美人はなぜ人を魅了するのか。黄金比説から細胞コピー上手説まで
今回は「美人」の魅力を科学的に考えます。科学的と言っても、この件に関しては諸説乱立。細胞の異常増殖(がん)にも触れていますが、そのメカニズムは現代医学を以てしても解明途中であることを申し上げておきます。
落語「妾馬」等。美人のエピソードは無尽蔵
「ご婦人てぇものは器量がよろしいと思わぬ出世をなさるようで、女(おんな)氏(うじ)無くして玉の輿(こし)にのると申します」。落語「妾馬(めかうま)」の枕です。最近は「妾」の漢字がまずいらしく、テレビにかけるときの演目は「八五郎出世」としているようです。中国の故事にも「一顧傾城」というのがあります。美人が振り返ったらお殿様が腑抜けとなって国政が傾いた、という意味ですね。
化粧品CM女優から女性アナまで。美人の色々
テレビ業界では「化粧品のCMに出ている女優は日本女性の憧れる顔の最大公約数。女性アナウンサーは日本男性の憧れる顔の最小公倍数」とも言われています。
美人は得か。生涯でどのくらいの差がつく
美人の潜在生涯所得は、それなりの女性とどのくらい差が出るのでしょうか。これは経済学でも、心理学でもたいへん人気のあるテーマであるらしく研究も盛んです。これに興味を持っている人がいかに多いかという証拠です。ただ生涯の差は、数千万円から数億まで諸説があってはっきりしません。ですが、教師からの優遇、恋愛の豊富さ、就職の有利性、昇進の優先度など、出るは出るはの「美人は得」説でありました。
顔の縦横、黄金比説はギリシャ時代から
色々調べているうち、そもそも「美人」とは何かという原点に戻るわけです。
古いものでは顔の縦横「黄金比」説。黄金比はギリシャ人が定義した長辺:短辺=1.68:1ってやつですね。
コピーミスが少ない証明、左右対称
もう一つは「美人は細胞コピーの天才」説です。こっちの方が人口(じんこう)に膾炙(かいしゃ)しています(世間で知られている)。人間は60兆個の細胞からできていると言われます。これが90日から120日サイクルで生まれ変わります。世間でいう「新陳代謝」といやつです。生まれ変わると言っても前の細胞をコピーしています。この時のコピーミスが「がん細胞」です。
コピーの正確性は左右対称性で評価されることが多く、整った顔(いわゆる美人顔)は遺伝子の健全性を暗に示しているとも言えます。「がん細胞」は1日1000個から2000個と生まれるといわれています。でも60兆分の、となると僅少ですね。通常はリンパ球と言われる白血球の一種がやっつけてしまいます。
どうしたわけかこの「コピーミス細胞」が暴走することがあります。細胞の正常な増加を促す「アクセル」が壊れ、コピーミス細胞を減滅させる「ブレーキ」が利かなくなるのです。この状態が疾病としての「がん」です。
それならば「美人はがんになりにくい」という論文があるはず、と調べまくりましたが、いまのところ発見できていません。
インターネット時代、変わる美人像
いまインターネット時代を迎え、「美人」に世界標準ができつつあるそうです。かつて「スクリーン」「ロードショー」など洋画雑誌をみて「外人は美人ばかりだ」と思っていた方も多いはず。この時、美人観のなかにハリウッド基準が適応されたように、インターネット時代にはワールドワイドの基準が設定されるのでしょうか。
実をいうと週刊誌で特集班のデスクをしていたとき、気難しいスケベ親爺のところに美人記者を差し向け、内心「くノ一作戦」と名づけていたことを思い出しました。反省しています。