「恋愛」を考える。文学、生物学、政治学から見てみると
「文学青年」が恋愛をロマンチックに考察
今回は思い切って「恋愛」をテーマにしてみる。難題である。記者に就く人の多くが「文学青年」の時期を持っているように思う。こちらもご多分に漏れない。小説のメイン・テーマは何といっても「恋愛」であるから、多少説得力があるかもしれない、というのは乱暴か。まあ話半分、そんな説もあるのか、の気分でお付き合い願いたい。
社会人になって気づいた「99%=衝撃の事実」
世界最古の長編小説と言われる「源氏物語」(紫式部)は平安時代に書かれた。不倫、ロリコン、スカトロなんでもあり。当時、衝撃的だったことは想像に難くない。古典も含め学生時代は「恋愛小説」の類をかなり読んだ。そして社会人になり歴史・人類学・生物学などの書籍にも接するようになった。ここで衝撃的な事実を発見した。「人の恋愛は哺乳類の繁殖行動で99%説明がついてしまう」ということだ。こちらのロマンは台無しになってしまった。だがここでもう一つの事実に気づいた。名作と言われる恋愛小説には残された1%「人間ならでは」のストーリーを紡いでいることだ。
ときめき期間「4年限界説」の説得力
前置きが長くなったが、男女の恋愛でときめきを感じる「魔法」の期間は4年が限界らしい。恋愛ホルモンであるフェニルエアチルアミン・エストロゲン・エンドルフィン、幸福ホルモンと言われるオキシトシンの分泌がこれを過ぎると急激に減少するらしい。結婚、妊娠、出産、授乳、初期育児をひとつのサイクルとすると、恋愛・幸福ホルモン分泌旺盛期間が4年というのは生物学的にも合理性がある。
ついでに言っておくと2歳児は「イヤイヤ期」を迎えるが、これは母親が再び妊娠可能になり、次が生まれると母の愛情を独占できなくなるという危機感から、という説がある。
男の恋愛、女の恋愛、どこが違う
男と女の恋愛の最大の違いは、繁殖におけるコストパフォーマンスの違いであるらしい。3日もあれば3億もの精子を作り出せる男性、月1個の卵子を温存する女性。男性は一人の女性を妊娠させると次に移れるが、女性は一度妊娠したら1年以上妊娠できない。ある意味、男性はダイコンを売る八百屋で、女性は住宅を扱う不動産屋。どちらが長期展望を必要とするかお分かりいただけると思う。「ナンパ」が男性の専売特許である由縁である。男性が「まき散らす」性なのに対して、女性は「選りすぐる」性となろうか。
少子化脱出にフランス流は有効か
現在、日本は「少子化」が問題になっている。いま合計特殊出生率は1・4ほどで、人口の現状維持数値(実効再生産関数)2・0をかなり下回っている。増やすには2以上が必要ということだ。これは既婚率が落ちていることに起因するらしい。統計でみると「結婚さえすれば妊娠・出産は当たり前」となる数字が出ている。つまり妊娠には「道徳的・倫理的な壁」と「経済の壁」が立ちはだかっているわけだ。未婚の妊娠は世間体が悪いと感じるだけでなく、シングルマザーの経済安定性への不安、行政サービスを十分に受けられない危機感もあるだろう。
少子化から抜け出したフランスを日本政府は見習いたいらしいが、事実婚が半数以上のフランス流をそのままマネするだけでは上手くいかないかもしれない。