池田大作氏死去 名誉会長喪失で気になる創価学会・公明党の今後

 

平和志向、政治指向で半世紀以上オーナー的存在

公明党の支持母体である創価学会の池田大作名誉会長が11月15日、都内で老衰のため死去した。95歳。宗教法人・創価学会(公称国内信者世帯827万、東京・新宿区)が18日発表した。

池田氏は1928年、東京生まれ。宗教家の幼少期は客観的資料が少ないのが通例で、自身の記述から辿るしかないが、幼少期「海苔屋の倅」として育ったという。戦争の悲惨さを体験。戦後1947年、戸田城聖(じょうせい)氏の謦咳(けいがい)に接し、日蓮正宗(にちれん・しょうしゅう)の信徒で作る団体だった創価学会に入会した。2代目会長だった戸田氏の死去により、32歳の若さで3代目会長に就いた(1960年)。それ以降、創価学会のオーナーのような存在で、公明党の結成などでも指導的な立場だった。

 

「新中」「親ソ」は創価学会の世界戦略?

79年名誉会長に退いたが、影響力は強大なままだった。国際的な視点でみると現役会長時代の75年から「創価学会インターナショナル」(SGI)会長も兼務した。宗教家というのは自ら信ずる「宗教」を「国教」にしようとするのは当然であり、そのつぎの段階として「世界宗教」を目指す。世界の宗教による紛争をみているとそんなことを感じている。

創価学会は総じて「新中」「「親ソ」の傾向があるように思うが、建前で「無宗教」を標榜する両国などは白いキャンバスのような魅力を感じたのではないかと想像している。

 

「現世利益」優先、高度成長期の「寂しさ」を埋めた

池田氏の魅力の源は「現世利益」の宗教を貫き、彼岸で悟りを開く旧来の宗教観とは一線を画したことにあったと思う。時代背景として、創価学会の教勢拡大には日本の高度経済成長があった。人口の都市流入が大きい。私も1970年代、進学のため上京したが、故郷を離れ独り暮らしを続ける知人何人かが、創価学会や統一教会などに入信した。寂しさという心の隙間を埋める役割を果たした。いまでも都会の低所得者層が中心の信者構成は変わっていない。

 

「小選挙区」で影響大か 政界地図の今後

高度経済成長とともに信者を増やしたが、支持する公明党は経済の停滞とともに陰りを見せている。参院選比例区でみると2004年に826万あった総得票が昨年2022年には618万になり200万票減った。高齢化も大きな要因とみる政治学者も多い。

衆参院両方で言えることだが、「比例区」に関することは新宿区信濃町の学会本部や公明党のプロ宗教家・政治家がイメージ戦略でどうにか乗り越えることができそうな気がする。だが、問題は「小選挙区」の方で、素人の信徒を選挙運動員としてたのむため「池田ロス」が致命傷にもなりかねない。

 

日本の政治地図が塗り変わるかもしれない。