テレビ・新聞・雑誌を10倍楽しむ。新型コロナ特措法・感染症法編

 

 

刑事罰を科すつもりはなかった?

「新型インフルエンザ特別措置法」「感染症法」の改正案が国会に提出され、2月3日にも成立する。新型コロナウイルス感染症に対応する法整備が進むことになる。

最大の問題点は〈感染症法〉の中の[入院拒否に対する懲役刑や罰金]、〈特措法〉の中の[時短命令違反に対する50万円以下の過料]の項目だった。

政治部のある記者によると「政府は法案を無傷で通すつもりはない。刑事罰は重すぎると考えている与党政治家も多い。ただひたすら早く成立させたい思いから野党に花をもたせる戦略に出た」と解説していた。1月22日に法案が閣議決定された頃の話だ。

 

 

「過料」に落ち着き、野党に花を持たせた

昨年11月から草案に着手した厚生労働省。改正感染症法に刑事罰を盛り込んだのは1類に分類されているエボラ出血熱に病院から逃走した際に刑事罰を科せる規定があるためで、「2類相当」とされる新型コロナもこれに準じたようだ。そもそも他人に意図的に感染させたら刑法の「傷害罪」「殺人罪」に問えるのではないかという法解釈もある。

自民・立憲民主両党の折衝は政治記者の予想した通りの展開をみせて、懲役・罰金は「過料」に、「50万円以下の過料」が「30万円以下の過料」に落ち着いた。ご存知と思うが「過料」は行政罰といわれるもので「前科」はつかない。軽い交通違反と同じレベルになった。「要請」には「協力金」を、「罰則」には「補償」を、出すのが社会を混乱させない方策となる。

 

 

病床は多い筈なのになぜ

一方で注目されるのは、医療側への強制力だ。先進国クラブといわれるOECDの2018年統計によると、病床数(1000人当り)はOECD平均4・7床日本13・1床。日本だけ医療崩壊の危機に晒される理由がよくわからない。

あるワイドショーに出演した医師がCMの合間に、「現場は受け入れの気持ちはあるんですけど理事長がOKしない」と呟いたらしい。医療崩壊について日本医師会側の意見がよく出るが、この会員のほとんどが開業医なので実際にコロナ患者と対峙したことがない筈なのだ。医療法人の経営者としては風評被害で客を減らしたくないのが本音だろう。

 

 

日本医師会ってどんな組織

この点を衝いたのが、1月15日読売新聞朝刊「コロナ増床へ『勧告』」のスクープだった。厚労省・都道府県からコロナ患者の受入を要請された病院は、「勧告」を受けると理由なく断ることができなくなる。病院名の公表となる可能性もある。さて医療側への強制力も盛り込まれることになるのか。前出のOECD統計によると、医者の数はOECD平均3・5人、日本2・5人(1000人当り)。この医者不足もそもそも日本医師会の戦略だったような気もするのだが…。