がする。政党に入りたくないという思想・信条もあるわけだから、「無所属」を不当に差別しているように見えなくもない。日本が参考にしたドイツの法曹界でも違憲ではないかとの議論もあるようだ。

 

平野次郎さん死去、ちょっと思い出を

と書いたところで、今朝(1月17日朝刊)、訃報が載った。NHKキャスターで解説委員も務めた平野次郎さんが肺炎のため12日、亡くなった。83歳。幸田シャーミンさんとの海外情報番組で人気を博し、衛星放送のワールドリポート、地上波の「NHKニュース・トゥデー」(平日夜9:00)などで活躍した。私個人としては記者時代、角川書店の週刊誌「ザテレビジョン」(休刊、現在月刊誌のみ)で隔週の連載をお願いし、担当させてもらった。連載のタイトルで悩みに悩んだが「平野次郎の早口巷談 衛星(ほし)より秘かに」となった。前半は私がつけて、後半は平野さんがつけた。終了後、同僚が『ネコバンがいちばん』(角川書店)と題して上梓してくれた。「ネコバン」は平野家の愛猫の名である。皇室に造詣が深く、宮内庁も担当していた私は多くのアドバイスをいただいた。NHKにほど近い渋谷区の富ヶ谷にご自宅があり、お邪魔したりした。「島田さんは貴重な体験をいっぱいしているので会社勤めを終えたら作家におなりなさい」と言ってくださった。ここのところ年賀状だけの交流となっていた。ことしの年賀状はまだ来ていない。合掌。