日本と米国のインフレ退治格差、W杯サッカー「仏×モロッコ」で連想したこと
W杯決勝「アルゼンチン×フランス」12・19深夜0時
サッカーW杯カタール大会・決勝は「アルゼンチン×フランス」となった。日本時間12月19日深夜0時キックオフ。生中継は地上波・衛星波・ラジオがNHK。ネットはamebaTVとなる。メッシ(アルゼンチン)、エムパぺ(仏)の最多得点争いも話題だ。
先日15日行なわれた準決勝「仏×モロッコ」は時代の流れを感じさせた。1912年から1956年までモロッコは仏の植民地であり、仏国内には現在も100万人のモロッコ系住民が暮らしている。スポーツは国家の威信をかけた健全な戦争という一面もあり、思えば遠くにきたもんだと感じ入った。
「カスバの女」って歌、知ってますか
いま60歳過ぎの方は「ここは地の果てアルジェリア どうせカスバの夜に咲く」という歌謡曲をご存じと思う。ちあきなおみが歌った。アルジェリアで起きた仏からの独立戦争のさなかの話。パリから流れてきた酒場の女がフランス兵と恋に落ちる歌である。「カスバ」はアラブ諸国によく見られる城塞の事だが、アルジェリアの首都アルジェのものがつとに有名。モロッコもアラブ民族の国なのでカスバを擁している。同じようなドラマがあったかもしれない。試合を見ながら、「カスバの女」がなぜか口を衝いた。結果は2-0で仏。
FOMC 0・5%でインフレ退治から景気重視へ
前置きが長くなったが、仏とモロッコは対等にやり合うようになったが、日本と米国はどうなのかという話である。現地14日、米国連邦準備制度理事会(FRB、パウエル議長)はFOMC(公開市場委員会)を開き0・5%政策金利を上げた。4回連続で0・75%上げだったので一服感は否めない。11月のCPI(消費者物価指数)が頭打ちに転じたので、米国内ではインフレが収まるのではないかとの楽観論が出てきた。パウエル議長からすれば「インフレは抑えて景気は抑えず」の二兎ねらいなので舵取りは難しいところだ。
で、来年の米国の景気はどうなるのか。先行指標として建設業、製造業は明らかに陰りが出てきた。遅行指標のサービス業はまだ堅調。どれにも関係する「労働市場」は需要が高すぎて人手不足がまだ深刻である。
日本と米国の賃金格差はこうして生まれた
賃金水準を決める要因として
経済的要因=生産性の高さ、需要と供給の合致点
社会的要因=最低賃金、労働組合の交渉力
これが主だったが、最近、組織化されていない労働者までもがインフレで生活必需品が買えないと、てんでにデモを起こしている。新たな賃金決定要因ができたことになる。
消費財物価は頭打ちなのに、サービス物価はこれとは関係なしにあがっている米国、「労働インフレ」といってもいいほどだ。対して日本は、同じインフレなのに、消費財物価ばかりが上がってサービス物価は低空飛行のまま。サービス物価に連動する賃金は、G7で最下位である。
株投資家の方、23年は業績相場になりそう
米国は賃金が上がってしまっているので一旦景気が悪化しだしたら、雪だるま式に落ちていく気がしないでもない。米国が風邪をひいたら日本は肺炎になるという。株式をやっていらっしゃる方、来年は業績相場になるような気がします。