マスコミ「3大悪」を考える。記者クラブ編
記者クラブ・クロスオーナーシップ・再販制は特権か
マスコミ諸悪の根源ビック3は「記者クラブ」「クロスオーナーシップ」「再販制」だそうだ。
「記者クラブ」は官邸はじめ大きな官公庁には必ずあるし、民間の業界団体にも存在する。会見を設定したりする記者の集まりで、その官庁を自由に歩き回れる特権を持っている。
「クロスオーナーシップ」は新聞社と放送局の株式の持ち合いを意味する。
「再販制」はどんなに市場競争が激しくとも市場メカニズムに流されずに自分で商品の価格を決められる制度のことだ。こちらに当てはまるのは新聞と雑誌である。
新聞は正規軍、雑誌はゲリラ、扱いの違いは歴然
今回は「記者クラブ」に焦点をあてる。ふつう記者クラブといえば新聞と・テレビの記者クラブを意味する。雑誌にも記者クラブがあるが、新聞・テレビのような特権は与えられていない。新聞・テレビが正規軍なのに対し、雑誌はゲリラ隊なので、おのずと記者クラブの持つ意味も変わってくる。ゲリラは徒党を組みたがらないので、結束力は薄い。
記者クラブの大元,「日本新聞協会」は日比谷にあって、「日本雑誌協会」はお茶の水にある。
こちらは新聞社を1年余りでドロップアウトして出版社に移ったので、その扱いの違いを肌で感じてきた。官庁の広報の業務は、一義的に新聞・テレビに対しての「広報」なのである。
渋谷区神南NHK14階に放送記者クラブあり
NHK詰めの雑誌記者を10年以上したのでその経験をお話しする。「NHK」と具体的に名前を出してしまうのは、テレビ業界を取材するテレビ・新聞の記者クラブが正式に部屋を置いているのがNHK14階だからだ。30人規模の中小企業なら十分すぎるスペースがあった。同じ階にNHK広報局がある。NHK会長や放送総局長はじめ、日テレ、TBS、フジ、テレ朝、テレ東,それぞれの社長会見もこの部屋で行われる。原則月1回のペース。記者クラブは部屋代をまったく払っていないわけでもなさそうだったが「渋谷区神南の料金ではない」と毎日新聞の記者に聞いたことがあった。ほぼタダかも。いまNHKは改装中なので変わったかもしれないが。これが放送記者クラブ(かつては第一と第二があった)である。
記者クラブに加盟していてもテレビ局は、他局の番組宣伝をするはずもなく、不祥事や放送法、電波法に絡む案件だけに関心があった。一方、番組改編などは新聞のテリトリーだった。
80年代テレビ黄金期から雑誌も参戦
雑誌は1980年代のテレビ黄金期当たりから局常駐の記者を配置する。こちらはその一員。あまりにも人数がふくらんだので、広報部署も席の周りをうろつかれては迂闊に資料も広げられないと思ってか、各局、改装して雑誌専用のエリアを作ってくれた。これは完全タダだった。NHK担当の記者だまりは同局14階にあった。雑誌はスキャンダルから番宣からなんでもありの世界だった。
そもそも純血主義に問題ありの指摘も
新聞協会、雑誌協会の記者クラブに共通しているのは「正社員主義」。フリーの記者は記者会見には出られるが、その恩恵を受けることはない。いまどき「純血主義」がそもそも悪いとの指摘もある。
普段は新聞記者、雑誌記者の行動は似たようなもの。話題となっている局ネタを拾っている。クラブ詰めの記者は原則「直行直帰」。局がオフィスなので「通勤」しているわけだ。新聞の方は原稿を送るFAX完備。たまに会社に戻って会議やデスクと打ち合わせをするときは「社にあがる」といった。まあ雑誌は少人数で作っているので雑用が多く、インターネット送信での入稿がない時代だったので、ほぼ毎日社にあがっていた。
恐ろしく前置きが長くなったが、次回はその問題点をじっくり考えていく。