サミット直後3割、秋臨時国会冒頭7割か。岸田政権、年内解散濃厚
解散風が吹き始めたら止めることは出来ない、永田町でよく言われる言葉だ。いまのところ凪だが、岸田政権の支持率がじりじり上がってきているので今年中に打って出るのでないかと言う政治評論家も多い。
統一地方選中は公明党が断固反対
いま前半(4月9日)真っ最中の統一地方選。これに合わせて、解散するのではないかと一時盛り上がったが、もはや後半戦(4月23日)でも日程的に無理だ。そもそも「国政より地方政治」を売りにする公明党が断固反対していた。公明党の固定票がないと勝てない自民党候補者が相当数いるので、その辺りは岸田首相も理解しているのだろう。
G7広島サミット直後か。故郷に錦を飾る岸田首相の思惑
次は5月19日から21日にかけての「G7広島サミット」直後が怪しい。ウクライナのゼレンスキー大統領もオンラインで参加するらしい。そもそも支持率が上がり始めたのは岸田首相がウクライナを電撃訪問したのがきっかけだった。岸田首相の地元(広島)、厳島神社のしゃもじのプレゼントがSNSで賛否両論もりあがった。普通の贈り物より話題になって、政権にはアイデアマンがいるともっぱらの評判だ。
少子化対策の財源をめぐり国民に信を問うか
ふつうに考えれば少子化対策の財源に何を充てるかで国民の信を問うことになるのだろう。秋の臨時国会冒頭の解散か。この公算が一番大きいような気がする。
永田町の政治記者によると岸田首相は「俺は菅さん(菅義偉前首相)のようにはなりたくない」とよく言っているらしい。2020年9月就任の菅前首相は総裁選、衆院選任期満了前、約1年のところで急にバトンを受けとることになった。折からのコロナ旋風で選挙なんかやっている場合じゃなくなってしまう。特俵に足がかかっていると、まともな政権運営などできるはずがない。総裁選にも出られなくなってしまった。
来年(2024)秋に総裁選がある予定だが、その前に解散を打って大勝ならなくなる筈だ。衆院の任期は4年だが、平均して2年半ごとに解散がある。早め早めで動くなら年中の解散は濃厚だろう。サミット直後3割、秋臨時国会冒頭7割といったところか。
憲法69条を使うか、7条で行くか。解散の法律的解釈は
憲法69条「不信任決議案の可決」「信任決議案の否決」を解散の前提条件にする解釈が見直されたのは1948年11月8日付の朝日新聞。憲法学者・宮沢俊義氏の論文だった。「憲法七条に定める天皇の国事行為の一つである衆院解散は、必ず内閣の助言と承認に基づくのであるから、結局、解散を決める権限は内閣にある。つまり七条によってだけでも解散できる」
これだけ理論整然としていると反論の仕様がない。ただ内閣の開く「閣議」は全会一致が大原則。解散でいえば、こっちの方が厄介な法律論かもしれない。