成立!「LGBT理解増進法」 タイトル明朗なれど世間は波高し

 

6月23日公布・施行でG7には間に合わず

5月のG7辺りから急に盛り上がりを見せた通称「LGBT理解増進法」(性的指向及びジェンダーアイデンティティーの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律)が2023年6月23日に公布され、即日施行された。

 

立憲・共産などリベラルを謳う政党が反対、自民の保守層からも根強い反対があったという。この法律、通称のネーミングが抜群で「理解増進」というタイトルからすると反対の仕様がないようにも思える。当然ながら罰則のない理念法なのだが、それにしては如何せん揉め過ぎだ。各論に入る前に、基礎の基礎を知っておこう。

 

LGBTの基礎知識 用語解説

L Lesbian レズビアン=女性同性愛者

G Gey ゲイ=男性同性愛者

B Bisexual バイセクシャル=両性愛者

T Transgendar トランスジェンダー=心の性とからだの性の不一致者

 

※最近はQがついてQuestininng=クエスチョニング 属性不明者、も入る

 

LGBTを自認している人は日本で8・9%(電通2020年調査)。これを人口に換算すると540万人となる。決して少ない数字ではない。この人たちを味方につけたら選挙はかなり優位になる筈だ。これが左右両極から評判が悪いということは「帯に短しタスキに長し」の法案になったからだろう。

自民党右翼からすれば美しい日本の家族像を破壊する法律であり、リベラルな革新政党にしたら「なぜ差別禁止法」ではないのか、となるのだろう。


OECDほぼ最下位、G7では日本だけが後進国なみ

岸田首相がG7までに法案を成立させようと焦っていたのは、OECD35か国でLGBTに関する法整備の進捗状況が34位であり、この手の法律で遅れていたアメリカでも連邦裁が同性婚を認め(2015年)、昨年法制化させてしまったからだ。日本と性の意識が似通っているドイツでは、1994年まで男性同士の性交には罰則があったが、いまや同性婚まで認めるまでになった。日本は取り残された感が大きい。

 

「ジェンダーアイデンティティー」法律「新語」をどう解釈する

条文を読んでみて多少の違和感を持つのは「ジェンダーアイデンティティー」の定義である。これは「性意識の自認性」とも読みとれる。これまでは「こころの性」と「からだの性」からジェンダーが論じられてきたわけだが、この法律では「こころの性」を最優先すべきだと読むこともできそうな気がするからだ。これでトラブルが起きて訴訟になったら「精神鑑定」の世界に入り込みそうな気もしてくる。私の法解釈が稚拙なだけだろうか。

 

政治部記者が語ったLGBTの行き着く先

あるテレビ局の政治部記者が思いもかけぬことを言っていたのを思い出した。

「〈LGBT理解増進法〉などリベラル化への方向は、《男》と《女》の垣根を低くする流れです。行き着くところ天皇に関して《男系男子》の皇位継承なんてナンセンスとなってもおかしくない。ですから右翼は絶対反対なのですよ」

 

う~ん。ここまでいくと、うがちすぎという気もするのだが。