テレビ・新聞・雑誌を10倍楽しむ。サルでもわかる総務省接待の裏側編

 

お久しぶりぶりです。

 

 

山田広報官辞任の意味

今朝(3月1日)山田真貴子内閣広報官辞任した。総務省時代に東北新社から7万円以上の接待を受けていた件である。メディアは役人の倫理、総理の息子の威光という側面から責めているが、話はそう単純ではない。

 

 

放送免許は総務省の権限の源泉

総務省における権限の源泉「放送免許」の交付にある。電波は公共物という扱いなので混信しないように総務省が周波数を決めて貸し出している。この貸し出し期間が5年間。次は2023年が「再免許」の時期で、テレビ局にとっては「受験」シーズンが到来する。

 

 

「おカネを刷る免許」なんて言葉も

この「放送免許」は1960年代からの高度成長期は「おカネを刷る免許」とまで言われた。いまでは想像できないが、テレビ会社は儲かってしかたなかった時代があった。

日本全国津津浦浦の大企業から中小企業まで「テレビ業界に参入したい」と手を挙げた。この中には風俗業界の会社もあったそうだ。

 

 

テレビ局は実質、選挙の後援会組織

こうなると民放は「1県4波」まで許すから、話し合って新テレビ局設立用の業界団体を作りなさい、その代わり選挙の時は「わかってますね。私に投票してくださいね」「ポスターも貼ってくださいね」「立会演説会にも来てくださいね」的な政治家が出現した。選挙は県単位なので、これがテレビの県域免許の起源となるのである。

このとき政治家が考えたのはテレビ局と新聞社のひも付けだった。新聞は純粋な民間企業なので政治的コントロールが効かない。その点、テレビ局は公共の電波を使うので口出しする余地が生まれるわけだ。テレビを通じて新聞を自在に操る。これが現在まで続く「クロスオーナーシップ」、いわゆる新聞社とテレビ局の株式の持ち合いである。

 

 

総務省の人事を紐解く

この基礎知識があると今回の接待事情がわかってくる。この放送免許の事務方が総務省である。部局でいうと「情報流通行政局」が中心になる。

総務省は2001年の省庁再編のとき、自治省、郵政省、総務庁の3つが集まってできた。トップの総務事務次官は「自治省系」と「郵政省系」、交代で就任する。いわゆる「たすき掛け人事」ある。いま「自治省系」の次官なので今夏の人事異動で「郵政省系」の人になる予定だったが、接待疑惑で郵政省系のトップが一斉に「粛清」されてしまった。タマがいない。省内に疑心暗鬼の気分が渦巻いている。

 

 

山田広報官の旦那さんは大出世の妙

ちなみに辞めた山田広報官の旦那さんは総務省の郵政省系であるが、上層部が揃っていなくなったため、いきなり出世する運びとなった。人事とは摩訶不思議なものである。